うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

読んだ本

フロイト ― イラスト版 リチャード・アッピグナネッセイ著  オスカー・サーラティ(イラスト) 加瀬亮志(翻訳)

映画「危険なメソッド」を観る前に読んだ「秘密のシンメトリー」という本にあった手紙から、その誠実な人柄に興味が沸いてフロイトについての本を読みました。この本は古本屋で見つけて、数ページめくっただけでなんだか笑えて即買い。原作もイラストも外国…

秘密のシンメトリー ― ユング・シュピールライン・フロイト アルド・カロテヌート著 入江良平、小川捷之、村本詔司(翻訳)

この本は1977年にジュネーヴでザビーナ・シュピールラインの日記と手紙が発見されたことによって新事実が知られ、彼女に対する研究が発表され問題作とされた本の日本語訳版です。内容は以下が含まれていて、盛りだくさんです。 ザビーナの日記 ザビーナ→ユン…

ザビーナ・シュピールラインの「生成の原因としての破壊」を読みながら

前に読んだ小説「ザビーナ―ユングとフロイトの運命を変えた女」の主人公が残した論文を読みました。この論文「生成の原因としての破壊」(翻訳:村本詔司)は秘密のシンメトリーという本に収録されており、1912年『精神分析学・精神病理学年報』に収録された…

わたしに無害なひと チェ・ウニョン著 古川綾子(翻訳)

選択肢のある人間とない人間がその背景を明言しないまま関係を続けることの先にある絶望的な重苦しさ。この小説に出てくる主人公は若者だけど、これは大人になっても何度も追体験するもの。この本は短編集で、どの物語の中にそういう追体験の素が色違いで差…

スカートの下の劇場 ひとはどうしてパンティにこだわるのか 上野千鶴子 著

生活スタイルが変わると下着も変わる。この夏に「でかパン」デビューをしたこともあって、下着の歴史をもとに人々の意識を考察していくこの本を読みました。序盤で家屋の仕様と排泄場所と下着の関係性が整理され、後半は文化とマインドセットを紐解いていく…

野菊の墓  伊藤左千夫 著

友人の薦めで読みました。これを読んで心を浄化するとよいとのことで、すぐに読みました。いわばタイトルからして出オチのような悲しい話なのですが、そこへ至るまでの描写がどうにもすばらしく、ただ泣けるとかそういう小説ではありませんでした。なるほど…

伯爵のお気に入り 女を描くエッセイ傑作選 向田邦子 著

友人が Instagram にアップしていた自宅の本棚の画像を食い入るように見つめているうちにこの作家がとても気になり、初めてエッセイを読みました。気心の知れた友人の本棚の吸引力はすごいものですね。その人にとって重要人物と思われる本の一群がいくつもあ…

何もかも憂鬱な夜に 中村文則 著

今年の夏は猛暑日が多く、夜中に何度も起きました。このパターンのなかで深夜にこの作家の小説を読むのがひとつの型のようになっており、立て続けに読んでいました。どの作品も、これまでうっすら気にはしたけど深く掘り下げるとしんどいことになりそうな、…

ザビーナ ― ユングとフロイトの運命を変えた女 カシュテン・アルネス著 藤本優子(翻訳)

同じ課題にくり返し取り組んでる同士の関係が恋愛に発展していくということは、わりとよくあることじゃないかと思う。頻繁に会うことで記憶の容量が増えて親しみの感情になったり、課題に対する集中力が共鳴することで脳の働きがシンクロすれば、最高の相棒…

スピリチュアル・ヨーガ ― からだの中から美しくなる7つの法則 ディーパック・チョプラ/デイヴィッド・サイモン著 和泉裕子・小松美都(翻訳)

これまで名前だけは知っていたけれど著作を読んでいなかった、ディーパック・チョプラ氏のヨーガの本を読みました。8年前にわたしがインドでヨガ漬けの毎日を送っていた頃、同じ道場仲間にアメリカから来ている人がいました。その人は授業のQ&Aでパラマハン…

陸軍と性病 花柳病対策と慰安所  藤田昌雄 著

さまざまな統計情報や規律既定の記録、商品パッケージや雑誌広告、写真資料から戦時中の慰安所の様子がわかります。これまで花柳病という言葉すら知らなかったわたしは、公娼制は性病対策から生まれたことをはじめて知りました。 そして慰安施設は「野戦酒保…

ブータンの瘋狂聖 ドゥクパ・クンレー伝 ゲンドゥン・リンチェン(編集)今枝由郎(翻訳)

1455年~1529年にチベットとブータンで活躍したドゥクパ・クンレーという僧侶の遊行・遍歴のお話です。ニョンパ(smnyon pa)と称され、それはチベット・ブータンの仏教においては、「普通の宗教者のレベルを超えた、凡人の常識では計り知れない境地に達した…

迷宮 中村文則 著

他人に対して「終わっている」という表現を使う人は終わっている。←というふうに「終わっている」という表現は使われるほうがいい。そういう世の中であってほしい。他人に対して使われる「痛い」の場合は、その痛みを知っているから使っている可能性があるとい…

ブッダが説いたこと ワールポラ・ラーフラ著 今枝由郎(翻訳)

ふらっと入った古本屋で見つけ、読んでみたらすばらしい内容。この夏いいことあったわぁ、という思い出になりました。もしヨーガから仏教に興味が湧いたなら、まずこの本をすすめたい。ヨーガと原始仏教の混ぜてはいけないところがすごくよくわかるように書…

