うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

インド思想

The Yoga Sutras of Patanjali (English Edition) /Sri Sri Ravi Shankar 著

ここ半年ほど、英文のヨーガ・スートラ解説を読んでいます。 そのほうがしっくりくる理由を、以前からなんでかな・・・と思っているのですが、わたしが思う理由は以下の3つです。 1)日本の宗教観 2)サンスクリット→漢訳仏教を経由した日本語の意味の普…

108は特別な数字

今年は東京・日本橋で12月に108回太陽礼拝を開催します(末尾に告知のリンクを添付します)。 関西では、その前の週に、もう一つの視点でわたしが重視している方法での「集中・瞑想」をテーマにしたヨガクラスを開催します。 今日は、108という数字について…

生成AIとハルシネーションとブラーンティダルシャナ

今日は脳内の幻覚の話です。 「ハルシネーション」は英語で、「ブラーンティダルシャナ」はサンスクリット語です。 カタカナの「ハルシネーション」でウェブ検索をすると、生成AIが引き起こす現象として解説が出てくるくらい、用語が定着しています。 AIと共…

クリシュナムルティの日記 J.クリシュナムルティ著/宮内勝典(翻訳)

とてもよい本です。 「正気って、どういうことだろう」と思ったときに手にするのに、とてもよい本です。 ヨガの教えは いちいち作為的に捉えて意味づけをして、苦しんでるのね。 おつかれさま。 さて、それはさておき。 という意識の切り替えと視座を与えて…

インナーチャイルドがぶっ放す Kutarka の尻尾を捕まえたときのこと

おやおや、この人ったらインナーチャイルドだのと言い出したけど、大丈夫かしら? と思ったあなた。 長らくこのブログを読んでくださり、これまでどうもありがとうございました。 お世話になりました。 ばいなら〜。 * * * さて。 タイトルの中に唐突にあ…

(再読)インテグラル・ヨーガ ― パタンジャリのヨーガ・スートラ スワミ・サッチダーナンダ/伊藤久子 訳

15年ぶりにこの本をじっくり再読しました。 主要な節を参照するために何度も開いたことはあったけど、最初から最後までじっくり読んだのは15年ぶりです。(2008年の感想はこちら) 再読したら、これまでの自分を知ることが多くて驚きました。 え、こんな本だ…

根本的な内面の優先順位

たまにヨガクラスの前に話したトピックについて座学にしてほしいと言われることがあるのですが、長尺で話す前提じゃないからできている話題のチョイス・テンポ・リズムというのがありまして。 「身体を動かす前提で集まっている場」だから話せています。 「…

はじめてのスワンナプーム国際空港と「乳海攪拌」(バンコク)

年末年始のタイ旅行の記録をちまちまと断続的に書いております。 今回はタイへの入国・出国で、はじめてスワンナプーム国際空港を利用しました。 これまでドンムアン国際空港しか利用したことがなかったので、あまりの豪華さに驚きました。 ギラッギラです。…

インド神話は力を抜いて

インドの叙事詩とか神話とか、ヨガの延長で興味を持つこともあると思うのだけど、真面目に学ぼうとすると天井から金だらいがいくつも連続で落ちてきます。 この感じは「古事記で因幡の白兎が受けた虐待、エグすぎない?」みたいなのと似ていて、話が入ってこ…

「宗教詩ビージャク」収録のサーキー カビールの詩/橋本泰元(訳注)

この本の電子書籍を買ったのが2020年の9月。自粛型の生活に慣れてきた頃だったかな。 それからずっと、この本のカビールの詩を写経していました。毎日ではなく約2年くらいかけて、あき時間を使ってノートに書き写しました。 カビールの詩にはインドのヨガを…

ラヴァナ王の物語/七つの段階(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

『ヨーガ・ヴァーシシュタ』は、繰り返し読んでいくとヨーガの教えを寓話とともに伝えている書物なんだな、ということが少しずつ見えてくる本で、講義のような解説が第3章の『ラヴァナ王の物語』のなかで展開されています。 無知へと下降する七つの段階 叡…

ラヴァナ王の物語/魔術師(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

今日は『ヨーガ・ヴァーシシュタ』第3章にある『ラヴァナ王の物語』に登場する魔術師について書きます。前回の続きです。 この物語のおもしろさは、魔術を見る人たちが “魔術師慣れ” していること。 わたしは谷崎潤一郎の『ハッサン・カンの妖術』と、それ…

ラヴァナ王の物語/幻の体験をした王様(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を今年も引き続き読んでいて、第3章はおもしろストーリーがてんこ盛りなので、各寓話にある要素をちょこっと紹介しています。 今回は『ラヴァナ王の物語』です。 この物語は第3章の最後にあり、物語 → …

三人の存在しない王子たちの物語(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を今年も引き続き読んでいて、第3章はおもしろストーリーがてんこ盛りなので、各寓話にある要素をちょこっと紹介しています。 今回は『三人の存在しない王子たちの物語』です。 あるときおばあさんが小…

ラーマーヤナ ラーマ王子伝説(映画)

ソフト化されていない1992年の映画です。8月に開催された東京の上映会で観てきました。 先日は京都で上映があり、このブログでのお知らせで知ったという関西の3名のかたが「行ってきましたよ~」と教えてくれたので、ほかにも何名かご覧になられたかたがいら…

