小説を読んで、聖地巡礼気分でその地を歩いてきました。
友人にすすめられて知った『しろばんば』は国語の教科書に載るほど有名らしいのだけど、わたしは大人になってから知りました。か、覚えていなかったか。
「教科書で読んだ」といわれる本をわたしは覚えていないことが多いので、国語の時間はボケッっとしていたのでしょう。
『しろばんば』は、登場する大人たちの性格がみんなそこそこ悪く、いまの時代に読むとドリフのコントのようで痛快です。
影の主役というかほぼ主役の「おぬい婆さん」という人物が、ドリフに出てくるマッサージのお婆さんのような口のききかたをします。そこに田舎のナマナマしい人情がドバドバ注がれて、笑えるのにジーンときちゃう。すごい文章。
主人公の叔父にあたる校長先生はザ☆いかりや長介って感じだし、自然豊かな土地ならではの仙人的な叔父さんもいて、田舎ならではのデキ婚の早い展開もあったりして、「日本人の性格&コミュニケーションあるある」が凝縮されています。
先日、おぬい婆ちゃんの像を紹介しました。
こんな具合で行ったので、読んだ人とは必ず話が弾む。弾んじゃう。
「上の家」の前で、年配のかた(たぶん著者の親戚のかた)が話しかけてくれました。
なんでも答えてくださるので、質問しまくりです。
結核になったお姉さんが寝ていた部屋はあそこでしょうか? 洪作が終盤で葬列を見送った下田街道が見える角度はここからどっち方向ですか? 椎茸の叔父さんのいる山の方角は? 温泉への道は? とかとかとか。全部答えてくださいました。
その場面の視点の立ち位置を、歩きながら教えてもらいました。
ここは、男の子たち、女の子たちがそれぞれ泳いでいた川(へい淵)。
土蔵は文学碑の近くに跡地があります
主人公の二人(老婆と少年)が住んでいた土蔵は、上の家からほんの数秒くらいの距離感です。
上の家の向かいにお友達の幸夫の家があって
こんな細い道でつながっています。
▼土蔵は、いまは跡地だけ
けっこう大きな土蔵だったみたい。
これは、あすなろの木。
帰ってから、しろばんばの前に書かれた『あすなろ物語』を読みました。(これもすばらしいおもしろさでした)
この「しろばんばの碑」の前に本を置いて写真を撮っていく人もいるくらい、胸アツのファンがやってくるそうです。気持ちわかる! わかるよー。
説明をしてくださった井上さんと、静岡県に住む友人たち。
今回は「三島まで来れるなら乗っけていくよ」と静岡の友人が声をかけてくれてのドライブ。一年前に「中勘助記念館」につき合ってくれた仲間たちです。
少年が主人公の話(銀の匙→しろばんば)の流れで、天城神社という場所がオススメという話になったんじゃなかったかと思うのだけど、経緯は忘れてしまいました。
古い友人に会うと「自分ばっかり興奮して喋ってたな・・・」と反省して、内容をほとんど忘れちゃう。そういうことってありませんか。
「話がまとまらないおばさん」って、こういうプロセスで製造されるんだなぁと、まさにその製造過程のベルトコンベアーに乗った感覚で生きてる今日この頃です。
みなさんはいかがですか(一緒にするなってw)。