うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

あのこは貴族 山内マリコ 著

先に映画を4回観て30回くらい泣き済み。だから答え合わせくらいの気持ちで読んだのだけど、原作はこれはこれで、別の部分でグワッとくるところがありました。

あとで小説を読んで映画版のすばらしさに気づく、ここまでの経験は初めて。

 

小説で "女の義理" という文字列で表現されていたものを、映画のあの場面でもこの場面でも感じられた! そうだった! と膝を打つ思いで読みました。

 

 

わたしが最も興味深かったのは、華子が気の利かない男性とスティーブ・ジョブズについてお見合いで話す場面で、かなり強く自己主張をしていること。これは、映画版で華子がAndroid端末を使っているのが気になった裏話のようにも読めます。

勝手な深読みだけど、こりゃあおもしろい!

そしてその婚活期間を華子があとで振り返って、”それまでの自分からは考えられなかったくらい主体的に動いて、いっぱいいろんなことを考えた時間” と語っています。

 

 

話の展開は小説のほうが意地悪で、小金を持っている男性をファッションの流れから痛快に指摘したり、なかなかパンチがあります。

華子が自ら “自分の意志でテリトリーを広げるってことをしてこなかった” という反省する場面では、わたしは貴族でもお嬢様でもないけれど、仕事の選択の面で同じことをしてきたと感じます。

美紀の反省も華子の反省も、チクチク効いてくる。

こりゃ名作だ。名作よー。