広大な森の物語(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を今年も引き続き読んでいて、第3章はおもしろストーリーがてんこ盛りなので、各寓話にある要素をちょこっと紹介しています。 今回は「広大な森の物語」です。 この寓話は短く覚えておきやすく、しかも…

「宗教詩ビージャク」収録のサバド カビールの詩/橋本泰元(訳注)

ここ2年ほど、カビールの詩を写経のように書き写しています。 この詩は平凡社から出ている「宗教詩ビージャク インド中世思想の精髄」という本に収録されていて、「ラマイニー」「サバド」「サーキー」の3つの型の詩集が収められています。 「ラマイニー」…

アハリャーの物語(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を今年も引き続き読んでいます。第3章はおもしろストーリーがてんこ盛りなので、各寓話にある要素をちょこっと紹介しています。 前回は「インドゥの息子の物語」について書きました。今回はその次に収め…

インドゥの息子の物語(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を今年も引き続き読んでいて、第3章はおもしろストーリーがてんこ盛りなので、各寓話にある要素をちょこっと紹介しています。 前々回は「リーラーの物語」、前回は「カールカティーの物語」について書き…

インド&日本の合作アニメ『ラーマーヤナ ラーマ王子伝説』が今週末13日(土)に東京で上映ですってよー!

今日はお知らせです。今週土曜8月13日の夕方に、日本クオリティのアニメでラーマーヤナを観ることができる『ラーマーヤナ ラーマ王子伝説』が東京都江戸川区(最寄駅は瑞江駅)で上映されます。先日友人から教えてもらいました。 どんなふうに2時間少々に集…

カールカティーの物語(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を今年も引き続き読んでいます。第3章はおもしろストーリーがてんこ盛りなので、各寓話にある要素をちょこっと紹介します。 前回は「リーラーの物語」について書きました。今回はその次に収められている…

リーラーの物語(ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章にある寓話)

昨年出版された日本語版の『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を、今年も引き続き読んでいます。今は再読なので、ひとつひとつの寓話を少し落ち着いた目で読んでいます。 ヨーガ・ヴァーシシュタは全6章あるのですが、第3章はおもしろストーリーがてんこ盛り。どの…

ラーマの質問の性質に、自分とのベースの違いを実感する/『ヨーガ・ヴァーシシュタ第3章の再読

昨年から読んでいる『ヨーガ・ヴァーシシュタ』について書きます。昨年は一度目の読書で、今年は再読をしています。 第2章の終盤でヴァシシュタ仙が「ラーマよ。個人的に体験されていない真理について説明されたとき、人は寓話の助けを借りて把握するしかな…

「探求者の心構え」を読んで、無執着にもレベルがあると知った(ヨーガ・ヴァーシシュタ 第2章)

今年のはじめから『ヨーガ・ヴァーシシュタ』を再読しています。 第2章は短いのですが、第1章でこの世の無常に打ちのめされたラーマがそれを見事に言語化したところから、その勢いを引き継いでのスタートです。 第2章冒頭の「シュカの物語」は直後のラー…

ヴァシシュタ仙による鬱経験告白からのラージャ・ヨーガの教え/『ヨーガ・ヴァーシシュタ』第2章の再読

昨年から朝のヨーガ・ヴァーシシュタ&瞑想の習慣について書いていますが、再読でどうしてこんなにも初回と違って感じられるのか、とても不思議な本です。 初回は登場するキャラクターを追いかけさせてくれない、いい意味で不親切な状態で進んでいく設定を理…

生活や文化を人間の力で破壊すること

戦争のニュースは見ていてつらいですね。こんな時、戦うことを義務とするアルジュナが葛藤する『バガヴァッド・ギーター』が思い浮かびます。いま起こっていることについて、なにがつらいか。要素があまりにも多く複雑で、考えはじめると息が止まってしまう…

「離欲についての教え」と、自己を無味乾燥なものにさせないこと(ヨーガ・ヴァーシシュタ 第1章)

ヨーガ・ヴァーシシュタを読んでその内容を瞑想するモーニング・ルーティーンが2周目(2年目)に入っています、という話を少し前に書きました。そのときと同様、今日の話は初回読書中の人は読まないほうがよいかもしれません。

“動じなさ” と “無関心” の中間を照らす鋭い教え/『ヨーガ・ヴァーシシュタ』第1章の再読

朝のヨーガ・ヴァーシシュタ&瞑想の習慣を、新年からまたはじめています。今年は再読なので、第1章から教えを読むときの自分の視点が変わっています。初回よりもおもしろく読めます。というのは、この聖典の「設定」の妙味が少しわかるようになっているか…

アシュターヴァクラ・ギーター  トーマス・バイロン(英訳) 福間巌(翻訳)

『ヨーガ・ヴァーシシュタ』の日本語訳の文章に魅了され、同じ訳者のこの本を読みました。『ヨーガ・ヴァーシシュタ』は、これは वासना (ヴァーサナー)を日本語にしたのだろうと思う箇所の訳が絶妙で。こんなふうに母国語で読めるなんて、なんてありがたい…

(再読)ババジと18人のシッダ ― クリヤー・ヨーガの伝統と自己覚醒への道 マーシャル・ゴーヴィンダン著/ネオデルフィ(翻訳)

13年ぶりに再読しました。 13年前の自分は聖者伝説に興味津々すぎて痛々しかったのではなかろうか、そんな気持ちでおそるおそる過去のブログを読んでみたのですが、意外とあっけらかんとしていました。 あかんところもなにげにリスクヘッジをしながら書いて…