うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

読んだ本

ジーキル博士とハイド氏 スティーヴンソン著/田中西二郎 (翻訳)

岩波文庫版(翻訳:海保眞夫)で初めて読んで、この物語はこんな内容だったのかと驚き、続けて新潮文庫版も読んでみました。 二重人格の話というよりかは、ミッドライフ・クライシス期のおじさん版「ひみつのアッコちゃん」なんです。なんだそれと思われそう…

チーズはどこへ消えた? スペンサー・ジョンソン著/門田美鈴(翻訳)

1998年にアメリカで出版された世界的ベストセラー・ビジネス書を読んでみました。付箋を貼ろうと思う間もなく読み終えてしまい、反応すべきところがすべてテロップで流れるバラエティ番組を見ているようでした。これが売れたということは、背中を押してほし…

外套 ニコライ・ゴーゴリ著  平井肇(訳)

寒い寒いロシアで、まともな外套なしには身体的にも精神的にも乗り切れない環境で公務員が外套を新調するお話です。序盤から文章の書き方に独特の意地悪さがあって、著者が登場人物を異常にこき下ろしたり、物語を突き放すような文章も入ってくる。途中で、…

(再読)ババジと18人のシッダ ― クリヤー・ヨーガの伝統と自己覚醒への道 マーシャル・ゴーヴィンダン著/ネオデルフィ(翻訳)

13年ぶりに再読しました。 13年前の自分は聖者伝説に興味津々すぎて痛々しかったのではなかろうか、そんな気持ちでおそるおそる過去のブログを読んでみたのですが、意外とあっけらかんとしていました。 あかんところもなにげにリスクヘッジをしながら書いて…

変身 フランツ・カフカ著 原田義人(訳)

学生時代に読んだ気がしていたのに読んでいなかったのか、忘れてしまったのか。序盤から三分の一くらいまでは記憶があって、そのあとは「こんな話だったっけ?」と新鮮な気持ちで読みました。自分の記憶がまったくあてにならない。読んでいたはずの名作と言…

(再読)人間ぎらい Le Misanthrope モリエール著/内藤灌(翻訳)

このごろ、かつて読んでいまも覚えている本を再読しています。引越しや断捨離で手放してしまった本も、見つけたら買い直しています。これまでいろいろ読んだなかでその世界・考え方・意識の展開はこの本でしか得られないと思うものを味わい直しています。そ…

ジーキル博士とハイド氏 R.L. スティーヴンスン著/海保眞夫 (翻訳)

なんとなく知ったつもりになっているけれども読んでいない本がたくさんあります。この本などは、まさにその代表格。他にもフランケンシュタインやドラキュラなど、実は「怪物くん」でキャラクターを知っているだけだったりしてね。 『ジーキル博士とハイド氏…

肝臓先生 / 行雲流水  坂口安吾 著

坂口安吾の小説は映画化もされているのでいつか観ようと思っているのだけど、映画『カンゾー先生』は今日ここに感想を書く2つの作品と『堕落論』の要素が混ざっているらしいので、二つ続けて読んでみました。 肝臓先生 最後までいい話で肩透かしでした。あ…

インド・ネパール旅の絵本 ― 甦る楽園と地獄 清水潔 著

1986年に出版された旅行記です。古本屋で見つけて買ったのですが、読んでみたらこれは保存版と思う内容で、ものすごくあたたかい気持ちになりました。 わたしは昔のインド旅行記を読むのが好きです。 いまはインターネットで現地に住む人が世界の暮らしをリ…

北欧スウェーデンのかわいいモノたち 山本由香 著

古本屋で手にし、どうしても後ろ髪を引かれて買いました。目に入れるものが心に与える効果をいまさらながら感じるようになり、近頃こういう本に惹かれます。 この本にある少しスモーキーなトーンのペーパーナプキンやキッチンクロス、壁紙のパターンは、かわ…

あなたにオススメの 本谷有希子 著

思い起こすと2019年ごろから、身近な人と「この除菌カルチャーは苦しいよね」と話していました。当時それは精神のことを指していました。閉塞感みたいなことです。そしてその翌年にはリアルに除菌カルチャーが評価されるパンデミックが起こり、精神にも肉体…

五輪書 宮本武蔵 著/渡辺一郎 校注

少し前に読んだ森鴎外の『阿部一族』に61歳(亡くなる一年前)の新免武蔵が登場していて、ずっと本棚にあったこの五輪書をはじめて読みました。もとは兵法三十五箇条という覚書があり、それをさらに意図も含めて書かれたのが五輪書。構成が地水火風空(密教…

青年  森鴎外 著

いや〜、こじらせたね青年。おもしろい。こじらせ王子♪しかも、賢い。これは困った。この物語の主人公・小泉純一君は、自分が好感度の高いルックスでそれを隠したり自虐したらもう何も書けないことがよくわかっている。なんかいまどきのアイドルみたい。 い…

ブッダ ── 大人になる道  アルボムッレ・スマナサーラ著

ここ一年半ほどで世の中の状況が大きく変わるなか、「このことについて自分はどう考えているだろうか」と自分に問うトピックの性質が変わりました。そのたびに、これについては理性よりも感情が優っているな……、そしてその感情は、かつて抱いたこの感情の記…

