うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

「すてきなこと」にアンテナを張っていないわたしの生活

親しい人ほどよくご存知の通り、わたしはあまり「すてきなこと」とか「そこから派生する人間関係」にアンテナを張っていません。そういうの、疲れる……(笑)。結局ただのノリの悪い人みたいになる。 とまあ、外見から見た反応はさておき、元来わたしはひとり…

桜桃 太宰治 著

子育ての息苦しさをこんなふうに描くなんて、大胆。 こりゃ自伝だなと思いながら読み進めていると差し込まれる はっきり言おう。くどくどと、あちこち持ってまわった書き方をしたが、実はこの小説、夫婦喧嘩の小説なのである。 でも思考する本人の描き方は、…

夢、死ね! 若者を殺す「自己実現」という嘘 中川淳一郎 著

タイトルや本文の刺激的な言葉遣いはさておき、感謝と服従について考える仕事論は珍しいので、貴重な指摘。 この本は「怒られたくない」という人間の根源的な心理を仕事論という形態で書いているので、不毛な気持ちの取り扱いに悩んでいる人は、読むと励まさ…

バガヴァッド・ギーター(Bhagavad Gita)

よく「どの本を買ったらいいですか?」という質問を受けるので、その回答の背景説明を兼ねて、過去に紹介したことのある本の特徴を書きます。 質問には はじめは「へぇ。インドにはこういう聖書みたいなのがあるのね」という入りかたでしょうから、ならば「…

五月女ケイ子のレッツ!!古事記

古事記のお話をすてきなイラストとシャープなつっこみと昭和全開の比喩で綴る、たいへんためになる本。 「男尊女卑」「死を穢れと考える」という価値観がこの頃からあることを学んだり、「生き返るたびに強くなる」神の生きざまに励まされたりしました。 な…

企画展示「あの人の直筆」(国立国会図書館)

皇居周辺ジョギング途中で予告をチラリと見て以来、楽しみにしていた「あの人の直筆」の展示を見てきました。 国立国会図書館の新館でやっている企画展で、なぜか無料。「あの人」のなかには、夏目漱石、芥川龍之介のほか岡倉天心も! 豪華すぎる〜。と思っ…

心との戦い方 ヒクソン・グレイシー 著

ヒクソン・グレイシーがべらぼうに強すぎる、負けない試合をテレビで観てきた世代ですが、まあすんごいヨギさんなんです(参考)。 この本を読んで、そのヨガのルーツが「超越瞑想を母親がやっていた」ということを知り、びっくり。TM瞑想ともいわれる、マハ…

高城剛と未来を創る10人 対話から見えた、その先の世界 高城剛 著

アスキーでの紙面掲載は2008年のものもあって、書籍で出たのが2011年なのでわりと古いかと思いや、指摘の骨子自体は普遍的なものなのでそんなに古く感じませんでした。未来のことを語ってはいるけど、人間という生き物自体はそんなに変わらないという前提な…

行人(こうじん) 夏目漱石 著

後期三部作で「彼岸過迄」と「こころ」の間にあたる作品ですが、「彼岸過迄」の冗長さと「こころ」のトゥーマッチな濃縮の中間にある絶妙なバランス着地。「友達」「兄」「帰ってから」「塵労」の4編構成で、いずれもドラマチック。いっきに読ませる。 これ…

表現と文意と細部の意味(「チャラカ・サンヒター」第30章16節〜19節より)

わたしはここ2年くらい、サーンキヤの主張に軸足を置いてヨーガを含めたインド哲学を学ぶという勉強法をとっています。 そのスタンスで昨年は「ヴェーダーンタ・サーラ」、今年は「チャラカ・サンヒター」に触れてみて、たいへん刺戟を受けました。今年はも…

【誤】元気をもらいました 【正】元気が出ました

ヨガの練習の後、まれに「元気をもらいました」と言うかたがいらっしゃる。まあ感じはわからなくはないのですが、「わたしもですぅ〜」とは言いません(世渡りは下手です)。 これは常用語になっていて無意識で使われているのだと思うのですが、元気というの…

だれも知らなかったインド人の秘密 パヴァン・K. ヴァルマ 著 / 村田美子 翻訳

タイトルは大げさに見えますが、内容は「どのインド人もここまでナマナマしくぶっちゃけなかった、インド人の慣習と考え方」という感じなので、あながち大げさでもありません。インドへ何度か行ったことのある人は、どの部分から読んでも必ず10ページ読み進…

アーユルヴェーダ医師の学習伝授規定とサハナー・ヴァヴァトゥ

「チャラカ・サンヒター」を読んでいたら、ヨーガの定番マントラ「Sahana Vavatu」の意味の背景をよくあらわしている箇所があったので紹介します。 「チャラカ・サンヒター」第三巻八章の前半は医者の倫理に関することが詳しく述べられ、後半は「論議道」(v…

