読んだ本
外国を旅すると、この状況を地元の人はどう捉えているのだろうというものを目にします。 視覚だけでの印象でいえば牧歌的ともいえる道の、昭和終盤の商店のような佇まいのマッサージ店に「NO SEX」と手書きで書かれた貼り紙が残っていました。 わたしは東京…
先日、友人と初詣に行ったらお寺に大黒様が鎮座していて、その姿が似ていたことから『笑ゥせぇるすまん』の話になりました。昔ニュース番組の途中で放送されていた、大人向けのアニメです。「あれ、いま見るとすごいよ」と聞いてあらためて見たら、自分には…
相手に決めて欲しいときに、グイッと引っ張って欲しいときに、都合よく弱い人のポジションをとりたくなる。そういうときの自分の居心地の悪さをどのくらい認識しているか。 相手が優柔不断。ならば自分で! と、自然に湧き上がってくるわけではない幻の肝っ…
友人からの冬の便りに、この本が添えられていました。なんてすてきな贈り物。 電子レンジが出てこないので、うちのシンプルな台所でも作れるものばかりです。 コロナ禍以降の数年で、親しい人から「料理の話を自然にするようになってる」と言われる機会が増…
ウクライナとロシアの戦争が始まってから、ロシアやグルジアを旅してきた友人と話すたびに、土地勘があると情報の認識のしかたがこんなにも違うのか、これじゃあニュースを見てもついていけないわけだと思ったことが何度かありました。 この本は2015年・2016…
この人のエッセイが好きだという感覚は、なかなか言葉にしにくいもの。内緒にしておきたくなるタイプの感情です。 小説も読んだけどやっぱり仕事のモヤモヤを書いたエッセイがよくて、微妙な喩えがおもしろい。同じような話を他で読んだなと思っても、なんか…
先に映画を4回観て30回くらい泣き済み。だから答え合わせくらいの気持ちで読んだのだけど、原作はこれはこれで、別の部分でグワッとくるところがありました。 あとで小説を読んで映画版のすばらしさに気づく、ここまでの経験は初めて。 小説で "女の義理" と…
友人にすすめられて読んだ『しろばんば』がおもしろくて、その前に書かれた『あすなろ物語』を読みました。 発表されたのは『あすなろ物語』のほうが先なのだけど、『しろばんば』のあの少年が13歳になっていて、その後就職して結婚する頃までの人生のダイジ…
人間の性(さが)について避けられないところが書かれていました。 初回は著者の最期の言葉にたどり着くことをつい追ってしまったので、数日おいて二回読みました。 山本文緒さんが亡くなったというニュースを見たとき、やっとこの作家の作品の刺激について…
30代終盤の傷ついた女性の自分語り。 一晩がかりでこれに付き合ってくれる人がいるとしたら、それは地蔵。 名古屋駅の近くで、愚痴聞き地蔵ってのを見たことがある。 そんな愚痴聞き地蔵ごっこも、小説ならば実現可能。 読んでいるわたしが地蔵になって話を…
静岡県伊豆半島のお話です。視点をすっかり子供の位置に持って行かれ、天城から豊橋の距離が日本からアメリカくらいに感じられて、旅の様子にドキドキします。 隣県が他国のように感じるスケールで暮らしていた頃の出来事が、感受性の畑に感情の種を蒔く。思…
ページをめくるたびに溢れ出る自慢話と回想録。 その人が生きていた頃の印象が残っているうちに本人が書き残したものを読もうと思って読んだのだけど、この読みの苦しみをどう表していいものか。 友人からも「なぜそれを読むの」と聞かれました。わたしには…
作為的に考えれば考えるほど、根源的な幸福からは遠ざかる。だから過剰なプランは立てないことだ。── と、そういう感覚をなんとなく行動指針のようにしている。 その指針は、30代前半までのうじゃうじゃを振り返った経験からの学び。 わたしは主人公と同じ境…
この著者は経験者にこそ語ってほしいことを語ってくれる人かもしれない。 『東京四次元紀行』を読んで安心し、アルコールに関するこの本を読みました。 この種の本は身近な人の怖さを見てきたわたしにとって、要注意のカテゴリです。手を出すのに勇気がいり…
生きているとたくさん、コミュニケーションの後悔をする。 なんであんな言いかたをしたんだろう、とか、なんであそこでずるい質問の形をとってしまったのだろう、とか、個々のパワーバランスを推測せずに雑に人と人を繋ごうとした能天気さとか、そういう後悔…
