うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

地政学入門 佐藤優 著

ウクライナとロシアの戦争が始まってから、ロシアやグルジアを旅してきた友人と話すたびに、土地勘があると情報の認識のしかたがこんなにも違うのか、これじゃあニュースを見てもついていけないわけだと思ったことが何度かありました。

 

この本は2015年・2016年に池袋のコミュニティカレッジで行われた授業が書籍化されたもので、まだトランプ政権誕生前です。だからこそ、いま読むと勉強になる。

『「イスラム国」は「原因」ではなく「結果」』というお話も、そうだよなと思いながら読みました。

 

マッキンダー地政学」の紹介が本題ですが、飛行機・戦闘機がバンバン飛ぶ時代になっても、なぜ海・山の条件を理解する必要があるのか。それがよくわかりました。武器や資源の協力関係の理解には海・山の知識が欠かせない。

さらにそこへ宗教と人種の歴史、あたりまえに語られる神話の中の感情も絡んできたときに、理解できるのか。

こういうことを知ろうとするときに、フランスのように人権意識が高くタブーが多すぎると、知っておくべきことも知ることができなくなってしまう。

わたしは日本の情報メディアの口調は、特に一般向けであるほど人権意識への配慮だけが高く、フランスのような方向へ寄っていると感じています。なので、ミシェル・ウエルベックという作家の小説『服従』を読んでみたくなりました。

 

イギリスは文化の面で、サブカルちっくなエンタメ・ドラマで現実に切り込めているという話は興味深く、この本を読んだのは、エリザベス女王が亡くなり、イギリスの新首相がインド系の人物になったあとのこと。イギリスの現実の展開の速さに驚いていたタイミングでした。

 

そしてこれもたまたまですが、少し前に石原慎太郎さんの本を読んでいたので、海の領域について意識を持って自国のことを考える感覚が、この「地政学入門を」読むときに、意識の面で参考になりました。

領海や対他的経済水域の決めかたなど、わたしは知ろうと思ったこともありませんでした。津軽海峡国際海峡で、ロシアはここが通れないと流氷の多い航路を選ばねばならなくなって困ることなど、ただ北方領土の問題のニュースを聞いているだけではわからないことです。

地球儀をデスクに置いて、ぐるぐる回しながら読みました。