文字を目で追っているのに、まるで映画やドラマを観るようなスピード感。著者は映画監督・シナリオ作家だそうで、またかと思いました。ここ数年の間に読んだ、いっきにその世界へ連れて行かれてまったく迷子になることのない本には、書き手が映画監督という…
大人の世界と子供の世界を描いたおもしろい映画でした。定年退職する人が就職活動をしています。その人が「30年勤めて放り出される」と言っていて、どうも計算が合わないなと思ったら、この時代は(映画は1959年)定年の年齢が55歳だったんですね。ちなみに…
わたしはヨガクラスをするときに「うちこ先生」になるけれど、自分らしい生き方マーケティングもシンプルライフ・マーケティングも苦難を克服マーケティングも求道者マーケティングも寄り添いメンター・マーケティングも引き寄せマーケティングも、そういう…
早いものでヨガを始めて15年以上が過ぎ、『おばさんデイズ』がおもしろくてしょうがない毎日です。あの種のおかしみのタネはこのように自然に年齢とともに発芽するのね! と、若い頃には身体レベルで理解できなかった笑いがナチュラルに日々起こる。 わたし…
少し前に、家で行なっている陰ヨーガについて書きましたが、このメニューはひとつのポーズを3分〜5分キープするため、タイマーを使っています。スタジオで習うときはインストラクターが時間を計ってくれるのでタイマーを見ることはないけれど、ひとりだとタ…
タイトルは雌鶏、めんどりです。戦争から帰ってきた夫とその妻のトラブルを描いたもので、夫が妻を階段から突き落としたあと階下に降りるでもなく棒立ちで階上から「大丈夫か」といちおう言って眺めています。こういう、”不器用さからのDVも愛情表現のねじれ…
わたしの友人に活字潔癖症の人がいる。漢字の変換が氣になるそうだ。(←こういうののこと)真っ先に思いついたことを尋ねたら、「氣志團」は大丈夫らしい。「團」に打ち消しの効果があるからかな。これが「氣志団」だと、なんかデコレーションが中途半端だも…
子供と大人の関係がとても素敵な物語。子供ごころ特有のあの肥大化する罪悪感、親を大切に思って忖度する気持ち、つじつまが合わないまま強引に推し進めたい原動力。いろんな懐かしい感情が湧き上がりました。 読みながら、まさかこんな展開になりはしないだ…
映画版「桐島、部活やめるってよ」を観ていたら、少し前に友人と話したことを思い出しました。なにげない会話のなかに感じる、粗雑な関心を向けられたときの反応のむずかしさ。友宏という人物の話しかたが、わたしにそれを思い出させました。 原作では記憶に…
毎晩お風呂で読んでいたのですが、続きが気になって入浴時間が楽しみになりました。読み終えてみるとなんとも鮮やかで爽やか。人はたくさん死んでいるのだけど、問題はそこじゃないと思わせる独特の時間経過を体験させる。あー、そこ、そこかぁ……。と読み終…
島崎藤村の『家』は、毎ページなんらかの引っ掛かりを感じる、濃すぎる家庭内メロドラマ。明治の終わり頃の東京の様子がわかるのも興味深く、大久保が郊外と書かれ、引っ越し先の厩橋のほうが都会の扱いです。当時は大久保で黒い袴を穿いた女の人が宗教の勧…
思い返せばパンデミックの半年前くらいから、ここ一年半ほど、自分が生徒として通っているヨガスタジオで陰ヨガのクラスに週に一・二度参加してきました。陰ヨガ自体は2010年にサラ・パワーズさんのDVDで練習したことがあったのですが、友人が陰ヨガのティー…
テーマのわかりやすいドラマで、重たいところは高峰秀子が軽快に崩し、笠智衆がほぐしにくる。ものすごい布陣。悪い男はわかりやすく暴君で、いい男はわかりやすくいい人。 この物語には、妻に自分以外の初恋の人がいることで病む、まるで島崎藤村の「家」の…
昨日で緊急事態宣言から一年が過ぎましたね。花まつり(お釈迦さまが摩耶夫人の脇の下から出てきた日)が周年日だと思うと、覚えやすいです。 さて。 たまに個別で質問を受けるのでここにも書きますが、タイトルの通り、わたしはオンラインでヨガクラスや読…
本屋で冒頭を立ち読みしたらおもしろくて、ここ10年の間に自分に起こった変化を、まるでレントゲン写真を見ながら呑み込んだ異物を説明されるような気持ちで読みました。 わたしは長い小説を読めるようになったのが2013年頃からで、それまでは読めませんでし…
