うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

読んだ本

兄の終い 村井理子 著

警察から連絡が来た時に、一瞬で頭がなにかのスイッチを切ろうとする感じというのは、慣れたりするものだろうか。内容的には重いノンフィクションなのだけど、しんどくなく読めた。この本を教えてくれた友人の語り口がさらっとしていたからというのもある。 …

ツベルクリンムーチョ/追憶のコヨーテ 森博嗣 著

毎年12月に発売されるエッセイをその月に買って読んでいて、パンデミック初年の2020年の「ツベルクリンムーチョ」は、なぜか読んだことも忘れていました。ハイライト(Kindleの付箋のような機能)の箇所をいま読んでも、なぜそこにハイライトをしたのかピン…

インドラの網  宮沢賢治 著

先日読んだ『インドラネット』にインドラの網の話が出てきて、また宮沢賢治を読みました。数週間前に『ビジテリアン大祭』を読んだばかりだったので、宮沢賢治に追いかけられている気分。 ちょっと読み慣れないような幻想的なお話でしたが、ガンダーラ美術、…

インドラネット 桐野夏生 著

黒いわたしと白いわたしが同時に感想を叫びたがっている。さて、どっちに先にマイクを渡そうか。そうですね、ここは・・・ヨガをやっている人ってポジティブですよね! という人向けに、まずは白組代表のうちこさん、いかがですか。この本を読んだ感想を教え…

乱にいて美を忘れず―ワコール創業奮戦記 塚本幸一 著

昨年にリクルートの江副社長の本を読み、そのあと何冊か続けてセゾングループの堤社長の本を読み、そのあと京セラ・稲盛和夫さんの本を読み、稲盛さんの「生き方」という本にこの方のお名前が出てきて読みました。 これまでに読んだ社長さんたちの本と比べて…

あのころなにしてた?  綿矢りさ 著

ほんとうにタイトル通りの内容。 本編は2020年のことが書かれているのだけど、結局は2021年に書かれた「あとがき」にうなずく。そんな日常の記録。 わたしの場合はもともとコロナ騒動の前に生活を変える予定で、最悪のタイミングがいくつか重なってひとつひ…

ビジテリアン大祭 宮沢賢治 著

ビジテリアンは、ベジタリアンのこと。菜食主義者と肉食者がそれぞれ主張を交わす場面が大半で、宮沢賢治の説明のうまさに息を呑みます。どんどんその世界に引き込まれるなかで、ふと、これはスポーツの祭典・オリンピックのことか? と思う瞬間がありました…

身分帳 佐木隆三 著

映画『すばらしき世界』を観て原作が気になり、Kindle版があったのでさっそく買って読みました。設定が映画では現代に置き換えられていましたが、主人公のモデルになった人物はわたしの親よりもほんの少しだけ上の世代の人。 日本赤軍が事件を起こしたのと同…

春のこわいもの 川上未映子 著

春じゃないけど嫌な感じのものはいつもどこかあるもの。春はそれがちょっと顕在化しやすいのかもしれない。え? ほんと? ほんとにそう?嫌な感じは自分のコンディション次第。そうか、自分のコンディションで視野が揺れるのか。そうだろうか。ほんと? ほん…

注文の多い料理店 宮沢賢治 著

ベジタリアンの友人がこの本を読んだ感想を読み、わたしも読みました。もともと気になっていたのと、友人の視点とわたしの視点の違いも楽しみたくて。子供の頃に読んだ記憶は、もうほとんどありません。わたしはいま、この物語のどこに着目するのか。自分の…

阿片窟の死 アビール・ムカジー著 / 田村義進(翻訳)

大好きなシリーズの第三作目を読みました。この『阿片窟の死』は、インドの近代史に関心を持っている人におすすめです。いきなり三冊目のこの本から入っても大丈夫。ドラマの「相棒」みたいなおもしろさです。なぜこんなにも、今回はいきなりおすすめなのか…

生き方 〜人生で一番大切なこと〜  稲盛和夫 著

稲盛和夫さんの本をまた読みました。 最初に読んだ『考え方』の時にも書きましたが、ヨガの練習で知り合ったかたのおすすめがきっかけです。 稲盛和夫さんの本を何冊も持っているとおっしゃっていた中で、最初に『考え方』を貸してくださったそのチョイスが…

室町は今日もハードボイルド―日本中世のアナーキーな世界― 清水克行 著

先日、オンライン会議が始まる前の雑談中に、教養があるっていいなと思うことがありました。コロナは終わらないし地震は起こるし戦争まで勃発して、、、なんて世間話をしているときに、「もうそろそろまた年号変えなくちゃだね」とおっしゃるかたがいて、「…

善悪の彼岸へ 宮内勝典 著

少し前に読んだ『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』のなかにこの本からの引用があり、気になって読みました。読んでみたら、この視点での追跡をずっと求めていたと思う内容でした。 地下鉄サリン事件の…

考え方 〜 人生・仕事の結果が変わる  稲盛和夫 著

ヨガのお仲間がこの本を貸してくださいました。ヨガ教室で知り合って少しずつ雑談をするようになって、30回くらい会った頃でしょうか。ある日、映画と本の話になりました。 「この頃は小説が読めなくなってきて、自己啓発本ばかり読んでいる」とおっしゃるの…