2015年の手帳はデルフォニックスのA6コンソナント

これまで手帳は「高橋手帳」「オピニ(Opini)」「ヨガ手帳」などを使ってきましたが、来年からはひとまわり小さくしてA6に変え、デルフォニクスのにしました。よく行く文具屋で買いました。 デルフォニクスはパルコやアトレのような駅ビル内の文具屋でも見…

松浦弥太郎の新しいお金術 松浦弥太郎

ちょっと疲れているときに読むと元気の出る著者さんの本。書店で目にして即買いしました。 わたしは「モノ」でも「サービス」でも、エネルギーの傾け方と価格設定がアンバランスであることで甘さの露呈した商品を見るとげんなりします。「安かろう悪かろうで…

「芸」と「畏れ」

今年のはじめに友人に連れて行ってもらったストリップ劇場や、ふらりと入ってからリピートしているお笑いシアターへ足を運ぶようになって、いままで頭の中でぼんやり思っていたことをたくさん言語化するようになりました。世の中には有名でなくても高い志で…

鼻 芥川龍之介 著

むかーし読んだ中で、これだけは印象を憶えていたつもりなのだけど、やっぱり大人になってから読むとぜんぜんちがう。 でも、この部分を子どもながらにもわかっていた記憶があるのもおそろしい。悩みから抜け出るときに、主人公が気づいてしまうこと。 ――人…

ギャグの応酬が止まらないグルジ(夏目漱石「坊っちゃん」読書会での演習より)

今年からはじめた読書会兼インド哲学座学も、早いもので夏目漱石作品がこれで4つ目となりました。 「坊っちゃん」はライトな展開で進行するつもりが、「こころ」並に深いところまで潜り込む、潜水艇旅行のような読書会になりました。でも出だしは軽快に、他…

「チャラカ・サンヒター」第25章の冒頭が傑作すぎる

先日紹介した「チャラカ・サンヒター」第25章『人間と病気の由来についての章』の冒頭をご紹介します。 「チャラカ・サンヒター」というのは、インドの医学をまったく知らない人にもわかるように要約すると、日本の感覚でいう「発熱したらお尻に長ネギを」「…

コントロール力のピースフルな使い方。鹿児島実業高校男子新体操部

感動しました。鹿児島実業って、強いのは野球だけじゃないんですね。 とにかくすばらしいのです。今日は動画のご案内です。 まずは最新作で勢いを摑んで。 クライマックスの受け手のウシュトラ・アーサナが美しい! 脚上げが苦手な方は、こちらを。 クライマ…

これから誰に売れば儲かるのか 成長戦略の正しい考え方 吉本佳生 著

定期的にこういう本を読むと、精神が安定します(笑)。人は自分の見ている世界を、世の中で比率が多いものと思ってしまう生き物なのでね。 市場というのは「シェア争いでは買っても、ビジネスでは負ける」「シェア争いでは負けても、ビジネスでは勝つ」とい…

「ゾフィー」のコントがたいへんおもしろかった

夏に何度か、浅草リトルシアターでコントを見てきました。バッティングセンターとセットで、最近お気に入りの息抜きコースです。 そこで観た「ゾフィー」のお二人のコントがおもしろかった〜。キングオブコントという催しでも準決勝まで残られたそうです。そ…

インド医学概論 ― チャラカ・サンヒター 矢野道雄 訳・解説

アーユルヴェーダの古典医学書「チャラカ・サンヒター」の訳と解説の本です。もうひとつ有名な「スシュルタ・サンヒター」というのがあり、こちらは外科的治療法についても詳しく述べているそうですが、「チャラカ・サンヒター」は外科にはほとんどふれてい…

文と質の論争 釈道安の仏典翻訳論「五失本三不易」

先日、仏典漢訳の世界で釈道安(312〜385)というかたが残した「五失本三不易」という翻訳論の存在を知りました。 釈道安さんご本人は訳者ではなく漢訳事業を助けた人だそうで、中国仏教の基礎を築き、「鳩摩羅什を中国に招くよう、苻堅に建言した」と Wikip…

「因果の束縛」と「徳義上の苛責」(夏目漱石「門」読書会での演習より)

夏目漱石読書会(という名目だけど、半分はインド哲学クラス@台所)からの演習紹介です。 参加者さんに提出いただく事前宿題やディスカッション中に『「こころ」の別バージョンのように感じた』『安井君は、Kに似てる』などのコメントがありましたが、「門…

バカの壁 養老孟司 著

いまさら! と言われそうですが、これ読んでなかったんです。2003年に出版されて、2013年で106刷りですって。 いま読んでみた感想としては、他者との関わりに疲れると思っていたら条件付きになってきてもっと疲れる事態に陥るというのは二枚目のバカの壁なん…

蜜柑 芥川龍之介 著

なんなんだ、この圧倒的なハイセンスっぷりは! 丁寧な文章、さりげなさ、心を溶かすストーリー。完璧。完璧すぎる。 超短編なのに、さまざまな感情が引き出される。そりゃあ、漱石グルジも一目置くわな。 グルジはあばたとオナラ癖があったようだけど、芥川…