島崎藤村が38歳の時に同世代の友人と男四人で旅をした伊豆旅行記です。東京から汽車で大仁まできて、そこから歩いて修善寺へ行き、そこから馬車で天城の山麓まで南下し湯ヶ島にも泊まり、下田へ。そこから船で伊東まで北上し、帰路へついています。 わたしは…
菜の花畑へ出かけてきました。河津桜の時期は逃してしまったけれど、前から気になっていたスポットです。車で近くを通ると真っ黄色のエリアがあって、あの中に入ってみたい! 目がチカチカするほど黄色に囲まれたい! という欲求を誘います。 元気な百姓達の…
映画を観たらひとり強烈な人がいて嫌な気持ちが起こり、確認したくて原作も読みました。その人物は沙奈という名前で、松岡茉優という女優さんが演じていました。この女優さんは精神性の再現職人ね。ああいる、こういう人……と、数々の嫌な印象が思い出されま…
二つとも短いテキストで、「自分はこう思うぞ。以上!」という文章。 坂口安吾の論を読んでいると、とっくにこの時代に指摘されていたことが今も変わらなかったり、そこは修正されても別の形でその価値観が再生していることがわかります。 敬語論 指摘がまと…
海外への郵便物の発送が、どうやら手書きNGになるそうで、今年2021年からすでにアメリカ宛てのものは全面適用(手書きは受け付けない)になっています。現在は移行期間だけれど、他の国も通関で手書きは後回しになるみたい。 気になったので、試しにやってみ…
いや〜、笑った! 座骨の微振動で椅子がキュウキュウ、軋む音が止まらない。淡々とおばさんの日常が綴られているコミックエッセイなのですが、失敗のリアリティがすごい。わたしか! となる。液体のデザートが入ったパックをベロリンとこぼしちゃう時の折れ…
ミティラー美術館の作品が東京に来ているので観てきました。駅でいうと押上駅、東京スカイツリーのあたりから歩いていける「たばこと塩の博物館」で開催されています。 わたしはインドの公衆トイレの男女の区分を示すような絵、ヨガの説明の絵、壁画など、あ…
「働くこと」についての思索がおもしろく綴られています。わたしは「働くこと」について自分なりの考えがあるのですが、その理由を会社員時代の仕事仲間にうまく説明できません。 東京にいると地下鉄や電車のホームで旧職場の知人とバッタリ会うことがあって…
伊豆急下田駅周辺は、港やペリーロードへ向かう中間のエリアがとても素敵。 なまこ壁の建物がところどころにあり、お店の看板の書体にも魅力的なものが多く、カタカナっていいなと思うスポットがたくさんありました。 黒地に白の斜め格子の「なまこ壁」の建…
下田のペリーロードにはふたつお寺があります。外交上の条約を結んだり異人の休息所の役割を果たしたりしていたそうです。この道とつながっているマイマイ通りにはさらに多くのお寺があります。レトロでおしゃれな雰囲気でスポットが当たりがちですが、なに…
伊豆の下田へ行ってきました。下田へ来たのは何度目かですが、港を歩いたのはこれが初めてです。ペリーの黒船がここへやってきたのは1853年とのこと。わたしは幕末の歴史に疎いのですが、気持ちの面ではタイムリーでした。 島崎藤村の「家」の下巻を読むと、…
少し前に読んだ「女盗賊プーラン」の社会背景が気になって読みました。著者とプーランの対話が付録に収められています。 資料にはウッタル・プラデーシュ州のカーストの人口構成比の表(1931年の統計)も収められており、プーランの属するカーストが決して下…
昨年から世の中が変わって以来、戦時中や戦後すぐの時代の本や映画を観る機会が増えています。生活上の長い抑制状態を以前よりも具体的にイメージできるようになり、当時のセリフを身近に感じやすくなっています。 だいたい、ヨガクラスの開催告知が闇米を売…
この映画はいろんなことに置き換えてみることができて、じわっと考えることが多いのがよいです。説得というのは外圧でできるものではなくて、相手の中に諦めがついて、やっと納得に変わっていく。そういう心の普遍的な題材をコメディで観せてくれる。 それに…
久しぶりにかつてのヨガスクール仲間と会ったら、この小説を読んだそうで、しんどかったけど読んでよかったという話をしてくれました。その熱さについていきたい気持ちが起こり、わたしも3年半ぶりに再読しました。もう手元になかったので買って読みました。…