日本社会がオウムを生んだ 宮内勝典+高橋英利 著

作家の宮内勝典さんとオウム真理教を脱会した元信者・高橋英利さんの対話が記録されています。時代の振り返りが興味深く、なかでも特に第三章で話されているやりとりは、わたしの経験と照らし合わせて過去30年前の日本社会の温度感が蘇りやすい内容でした。 …

スクリーンが待っている 西川美和 著

なんとも言えない旨味の詰まったエッセイ集でした。リズムは軽いのに濃い。映画『すばらしき世界』の構想段階から題名を伏せて書かれているのだけど、だんだん情報を公開できるようになって具体的になっていきます。 脚本を書く段階で取材・確認する現実社会…

ぼくはテクノロジーを使わずに生きることにした マーク・ボイル著/吉田奈緒子(翻訳)

著者は『ぼくはお金を使わずに生きることにした』という本が大ヒットし、その印税でアイルランドのゴールウェイ県に1万2000平米の小農場を購入して移住。今度はテクノロジーを使わない生活にチャレンジしている人で、この本はその最初の1年間の記録した、ド…

暗い抱擁 アガサ・クリスティー著 / 中村妙子(翻訳)

行動の動機について、じわじわ、ねっとり掘り下げる。いやだわー、と思いながら夢中で読んじゃった。アガサ・クリスティーの小説で探偵が出てくるものは短距離走。探偵が出てこないものはフルマラソン。わたしはこのフルマラソン型のものに惹かれる。この感…

わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方  吉川ひなの 著

自己管理について自分の考えを話すときの強い調子が意外で、いつのまにか母親業&心身健康維持のプロになっていて頼もしい。この本を読んでから Youtube にある自宅出産の映像を見て泣き、マタニティ・ダイアリーの最終回では本にも書かれていたパートナーシ…

オーラの発表会 綿矢りさ著

「心の栄養」の話だった。泣いた。その前に2回爆笑した。 さっきのはもう一度おくれ と 『ポテンシャル』 のところで、かれこれ10年以上かけて練りこんできたウディヤーナ・バンダが完全に壊れた。骨盤底筋をまたイチから鍛え直さないと、近日中に下半身の…

だいたい更年期(6人の専門家が解説) 三省堂書店/創英社

どんだけだよ!と思われそうですが、また更年期の本を読みました。この本は過去に読んだ三冊と比べると、少し年上の友人の話を聞くような、日常の雑談に近い感覚。 なかでも終盤で医療ジャーナリストの増田美加さんが伝えてくださっているメッセージはわたし…

愛の重さ アガサ・クリスティー著 / 中村妙子(翻訳)

エーリッヒ・フロムの『愛するということ』を読んで愛は技術だと教わり、練習が必要であることを知った。あの本を読んだのは3年前。そんなに昔ではなかったから覚えていた。 愛は練習をしないと共依存の関係に陥る。本人がそういうものだと知識を持っていて…

ポスト消費社会のゆくえ  辻井喬/上野千鶴子

ドラマ『古畑任三郎』を初めて観たときのような衝撃的なおもしろさでした。上野千鶴子さんの古畑任三郎っぷりがとにかく素晴らしく、まさかと思う流れから超大物が口を割る。 上野警部は最終話でこんなことを言い出します。 これからでも遅くないから、自作…

ミッドライフ・クライシス  鎌田實 著

これはどの年齢層向けに書かれたのだろう。40歳からでも遅くない、今から海外へ行けと70代の人からハッパをかけられる、なかなかマッチョな内容です。 とにかくアドバイスがシンプルです。スクワットだ! 筋肉量を減らすな! 野菜とタンパク質をとれ! 発酵…

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ 山口周 著

少し前に読んだ「武器になる哲学」がおもしろくて、ちょっと毛色の違う本を読んでみたくなりました。読んでみたらズドーンとくる展開で、後半が付箋だらけになりました。 善悪の判断において、最も普遍的に用いられている基準は、当然ながら「法律」というこ…

仕事に悩む君へ はたらく哲学  佐藤優 著

BUSINESS INSIDER の連載 佐藤さん、「はたらく哲学」を教えてください で知り、本を読みました。哲学者の肖像イラスト横にちょこっと書いてあるフレーズや文字の感じもまたよくて。 前半はふんふんと軽快に読んでいたのですが、第4章の「負の感情の哲学」で…

武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50 山口周 著

どのシステムにどのくらい関与しながら自分の人生を生きるか。どの組織にどのくらいコミットして、本来ありたい自分を見失わない範囲で人格をコントロールするか。自我を滅してしまえば奴隷という認識や概念に振り回されずに精神の自由を得られるのに、なぜ…

セゾン 堤清二が見た未来  鈴木哲也 著

パルコ、リブロ、ロフト、WAVE、無印良品、ファミリーマート。そしてこの本を読むまで知らなかったJ-WAVE、吉野家。どれも旧セゾングループです。 なかでも最初にリストした4つの場所は、自分が就職した頃の憧れの場所で、池袋の P'PARCO へよく行きました…

不道徳教育講座  三島由紀夫 著

今じゃNGなことばかり書いてあります。 『週刊明星』という女性向け大衆週刊誌への連載だったそうです。 なんだか世界が反転している気がするけれど、それでいいんですね。これは不道徳教育講座だから。草食推奨ではなく肉食の時代だから。うんうん。ああ、…