ほんとうにタイトル通りの内容。
本編は2020年のことが書かれているのだけど、結局は2021年に書かれた「あとがき」にうなずく。そんな日常の記録。
わたしの場合はもともとコロナ騒動の前に生活を変える予定で、最悪のタイミングがいくつか重なってひとつひとつクリアした、そんな時期が2年前にありました。
今は今で、そのころは全く想像していなかった生活になっていて、他人の日常の記録を読むことで今の自分と距離を置いて振り返ることができました。
確かに世間はこんな雰囲気だったなーとか、友達とこんな話をしたなーとか、思い出せるけど実感がない。
わたしもこの本のあとがきにある以下のような感覚になったことがあります。
一度泣いたらもう立てないと直感で分かるときがある。そんなとき頼れるのはもう矜持しかない。ものすごい強風が吹いているなか、優雅に午後のお茶を意地でも楽しもう。
終わりも着地もわからないものを相手に、静かな楽観主義を自発的にガンガン打ち立てる、それが長く続く日々。そこにあったのが矜持だと言われたら矜持かもしれない。
この本は日常を綴ったエッセイなのだけど、いろいろ感情が抑制されて書かれています。そのなかで伏見の饅頭喰い人形の話が印象に残りました。
マスクを無理にしなくていいという親と、できるだけしなさいという親の間にいる感じも、子供の感覚ならきっとこういう感じ。伏見のお人形のエピソードから、そんなことを思いました。