うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

2019-01-01から1年間の記事一覧

今年はいろんな言語感覚を持つ人とヨガをしたり語ったりした

今年は高田馬場と神戸で、少し新鮮なできごとがありました。高田馬場へインドのかたがヨガをしにおいでになりました。顔なじみの練習者のかたから「同じ会社にいるインド人を連れて行ってよいか」と聞かれ、どうぞどうぞという展開。 その日はダウンワード・…

清貧の書 林芙美子 著

自分を卑下しないこと、自虐の言葉で自分自身を傷つけるのをやめましょう。なんて自己啓発本にあるような教えって、ぶっちゃけプレッシャーなのよね。もしかしてそれ自業自得って言ってる? この境遇のわたしにそれ言う? だから近づきたくないのよスピリチ…

風琴と魚の町 林芙美子 著

発育盛りでいつもお腹のすいている女の子とその両親が、海辺の町で商売をして暮らすしばらくのあいだの話。ずっとせつなくて、あたたかい。女の子はよく親からビンタをされている。人前でもされる。でもそこに笑いもあって、眼の奥が痛くなる。お腹いっぱい…

坂越湾と生島と海鮮問屋「城」(兵庫県赤穂市・さこし)

石畳の古い町並みを抜けたら、突き当たりは海でした。坂越湾。途中で立ち寄った観光案内所の人が100%「牡蠣を食べに来たんですねはいはいはい」という前提で話してくるので、そんなつもりはなかったのですが牡蠣を食べました。 ── 結論。 この町は牡蠣が好…

坂越の古い町並みを歩く(兵庫県赤穂市・さこし)

播州赤穂駅に置いてあった観光マップに隣の駅「坂越(さこし)」にある古い町並みの案内がありました。到着するまでは赤穂で城下町散策をしたあと温泉へ行こうと考えていたのですが、温泉はやめて坂越へ行くことにしました。 乗車時間4分。JRでひと駅、神戸…

ブランドに頼る性向は、せめて「モノ」までにしておいたほうがいい

グルのブランド、宗派のブランド、グルの死因、宗派の分裂やトラブルetc…、これらの情報を検索するワードの変遷をパソコンからスマートフォンの時代へ至るまでずっと見ています。このブログへの検索流入ワードを見ていると、それだけで「ポジティブであるべ…

絶対的なぶら下がり先を探す人に慈悲の心を向けるのはむずかしい(「シッダールタ」読書会を経て)

先日開催したヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」の読書会でのこと。 その日多くのことを語らうなかで 追従する者がグルをつくるのかグルが追従者をつくるのか という、その力関係のありようや心情について掘り下げる時間がありました。ここでいうグルは伝統的…

貸家探し 林芙美子 著

人生ってこんな感じよねという一面をよくもまあこんなに小粋に切り取るもんだねまったく、という生活エッセイ風の物語。 責任も仕事もタスクもてんこ盛りキャリア・ウーマンの憂鬱な朝。主人公の女性は町の食堂で居合わせた人がさっと食事をして去っていく様…

赤穂大石神社に、悪感情を水に流せる祈り場があったよー(兵庫県赤穂市)

むかしの裁判に控訴というシステムがあれば、なにも大勢で結託してあんなことせんでも…という赤穂浪士(赤穂義士)ゆかりの神社へ行ってきました。これだけで年末っぽい旅行記になるのだから、赤穂浪士も忠臣蔵も、もはや季語。忠臣蔵はぜんぶ見たことがなく…

赤穂城跡を歩く(兵庫県赤穂市)

この城跡外周はざっくり2キロくらい。ぶらっと散歩してみました。 わたしはあまり江戸時代の歴史をよく知らないのですが、廃藩置県で赤穂県になったそうです。廃藩置県の2年後に廃城令があって、当時の日本は廃仏毀釈もあったりしていろいろドラスティック。…

播州赤穂の花岳寺と萬福寺周辺を歩く(兵庫県赤穂市)

播州赤穂へ行ってきました。塩と浪士で有名な赤穂。城下町へ来たなら、城と寺を結ぶ道を歩かなくては。播州赤穂駅から数分のところにある花岳寺と萬福寺のあたりはとてもよい雰囲気で、たまらん物件も多数。きょろきょろしながら散歩を楽しみました。 たまら…

映画「ジョーカー」の余韻を引きずったまま「コンビニ人間」を再読した

映画「ジョーカー」を観た感想を以前書きました。そのときはテレビで道化を演じることについて書きました。 映画を観終わってから数日後に、ふとこんなことを思いました。社会心理ドラマとして観るなら「コンビニ人間」のアメリカ版として解釈したらいろんな…

知っていますか? 日本の戦争 久保田貢 著

今年の秋から林芙美子の小説を読み始めました。そこで描かれる戦前・戦中・戦後の時代の人々の会話や情景や心情は、わたしが学校で習ってきた戦争時代のイメージとはまるで違います。ちょうどそんな時期に、天皇交代の式典のニュースで人々が延々と「天皇陛…

Courage 勇気 OSHO / 山川紘矢+山川亜希子 訳

この本は周囲がみんな敵と感じるとか誹謗中傷を受けてメンタルがやられてしまったとか、そういうときに薬になりそう。悪意の言葉やそこからの妄想にはきっとこういう説法が効く。 OSHOの言葉はインパクトのある喩えやそのとき売れている本を事例に使うから胸…