日没  桐野夏生 著

メンタルの調子がよくない時に「この人を信じても大丈夫だろうか」と探るときの ”信じる” と、安定しているときの ”信じる” は、まったく意味が違うと言っていいくらい違う。この振れ幅をどうしたものか。後者には主体性があるけれど、前者では半分消えてい…

50代から始める知的生活術〜「人生二毛作の生き方」〜 外山滋比古 著

著者が91歳の頃(2014年)に、仕事や日常からの学びを書かれた本で、元の本は2010年出版。そこに加筆・修正されたものだそうです。修正にあたって4年前に書いたことを反省し、少し前の過去に言ったことを無理やり押し通そうとしない軽やかさ。後半はだいぶ書…

舞姫 森鴎外 著

10年ほど前に夏目漱石を読みだした頃、何度か同時代の森鴎外の本を読んでみようかと思いつつ、いやいやいやいやあの作家ばかりはどうも・・・と遠ざけていました。高校生の頃に教科書で読んだ『舞姫』の印象が強烈で。 森鴎外はわたしにとってずっと「気持ち…

何様  朝井リョウ 著

ヨガのワークショップやイベントのようなクラスに参加した時に「それでは二人組を作ってください」と突然言われたことがこれまでに3回くらいあった。アジャストメントの技術練習をするような場でもペアヨガでもアクロヨガでもないのに、なんだこれは疲れるタ…

エーミールと三人のふたご エーリヒ・ケストナー作 池田香代子 (翻訳)

子どもの年齢である子どもが身内の大人に忖度しなければいけない現実を描かせたら、わたしのなかでは作家の橋田壽賀子さんと、映画の是枝裕和監督と、そしてこのエーリヒ・ケストナーさんが三強。もうこれは鉄板。 そしてなんとこの時代(1935年)に、ケスト…

ケーキの切れない非行少年たち 宮口幸治 著

少し前に、ストレスについての本を読みました。 『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』という本です。 この本を読んでも、私はストレスそのものについてはよくわかりませんでした。 すでに多くの人がその「ストレス」とやらを捉えることができてい…

ヰタ・セクスアリス 森鴎外 著

タイトルから全く内容が推測できない本でしたが、この書き手の金井君を好きにならない女性がこの世にいるでしょうかと思うほど、わたしのなかで金井君=森鴎外の好感度が爆上がりする内容でした。 女性にも好嫌感情や意思があるはずなのに、こんなふうに男性…

起業の天才!― 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男 大西康之 著

これまでわたしが働いてきた中で感じた様々なことが全部繋がるように書かれていて、夢中になって読みました。リアルタイムでニュースになった出来事をなんとなく覚えていたのは第3部以降だけど、第1部からおもしろい。自分がリクルートで働いていたような…

こころの声を聴く― 河合隼雄対話集

小説『深い河』、その後『深い河をさぐる』という対談本を読んでから、遠藤周作さんの語り口にすっかりハマっております。対談相手の価値観の根底にあるエピソードを引き出すのがおじょうず。この本は「河合隼雄さん×誰か」の対話集のひとりとして遠藤周作さ…

神サマを生んだ人々 坂口安吾 著

軽快に話が進む短編。モリエールのコントのようなおかしみがあって、世間がごちゃついているときにはこんな愉快な話がちょうどいい。坂口安吾の小説に出てくる女性には、そもそも教祖向きの人が多い。「戦争と一人の女」の女(=「続戦争と一人の女」)も、…

Phantom(ファントム)  羽田圭介 著

主人公と恋人のやりとりが始まったあたりから、どうなるんだどうなるんだ、この二人の考えはどう交わっていくのだと先が気になり、ぽんとその世界に放り込まれたように、あっという間に読んでしまいました。 オンラインサロンから広がっていったムラの描写に…

阿部一族  森鴎外 著

その価値基準がどうにもわからないと思いつつ、でもそれは確実に存在している。しかもその性質は地味に生き続け、なくならない。この物語は「殉死」がテーマ。 これは他の言葉を探すと「風土」が近いだろうか。「時代の価値観」と言うとそれらしく聞こえるけ…

何者  朝井リョウ 著

昨年映画を観たのだけど原作は読んでおらず、友人のすすめで読みました。この話は twitter のテキストが重要と教えてもらった通り、映画ではつかみきれなかった関係性をあらためて追うことができました。 この物語は22〜23歳の就職活動中の人たちが主人公。…

妄想  森鴎外 著

森鴎外が49歳の時に残した文章で、老人がこれまでの信念・心の葛藤を振り返り語る体裁。執着があるまま生きているよ、そしてこんな感じで死んでいくこともわかってるよ、ということが書かれています。タイトルの『妄想』は錯乱のような意味での妄想ではなく…

いなか、の、じけん  夢野久作 著

1927〜1930年に書かれた、地方の事件の物語。ざっくり100年前だけど、その昔っぽさ×田舎っぽさは今でもしっかり懐かしいものとして、まるで子供の頃に見た話のように感じられるものもある。昭和の映画にはこういう雰囲気のものがまだまだあったし、地方移住…

飛ぶ教室 エーリヒ・ケストナー著 池内 紀(翻訳)

ケストナーの本をどれかひとつ手元に置きたいと思い、小さな文庫で出ていたこの本を買いました。前半は社会背景や学校のシステム、登場人物たちの呼ばれかたを理解しながら読むのでそんなにスピードアップしなかったのですが、最後の3章はもう読むのが止めら…