うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

2022-01-01から1年間の記事一覧

私の作ったお惣菜 宇野千代 著

友人からの冬の便りに、この本が添えられていました。なんてすてきな贈り物。 電子レンジが出てこないので、うちのシンプルな台所でも作れるものばかりです。 コロナ禍以降の数年で、親しい人から「料理の話を自然にするようになってる」と言われる機会が増…

地政学入門 佐藤優 著

ウクライナとロシアの戦争が始まってから、ロシアやグルジアを旅してきた友人と話すたびに、土地勘があると情報の認識のしかたがこんなにも違うのか、これじゃあニュースを見てもついていけないわけだと思ったことが何度かありました。 この本は2015年・2016…

空気の読み方を探ることを一切受け付けない題材としての「瞑想」(アガサ・クリスティー「春にして君を離れ」読書会から)

先日、数年ぶりに関西で読書会を開催してきました。 課題図書はアガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』にしました。 瞑想について解説する書として秀逸なので、いつかこの小説で開催したいと思っていました。 瞑想は中身を講座にできないものです。 そ…

神戸文学館と王子公園(兵庫県神戸市)

半年ぶりに神戸へ行ってきました。 関西でのヨガクラスの前日にお休みが取れたので、街をお散歩しました。 体力を温存しておきたいときの散策は、最近は文学記念館のようなところか旧宿場町の町並みを見て歩くか。最近の大きな美術展や博物展は情報量が多く…

御影公会堂を見て六甲駅まで歩いた(兵庫県神戸市)

なにかプレゼンのような、限られた時間内に伝えたいことを収めるようなことをする前に、歩きながら重要でないことをふるい落とすように整理する、ということをよくします。 東京にいても、5キロであればしれっと徒歩圏内。7キロくらい歩いて移動することもあ…

弓弦羽神社、松尾社、十二社(兵庫県神戸市)

阪急御影駅で降りて山側を少し歩いて、そこから下って、この神社にたどり着きました。 スケートの羽生選手の写真が貼られた絵馬がたくさんありました。 ファンにとっては聖地なのでしょうか。 松尾社(まつおのしゃ)、十二社 正面のほうからではなく、松尾…

阪急御影駅で降りてみた(兵庫県神戸市)

神戸へ行ってきました。ぶらぶら散歩をしてきました。 Googleマップでぐりぐりスクロールをして、阪急御影駅で降りてみました。 外はチョコレート、中は抹茶色の阪急電車。 山側を登る 神戸は山側と海側がわかりやすいので、今日は山気分だわ。今日は海気分…

それでも日々はつづくから 燃え殻 著

この人のエッセイが好きだという感覚は、なかなか言葉にしにくいもの。内緒にしておきたくなるタイプの感情です。 小説も読んだけどやっぱり仕事のモヤモヤを書いたエッセイがよくて、微妙な喩えがおもしろい。同じような話を他で読んだなと思っても、なんか…

反面教師の視点のあやうさ(アガサ・クリスティー「春にして君を離れ」読書会から)

先日、アガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』を読んだ人たちと話をする読書会をしました。 そのときにほんの少しでしたが、「反面教師にする」という視点のあやうさについて話しました。 この小説の主人公であるジョーンという女性は、しっかりと規律…

徳冨蘆花記念文学館(群馬県渋川市伊香保町)

今年行ったのに、書いていなかった場所がありました。 伊香保の徳冨蘆花記念文学館です。 思った・感じたことがたくさんあって、帰ってから「不如帰(ホトトギス)」を読み始めたのだけど、処理しなければならないことが増え読書を中断したのと一緒に、まる…

あのこは貴族 山内マリコ 著

先に映画を4回観て30回くらい泣き済み。だから答え合わせくらいの気持ちで読んだのだけど、原作はこれはこれで、別の部分でグワッとくるところがありました。 あとで小説を読んで映画版のすばらしさに気づく、ここまでの経験は初めて。 小説で "女の義理" と…

あすなろ物語 井上靖 著

友人にすすめられて読んだ『しろばんば』がおもしろくて、その前に書かれた『あすなろ物語』を読みました。 発表されたのは『あすなろ物語』のほうが先なのだけど、『しろばんば』のあの少年が13歳になっていて、その後就職して結婚する頃までの人生のダイジ…

小ネタを拾われてうれしかった日のこと

先日、遠方にお住まいのかたが上京のおりに東京のヨガクラスに参加されたあと、ちょこっと最近のブログへの感想を聞かせてくれました。 石原慎太郎氏の本の感想を読まれたそうで、ホワイトセージのくだりを拾ってくださっていました。 発言にかなり気をつけ…

無人島のふたり 山本文緒 著

人間の性(さが)について避けられないところが書かれていました。 初回は著者の最期の言葉にたどり着くことをつい追ってしまったので、数日おいて二回読みました。 山本文緒さんが亡くなったというニュースを見たとき、やっとこの作家の作品の刺激について…

湯道を歩いた(静岡県伊豆市湯ケ島)

静岡県に住む友人たちの散策に混ぜてもらいたくて、わたしも東京から行くと言ったら、じゃあドライブにしようということになって、天城会館に車を停めて「湯道(ゆみち)」を歩きました。 そんな経緯の日帰り旅をしてきました。 紅葉していて、雨の中、鮮や…

天城神社と狛犬としろばんば(静岡県伊豆市湯ケ島)

