うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

読んだ本

うるさいこの音の全部 高瀬隼子 著

「言いたいのではなくて、書きたいのだ。わたしからこの手段を奪えると思うな」というのが小説家の表現の自由なのに、芥川賞を受賞すると身近な人がいろんな方法でその手段を "復讐ではない" ことにしようとしてくる。 さらにその状況に対して著者が応酬して…

饒舌について プルタルコス著/柳沼重剛 (翻訳)

年末年始に本を持って旅に出たけれど、simカードを入れてしまったせいで見事に読書ができませんでした。 そんな旅のさなかで唯一夢中になって読めた本がこの『饒舌について』でした。 この本には、SNSの無限スクロール世界と真逆の価値観が書いてあります。 …

いい子のあくび 高瀬隼子 著

こういうことをする女性も平等に罰を受けるべきだという意見がサイレント・マジョリティだとしても、本人は女性であることで割りを食ってきたと思っているので手をつけられない。『令和最新版・コンプラ社会で女性が効率よく不幸を手に入れる方法』 みたいな…

赤い部屋 江戸川乱歩 著

この物語の落語バージョンがあるのを知り、それを聴く前に原作を読みました。 わたしは就職してから30代後半まで小説が読めない時期が長くあって、だけど江戸川乱歩はブランクなくいつでも読めて、絶対安心。 いつの間にか短編は『人間椅子』と『芋虫』が最…

すべてのジャンルはマニアが潰す 〜会社を2度上場させた規格外の哲学〜 木谷高明 著

このタイトルで本が出ていることを知りませんでした。 プレジデントオンラインの記事で知りました。 「すべてのジャンルはマニアが潰す」は、わたしにとって座右の銘のような言葉のひとつ。自分の思考が極端になっているな、と感じたときに思い出すものです…

Remember 記憶の科学:しっかり覚えて上手に忘れるための18章 リサ・ジェノヴァ著/小浜杳(翻訳)

序盤から興味深い話題が続き、あれよあれよと数日で読んでしまいました。神経科学者の著者は、映画化もされた小説『アリスのままで』の原作者。この本を読んだ後に、さっそく映画も観ました。 この本はエッセイのように書かれた軽い文章の中に、神経科学・医…

なぜ僕は瞑想するのか ヴィパッサナー瞑想体験記 想田和弘 著

たまたま通りがかった書店で手にとって読みはじめたら止まらず、その日と翌日で読み終えてしまいました。 これを読んだら経験したくなりました。 ほんの一ヶ月前に、参加したいと思ったことがないとこのブログに書いていたわたしです。 この本はお得です。 …

MOVE この自然な動きが脳と体に効く 最新科学が明かす「人間本来の動き」の力  キャロライン・ウィリアムズ著/梅田智世(訳)

科学ジャーナリストのコラム集っぽい本でした。 読みながら、もともと持っている自分の考えを強化してくれる説に付箋を貼ってしまいます。チェリー畑でチェリー・ピッキングをしている気分。 後半のヨガの効用の確認部分では、著者からの質問にシャラート・…

The Yoga Sutras of Patanjali (English Edition) /Sri Sri Ravi Shankar 著

ここ半年ほど、英文のヨーガ・スートラ解説を読んでいます。 そのほうがしっくりくる理由を、以前からなんでかな・・・と思っているのですが、わたしが思う理由は以下の3つです。 1)日本の宗教観 2)サンスクリット→漢訳仏教を経由した日本語の意味の普…

蜥蜴の尻っぽ とっておき映画の話  野上照代

よく知らないまま読みはじめて、途中で「あの人か!」となりました。(清水ミチコさんのモノマネで知っていた人でした) エッセイと対談、インタビューが掲載されています。 野上さんは黒澤映画のスクリプター(記録係)。だけどわたしは黒澤明監督の映画を…

ヨーガ・スートラへの親しみかたの、ひとつの窓口としてのアンミカさん

よく使う駅にあるドラッグストアの横に「ほけんの窓口」ののぼりがあって、二カーッと笑ったアンミカさんのお顔を週に2回くらい見ます。 そのアンミカさんがですね、先日ご紹介した「ヨガの小路きみまろ師匠」の2020年発行・日本語版の本の帯にコメントをさ…

若尾文子〝宿命の女〟なればこそ 立花珠樹 著

2015年に発売された若尾文子さんのインタビュー本です。 これが80代の人の受け答えかと思うくらい、やっぱりこの人めちゃくちゃ頭いいんだな……というのがわかる。 年齢を重ねながら賢さも進化し続け、ずっと現実を見てる。見ないことにすることも自分で決め…

聞く技術 聞いてもらう技術  東畑開人 著

今年は例年になくいろんな人と、少人数で、あるいは二人で、思っていることを人と話した一年でした。 マスクをしない生活になって、そうそうあなたはこんなお顔・表情でしたねと。 2020年の3月くらいから、今年多くの人がマスクを外すようになるまで、仮想メ…

今年、「わたしも読みました」と言われてハイタッチしたくなった本3冊

このブログで本について書いたエントリーの数が来年早々に1800になりそうです。 日常的に本を読んで感想を公開していると、たまに練習の前後に「○○○○○、読みましたよ」と聞いただけでもう心が通じ合ったと感じる、そういう「いま読んだらホットだった」を共…

主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら 15冊から読み解く家事労働と資本主義の過去・現在・未来/チョン・アウン著 生田美保(翻訳)

