これはどの年齢層向けに書かれたのだろう。
40歳からでも遅くない、今から海外へ行けと70代の人からハッパをかけられる、なかなかマッチョな内容です。
とにかくアドバイスがシンプルです。
スクワットだ! 筋肉量を減らすな! 野菜とタンパク質をとれ! 発酵食品で腸内細菌を増やせ! とテンポよく語られ、勢いと希望があります。
よくよく考えるとこういう本を、わたしは以前、通勤中に栄養ドリンク感覚で読んでいました。それが今はまったくピンときません。世代的にはターゲットど真ん中のはずなのに。
最終章で展開される著者セレクトのさまざまな偉人の言葉のなかに、紫式部、ダーウィン、ピカソらと並んで太宰治の作品が登場していました。
『斜陽』のなかにある「人間は恋と革命のために生まれて来たのだ」というフレーズが使用されています。
著者はかねがね、”恋はわかるが、革命がわからない” と引っかかっていたそうで、そこから「人間は恋と自分革命のために生まれて来たのだ」と解釈を加えて突き進みます。
この文章の元ネタを書いた太田静子の存在・意図はスルーされてしまう。彼女は女の生き方革命という意図で書いていたのじゃなかったかな。
こういう解釈を生ませるところもまた、太宰治の魔術。
この本は「いま40代50代向けに語るチャンスがあるなら、われわれはこんなアドバイスをしたいよね」と70代80代の人が共有して気持ちよくなるための本に見えて、なんだかテレビっぽいと感じました。
わたしが世間からズレすぎなのかしら。