湯ヶ島にある天城神社へ行って来ました。 ここです。 『しろばんば』の前編二章の終わりで、さき子と中川が子供たちと温泉の帰りに立ち寄ってこの境内で話をしていたら、ひとりの子供がくまん蜂に刺される場面があります。 狛犬がチャーミング 左右に鎮座す…

弘道寺と神様大集合の塔(静岡県伊豆市湯ケ島)

湯ヶ島にある曹洞宗天城山弘道寺に、とても気になる石の彫り物がありました。 ここは1857年に下田領事のハリスが一泊したお寺だそうです。 この門をすぐ入って左のところに、とても気になる塔がありました。 四天王や阿修羅や不動明王のような神様が勢揃い。…

わたしがヨガの教えの背景に精神面でコミットしていること

今日のタイトルの「コミット」は和製英語としてのコミットです。コミットとフルコミットの強弱があるあたりが、いかにも日本人のつくった和製英語って感じでおもしろい言葉です。 数年前にはライザップさんが「結果にコミットする」という広告表現をされてい…

上の家、へい淵。物語の小さな世界を歩く(静岡県伊豆市湯ケ島)

小説を読んで、聖地巡礼気分でその地を歩いてきました。 友人にすすめられて知った『しろばんば』は国語の教科書に載るほど有名らしいのだけど、わたしは大人になってから知りました。か、覚えていなかったか。 「教科書で読んだ」といわれる本をわたしは覚…

洪ちゃ! 婆ちゃ! と脳内で盛り上がってきた(静岡県伊豆市湯ケ島)

先日、小説『しろばんば』に猛烈に感動したと書きました。 登場人物たちが自分のなかにしばらく住み着いてしまって、読了してお別れするのが淋しくなるほど感情を持っていかれました。 この二人のせいです。 だめだ。近寄ったらきっと泣いてしまう。 と思っ…

未完の肖像 アガサ・クリスティー著 / 中村妙子(翻訳)

30代終盤の傷ついた女性の自分語り。 一晩がかりでこれに付き合ってくれる人がいるとしたら、それは地蔵。 名古屋駅の近くで、愚痴聞き地蔵ってのを見たことがある。 そんな愚痴聞き地蔵ごっこも、小説ならば実現可能。 読んでいるわたしが地蔵になって話を…

師走。グルが自分の足で走っているのを見たことがない

早いもので12月に入りましたね。 「師走」だなんておもしろい暦の名前をつけるものだと思います。 忙しい僧侶が由来らしいですが、お坊さんが走っているのって、足音の静かな小走りくらいしか見たことがありません。いまは走るにしても車かバイクに乗って走…

先輩に「それね、ずっと続くから!」と言い切られてスッキリした寝汗のこと

今年は秋があたたかく、長く続きましたね。 わたしは毎朝寝汗をかいていた週があって、最初のうちは毛布を早く出しすぎたかなと思っていたのですが、寒くなっても変わらず「ちょ・・・、ここ数日、毎朝なのだが!」と思っていたところ、 ヨガの練習でちょく…

しろばんば 井上靖 著

静岡県伊豆半島のお話です。視点をすっかり子供の位置に持って行かれ、天城から豊橋の距離が日本からアメリカくらいに感じられて、旅の様子にドキドキします。 隣県が他国のように感じるスケールで暮らしていた頃の出来事が、感受性の畑に感情の種を蒔く。思…

牧野記念庭園(東京都練馬区・大泉学園)

高野文子さんの『ドミトリーともきんす』で知った植物学者・牧野富太郎さんの記念庭園へ行ってきました。 大泉学園という駅ではじめて降りました。駅の周辺は思いっきり近代化していたのだけど、住宅街の中を歩いてみたら、なつかしい雰囲気が満載。 東京っ…

「私」という男の生涯 石原慎太郎 著

ページをめくるたびに溢れ出る自慢話と回想録。 その人が生きていた頃の印象が残っているうちに本人が書き残したものを読もうと思って読んだのだけど、この読みの苦しみをどう表していいものか。 友人からも「なぜそれを読むの」と聞かれました。わたしには…

犬のかたちをしているもの 高瀬隼子 著

作為的に考えれば考えるほど、根源的な幸福からは遠ざかる。だから過剰なプランは立てないことだ。── と、そういう感覚をなんとなく行動指針のようにしている。 その指針は、30代前半までのうじゃうじゃを振り返った経験からの学び。 わたしは主人公と同じ境…

遺伝も認識しながら自分を自分でドライブしていくこと

先日、ご家族のことで自身の考えを整理されているかたとお話ししていたら、時代や環境、遺伝の話になりました。 わたしは性質・性向に遺伝が最大49%影響することを想定して、身体的なもの以外でも、親の考えかたの傾向・考えないことや苦手なことの傾向・そ…

上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白  小田嶋隆 著

この著者は経験者にこそ語ってほしいことを語ってくれる人かもしれない。 『東京四次元紀行』を読んで安心し、アルコールに関するこの本を読みました。 この種の本は身近な人の怖さを見てきたわたしにとって、要注意のカテゴリです。手を出すのに勇気がいり…

夢二をとりまく人間関係  ―交流から生まれた美と言の葉―(竹久夢二美術館)

弥生美術館と併設の、竹久夢二美術館へ行ってきました。 装丁や挿画、ジャケット、パッケージなど、イラストレーションとデザインを多く手がけた竹久夢二と、さまざま作家・芸術家との交流を軸にした展示。 ほんの数ヶ月だけ交際した女性まで展示にあって、…