浮雲 林芙美子 著

読んでいる最中も読んだ後も色とりどりの感情がうごめく。この臨場感はなんだろう。「帰りさへすればいゝンだわ」「友達を紹介して行つてくれたンだけどさア」のような、セリフ内の「ン」の使いかたが絶妙で、主人公の「はすっぱ」な性質が逐一如実に描かれ…

ヨガで性格が悪くなるというのは、第三者から見たらそうだろうと思いあたることがある

ヨガを続けている人と話をすると、ときどき「ヨガをしていると薄気味悪がられる」という話が出ます。「薄気味悪がられる」の部分はそれぞれが自分なりに言語化されていて、目立たないように振舞っていながらちゃっかり観察するから不気味なんじゃないかとか…

オピニオンもキャンペーンもアジテーションもない場

あるきっかけがあって、ここ数年自分が避けてきたことを振り返ってみました。 オピニオンもキャンペーンもアジテーションもない練習の場をわたしが大切に考えている背景について、自分の漠然とした思いを掘り下げてみました。あるきっかけというのは、数年前…

理論武装や過去の失敗の合理化ができてしまう人のつらさと、できない人のつらさ(「シッダールタ」読書会を経て)

先日関西で開催したヘルマン・ヘッセ「シッダールタ」の読書会で、他人から見たら失敗かもしれないことも、当人が身をもって経験して消化して合理化するところまでやらないと気が済まないことがあるという局面について掘り下げる時間がありました。この小説…

痛みもコリも一瞬でとれる筋ツイスト 福冨章 著

この本の表紙はまさにヨガのダウンワード・ドッグのときに意識したい筋肉の流れ。そんな理由で目にとまり、そうそうこれこれ、と思いながら読みました。腕も脚も一本の棒ではなく二本の筒とヒレでできあがっているので、そこを理解して意識するだけでストレ…

余計な情報を渡さない場面に出くわしたときのこと

もうすべてが自分の中ですっきりした、わたしの日常の中で起きたこと。今年の夏のできごとです。仕事帰りによく通るエリアで何軒か、月に1回か2回行く中華料理屋があります。以前は同じ圏内にもう1軒あったのですが、そこは今年の春に建物の取り壊しでなくな…

(再読)夏物語 川上未映子 著

再読しました。この本は読むといろんなことを誰かと話したくなります。でもだいたいは話せないことばかり。話す相手も慎重に選ばなければいけません。そんなときは自分の思いを整理して書いてみる。今日の内容はこの本を読んでいないとちょっとわからない話…

銀行口座の断捨離をした

先月、銀行口座の断捨離をしました。20年以上社会人をやっていると、かつての家賃引き落としや立替経費振り込みなど、いっとき「そのために作った口座」が残っていたりするもの。それを覚えていないのが恐ろしくて。キャッシュカードを無くしていることにす…

君に友だちはいらない 瀧本哲史 著

冒頭が映画「七人の侍」の話から始まるからこの表紙なのか! と思いながら読み進める序盤は、いますぐ観たくなる映画レビューのようなおもしろさ。そこから入っていく核心は、むやみにツルんでもいいことないぞという話。若者には「ぼっち」という言葉がある…

「リラ」の女達 林芙美子 著

社会の中で女性が自尊心を保ちながら生きていくエネルギーの土台を揺るがす、リアルな諦念。どすんとくる。 「何にしても、人生つて、くたびれるところなのね」 それでくたびれたなら、逃げてもいいんじゃないか。そう思わせる物語。 この話の舞台は現代でい…

若さについて考えた

先日、同世代の友人が学生時代(20歳ごろ)のことを振り返っている文章を読んだ。さまざまなことを振り返りながら、「要するに暇だったのだ」と書いてあった。彼女とは30代後半で知り合ったので20歳の時には面識がない。なのにそこに書いてある逡巡はまるで…

やっつけたい気持ちを抑える練習

ヨガの練習中に起こる気持ちのひとつに、こんなものがあります。 「ここでえいっとやったら、なんとかなるんじゃないか」 こんな思考のトラップが起こりやすいバランスポーズの最中に わたしはこう言います。 「やっつけたい気持ちを抑えて」 これは言うと逆…

だから日本はズレている 古市憲寿 著

かつての仕事仲間であったヤング(20代の人)が読書SNSに感想を載せているのを見て、どんなことが書いてあるのか気になり読みました。ヤングが ”本当に酷い” と書いていた「心のノート」という道徳教育強化の副読本(小中学校向け)の存在に驚きました。ネッ…

羅生門 芥川龍之介 著

「蜘蛛の糸」を読んで、自分の記憶の薄さに驚いたので羅生門を読んでみました。 こちらは驚くほど10代の頃と記憶が変わらない。ほぼ同じ脳内映像が展開されていたんじゃないかな。羅生門のほうが、その空間のサイズや階段の段数などが具体的に書かれていて、…

デーヴァーダーシーとヨーギニー

たまにヨガクラスで「ヨガの練習はもともと男性のものだったので」という話をしますが、今日の話は「男性のもの」であったというとらえかたの根拠の一面です。以下を紹介した2013年当時はブログにコメント欄があったので、びっくりしたという書き込みがいく…

哲学の先生と人生の話をしよう 國分功一郎 著

「自分に嘘をつくというのが生きることにおいて一番良くない」「人はひとりで考えていると碌なことになりません」というフレーズが印象に残る本。著者が「観念でしかないものを口に出して物質化しましょう」と書いているのを読んだとき、とてもよい意味で頭…