去年の冬、きみと別れ 中村文則 著

この物語を読みながら、わたしのなかで「欲望がないから影響されやすい」というのは本当だろうか、という気持ちが何度も行ったり来たりしました。目の前の人に影響され自分の心を支配させてやることで支配欲を満たしている人というのは少なくないし、わたし…

私の消滅  中村文則 著

少し前に読んだ「教団X」がおもしろかったので同じ作家の本を読んでみました。この物語は宮﨑勤元死刑囚の事件の分析が序盤で展開されて、「私」が消滅する感じをイメージする題材のように使われています。この小説の「私の消滅」は自我を滅して悟りに向かう「…

サロメ オスカー・ワイルド著 福田恆存(翻訳)

挿絵と表紙に惹かれて手にして、読み始めたらあまりのおもしろさに一気に読んでしまいました。こんなにも挿絵のイメージとの相乗効果で気分を持っていかれたのは初めて。 解説を読んで、新約聖書の元ネタ(マタイ14.3~1/マルコ6.17~)もあとで読んだけれど…

教団X  中村文則 著

最後まで読んだあとに「この態度で書く人、いるんだ…」という静かな感動がありました。この感じはなんだろう。女性の尊厳を認める論調にしれっとすり寄ってくる男性に辟易する気持ちが相殺されるような、そんな感覚。どうもこれは信用できるぞという気持ち。…

「私の個人主義」を再読しながら、昨年の東京大学入学式・祝辞の内容を思い出した

ここ半年で生活ががらりと変わり、いまの自分の物事の見かたは大丈夫だろうか、と思って「私の個人主義」を久しぶり読みました。夏目漱石が大正三年に学習院の生徒に向けて行ったスピーチです。このテキストを久しぶりに読みながら、ふと昨年話題になった上…

あがない 倉数茂 著

他人に説明しにくい。抱えているものがわかりにくい感情ばかりで誰とも共有できない。でもそんな状況に悩まなくてもいい。そういうふうに思えるようになったのはいつからだろう。べつにわたしは悟ってはいない。過去の延長線上にある被害妄想に苦しみ、いま…

HUMAN LOST 太宰治 著

句読点のリズムはメンタルの状態をあらわす。わたしは自分の過去の文章を読んで、おっと大丈夫かと思うことがある。過去の自分を診断する。友人からのメールやショートメッセージにも、そういうものがたまにある。この「HUMAN LOST」の太宰治の文章はかなり…

ドリーム・ハラスメント 「夢」で若者を追い詰める大人たち  高部大問 著

穏やか〔という状態〕とはどういうものかを学んでいる状態の人間に対してシャーンティな前提でこられたら、もうそれはシャンティ・ハラスメントだわよぅ~と思ったことはありませんか。わたしはあります。「あなたは絶対大丈夫な人間、わたしはダメな守られ…

カトク 過重労働撲滅特別対策班  新庄耕 著

自分の経験を振り返るには一定の醸成期間が必要なのだなと、この作家の本を読むたびに思います。先日読んだ「狭小邸宅」にあった登場人物の心理描写のいくつかが気になって、2018年に出版されたこの本も読んでみました。わたしもかつて、数字を追いかける仕…

ブッダの生涯<仏典をよむ1> 中村元(著)前田專學(監修)

1985年にNHKラジオでお話しされた内容の書籍化。テキストで読めます。 説明に気取りがなくて、「仏法は遠い世界の話ではない。心の話なのだから、身近に感じてなんぼだ」という信条のようなものが感じられる、そんな語り口。ブッダという人物自体が同じこと…

自分の性質が望まない方向へ傾いた時のために、手元に残している特選書籍10

先日、わたしが貸した中勘助の「犬」を読んだという人と一緒に食事をしていたときに、こんな話をしました。その人は本を手にしながら「あまりのインパクトでもうこの(物体の)存在自体が怖くて」と話されていて、わたしは「だからこれはいつでも開けるよう…

狭小邸宅 新庄耕 著

仕事と愛憎関係にならずに成果を上げるにはどうすればよいか。お仕事版ベスト・キッドのような師弟関係のあたりから目が離せなくなり、一気に読んでしまいました。営業成績を上げられずに左遷されてきた部下に「お前、自分のこと特別だと思ってるだろ」と、…

破戒 島崎藤村 著

主人公を取り巻く人物の職業や人間関係が巧妙に配置されていて、想像以上にいろんな読み方ができる小説でした。口語で聞くとわからないけれど、”破壊” ではなく、”破戒”。この「戒」がものすごく重い。重いものであってはいけないのだけど。素性を知られたら…

蜜蜂・余生 中勘助 著

この本は亡くなった義理の姉との想い出を日記形式で回想する「蜜蜂」と、それを出版し送り届けた人々から寄せられたお悔やみのメッセージ・感想で構成された「余生」が収められています。中勘助は半年の間に義姉の末子さんと、実の娘のように親しくしていた…

桜の森の満開の下 坂口安吾 著

一人の男が美しいものに狂わされる話です。男がなぜ美しさと幸福がイコールでないのかに悩む、とっても大人向けの物語。衰えていくことを魂が散っていくと感じるほど豊かな感覚を持った男が、それを桜の様子と重ねる描写はうっとりするほど不気味。わたしも…

恋愛論 坂口安吾 著

冒頭がいきなり「知らんけど」と言いそうな調子で始まる恋愛論。恋というものに突きあたらずに結婚する人もあるかもしれないと、いまの時代の感覚で読むととても自然な考えに見える語り口。そして最後まで自然。「愛す」というとキザだから「すきだ」と言う…