この本で扱われているスピリチュアルは、波動とか風の時代とかではなくて、脳科学の知見でのスピリチュアル。「無意識/魂」の傾向がテーマです。 わたしは都会からさらに都会へ出る日は、こういうビジネス専門誌に連載されていそうな本を読むことがあります…
先日読んだ『N/A』という小説のなかで、ひとつ強く印象に残るエピソードがありました。 この小説です。 このお話の中に、ある女子高校生が祖父のコロナ感染を心配し悲しんでいる場面があります。 同級生たちは彼女にどうメッセージを返せばいいのか逡巡し、…
先日、日本映画をたくさん観ている人に会えたので、たけし映画のオススメを訊こうと思ったら「わたし、そこ通ってないんですよね。観てないんです」とおっしゃる。 なんかわかる。わたしと同世代でなんとなく避けてきたって人は、けっこういるのかも。 90年…
仕事中にラジオをつけていると月曜の15時に著者がニュースについて論じるコーナーがあって、興味深く聴いていました。 話題に登場する固有名詞から、自分と自分の親世代の中間くらいの人の意見だとわかる。「ここは昔の価値観を残したほうがいいと思っておら…
こういうのを歴史小説というの? 驚きのおもしろさで、わたしにとってはサスペンスでもありました。 語り手の独白にどんどん引き込まれます。ああそうか、この人が話しているのはラフカディオ・ハーン(日本名:小泉八雲)のことなのね。で、この人は誰に語…
平等にすべての人を尊重し、相手を傷つけないように。でも、我慢しすぎないで。逃げてもいいんだよ。 ── という絶妙な “ぬる湯” を保つことが是とされる風潮が浸透しはじめて、何年になるだろうか。 わたしは温泉でのぼせやすい体質で皮膚が猫舌みたいな感じ…
『教祖誕生』に近い時期の発言が知りたくて読みました。映画版の公開年と同じ1993年に発表された本です。(この小説と映画です) 読んでみたら統一教会とオリンピックへの言及が多く見られ、なんでこんなに? と思っていたら、1992年は夏も冬もオリンピック…
映画「教祖誕生」を観てその原作を読んで、名前だけ知っていたこのエッセイを読みました。 知っているけれど読んでいない有名なエッセイって、たくさんあるんですよね……。窓際のトットちゃんも読んでいません。 ビートたけしさんは、わたしの親世代です。ド…
この物語はヨーガ・スートラにもある5つの煩悩のひとつ “Abhinivesha” について、心の鎧のまといかたを、まるでマトリョーシカを開いていくように、とことん見せてくれます。ロシア文学だけに! ── なんてオヤジギャグ・モードにスイッチが入ってしまうほど…
映画を観てから原作を読みました。1993年公開の90分の映画で、最もセリフの多い重要な役を原作者(ビートたけし)が演じ、同年の映画『ソナチネ』で監督補をしているかたが、この映画『教祖誕生』の監督をされています。 映画はDVDを中古で買うしかないなか…
今年のゴールデン・ウィークに熊本の小泉八雲旧居へ行ったのをきっかけに、今年の夏に二冊、小泉八雲関連の本を読みました。 熊本では日本で結婚した小泉セツさんとの手紙を見たり、その前に結婚していた女性マティーさんの写真を見ました。そこでそれぞれの…
先日、久しぶりにリアルで会えた友人と何時間も話をしました。 友人はわたしのブログを海外で読んでくれていて、たくさん本を読んでいるねとわたしに言うのだけど、どす黒い感情を代弁してくれていると感じる本はすぐに読み終えてしまうから、それも含めた ”…
友人から本も映画もすごく良かったよ、と教えてもらった映画『星の子』を観ました。 わたしは映画を先に観たあとに原作小説を読みました。読まずにはいられないパターンでした。 観はじめたら主人公が秦野駅のあたりを歩いていて、弘法山へ行ったときに見た…
夏に出産をした友人が、まったくお腹に力が入らなくなって指で押すとどこまでも入っていくことに驚き、その流れで片山洋次郎さんの本を読んでいるとのこと。 ちょうどその話を聞いたあとに書店でこの本を目にして、立ち読みを始めたら最後の章「更年期と骨盤…
タイトルを見て「なにもそんなに前のめりで準備しなくても・・・」と思われるかもしれませんが、きっかけがあって読みました。 先日同世代の友人と話しながら、なんでも更年期のせいにすると、それとは関係のない前頭葉のはたらきを見落としてしまうことにな…