今年行ったのに、書いていなかった場所がありました。
思った・感じたことがたくさんあって、帰ってから「不如帰(ホトトギス)」を読み始めたのだけど、処理しなければならないことが増え読書を中断したのと一緒に、まるごと忘れてしまっていました。
展示のある記念館
紅葉の時期に行きました。
今年はどういうわけか行く先々で徳冨ブラザーズに関連する場所があって、詳しくなるつもりはないのにお兄さん(徳富蘇峰)のことを少し知っていたので、家族に解説したりなんかして。
わたしはわたしで、「不如帰」の映画で出演されていた昔の俳優さんのことなど教えてもらいました。こういう場所って、70代以上の人と来ると楽しいんですよね。
伊香保で懇意にしていた旅館の離れの復元
伊香保での徳冨蘆花は、この地を大ヒット小説の出だしで紹介して有名にしてくれた大先生です。
とにかく大先生っぷりがすごく、最後の病気療養中に手厚い介助を受けています。
お湯に入りたいと言ったら、立ち上がれなくても椅子ごと入れちゃう。
この椅子に座らせたまま、みんなで介助してお風呂に大先生を入らせたそうです。
(というエピソードを記念館の映像で事前にインプットされます)
ベッドのサイズとかガウンのがっちりした感じなど、実物とともに時代を感じることができます。
日清戦争の錦絵展がすごかった
ここの旅行記をすぐに書けなかったのは、この記念館で展示されていた日清戦争の錦絵のインパクトがすごくて、感想をすぐにまとめられなかったというのがあります。
大日本帝国の偉い人々がこんなにも中国を見下してきたという事実が色鮮やかな錦絵で展開されていて、それがどうにもPOPで恐ろしいのです。
日本はすごいんだぞと国民にインプットする絵には、細部に自国自尊感情を喚起する要素が散りばめられています。その細かさが恐ろしい。
虐げられている人や中国政府の人の媚びるような、かつ狡猾な表情を描いているとき、画家はどんな心境だったのか。まあでも仕事ならそう描くよなとも思ったりして。
視覚的に伝わってくることがたくさんあるのに、発し手の心の奥が掴みきれない、鮮やかで美しい絵の数々。情報過多の芸術。
とても貴重な展示だと思いました。
「日清戦争の錦絵展」は12月24日まで開催中なので、お近くのかたがいらっしゃいましたら、ぜひ。
▼今年は徳冨ブラザーズ関連の場所へ行きました