近頃、誰かが本を読んで考えたことをまとめた本が面白く感じるようになってきました。 少し前に読んだこの本が爆笑モノで。 で、今日紹介するこの本は 主婦である私がマルクスの「資本論」を読んだら 15冊から読み解く家事労働と資本主義の過去・現在・未来 …

理由がわかれば心身が整う! ヨガを楽しむ教科書 綿本彰 著

ちょっとお祝いをしたい日に、自分へのプレゼントに買いました。 昨年本屋でパラっと立ち読みしてずっと買おうと思っていて、ちょうど部屋の片付けを終えた日に通りかかった書店で見つけました。 そしてゆったり読んでみると、なんとすばらしい構成・編集・…

自分の小さな「箱」から脱出する方法 アービンジャー・インスティチュート著/金森重樹(監修)冨永星(訳)

20代の頃のあの人との関係、30代で客観視できなかった傲慢な自分、40代でも論理の使いかた以前のところに課題がある自分。誰かとの関係や、あのとき、あの場所。 自分の反省材料を思い出しながら読んで、今日は人生で一番若い日なのだから、今日読んで良かっ…

「死ね、クソババア!」と言った息子が55歳になって帰ってきました 保坂祐希 著

平日の合間にある祝日に(きのうです)、気軽に読める物語に触れたくて、タイトルにつられて読んでみたら、あれよあれよと一日で読んでしまいました。 現代のさまざまなトピックが織り込まれていて、シングルマザーの子育て、女性活躍社会の号令、キラキラ女…

スッタニパータ(光文社古典新訳文庫) 今枝由郎 翻訳

『スッタニパータ』をはじめて読みました。対話調のものがあったり、物語になったものがあったり、現代語訳が読みやすいです。 バラモン教が主であった時代に、そこに意見するブッダの思想がどのように正直かつ異端であったか、そして没後に仏典が編纂される…

パルバティ・バウル 歌舞いボディワーク/書籍「大いなる魂のうた」

先週末に、インド・ベンガル出身の吟遊行者パルバティ・バウルさんから歌やステップ、ボディワークを学ぶワークショップに参加してきました。 寺院のなかで、畳の上でステップを踏みました。 この映画を観て参加されたかたが多いようでした。 久しぶりに会っ…

お目出たき人 武者小路実篤 著

少し前に画家・中川一政さんの随筆を読んで、話によく登場する作家の小説を読みました。 わたしはこのブログをはじめる前に(たぶん20年以上前に)『友情』という小説を読んだことがあって、ものすごく面白かったことを記憶していて、だけどその頃は「この話…

出世と恋愛 近代文学で読む男と女 斎藤美奈子 著

読みながら何度も声を出して笑ってしまう本に久しぶりに出会いました。 いやー、これはおもしろい。開放感がある。 だって、わたしも読みながらずっとそう思っていたんだもの。 著者の話についていきたくて、もっと笑いたくて、評されている小説を全部読みた…

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります 川上未映子 著

最新のエッセイを読んでここにも感想を書いたのだけど、読みながら内容になんともいえぬ窮屈さを感じて、昔の文章を読んでみました。 2003年から三年間綴られたブログが書籍化されたものです。 これがどうにも、自由すぎて面白い。なかでも『キャロルとナン…

母という呪縛 娘という牢獄  齊藤彩 著

どの書店でも目立つところに置かれているので、気になっている人の多い本ではないかと思います。 2018年に医学部を9浪した娘が母親を殺害した事件のノンフィクション作品。 もっと後で文庫になってから……と思っていたのですが、よくよく考えると「物」として…

随筆 八十八  中川一政 著

古本屋さんで買って手元に置いていた本を、この秋に少しずつ読みました。 著者の中川一政さんのお名前を尾崎士郎記念館で知り、昨年の夏に真鶴の美術館へ行きました。その前に、絵だけは何度も目にしていました。向田邦子作品の本のカバーやドラマのタイトル…

ブッダが説いた幸せな生き方 今枝由郎 著

紀伊国屋書店が開催するイベントで著者の今枝さんがお話しされている内容に触れてすっかりファンになり、さっそくこの本を読みました。 これまでに著作を4冊読んだことがあり、その題材のセレクトから、おもしろい人なんだろうな……と思っていました。 お話…

ブルーハワイ 燃え殻 著

わたしの人生にエピソードが少なくなった気がするのは、外でお酒を飲まなくなったからなのか、夜中まで出歩いたりしなくなったからなのか。 この本を読みながら、ふとそう思った。すぐにどんどん読み進めてしまう。読んでいると懐かしい感じがする。前半を読…

女性のこころをつかむマーケティング ブリジット・ブレナン著/谷川漣 (翻訳)

今年の初夏にウェブ・マーケティング関連のちょっとしたテストを受ける機会があって、そのために立ち寄った書店のビジネスフロアでちらっと開いて読みはじめたら目が釘付けになり、昔の本ですが手元に置きたくて買いました。自分をいたわるために買いたくな…

おいしいごはんが食べられますように 高瀬隼子 著

わたしはこの「つながってる」に気持ちを合わせられないな・・・。 と、ヨガをはじめた頃に、フレンドリーなワークショップの独特な雰囲気に怯んでしまったことが何度かありました。 それから何年もヨガを続けて40代になった頃には、そう思う気持ちを分解で…

クリシュナムルティの日記 J.クリシュナムルティ著/宮内勝典(翻訳)

とてもよい本です。 「正気って、どういうことだろう」と思ったときに手にするのに、とてもよい本です。 ヨガの教えは いちいち作為的に捉えて意味づけをして、苦しんでるのね。 おつかれさま。 さて、それはさておき。 という意識の切り替えと視座を与えて…