パルコ、リブロ、ロフト、WAVE、無印良品、ファミリーマート。そしてこの本を読むまで知らなかったJ-WAVE、吉野家。どれも旧セゾングループです。
なかでも最初にリストした4つの場所は、自分が就職した頃の憧れの場所で、池袋の P'PARCO へよく行きました。チビTとかピタTが流行った頃じゃなかったかな。今日はヤングを全力で置き去りよ。
権威的なブランドよりもワクワクする何かが手に入る場所として期待を集めるビジネスを生み出した堤清二さんの思想は、今でいう「コト消費」を先取りしていたと。この本はそのような視点でまとめられています。
ロフトは「東急ハンズの上等なやつ」を作ろうとして生まれたそうですが、その東急ハンズも昨年末にホームセンターカインズへの売却が決まっています。
圧倒的にブランド力があっても、比率としての「大衆」が変われば変化を迫られます。先進的な状態というのは、規模が大きくなればなるほど保つのが難しい。
セゾングループの吉野家支援について書かれた章では、こう書かれていました。
外から見れば先進的なイメージをまとったセゾングループだったが、組織の内部には見逃せない問題があった。セゾングループはもともと老舗百貨店などの既得権者を追撃するベンチャー精神を持っていたはずだったのに、急速にその風土が失われつつあったのだ。
(吉野家で「セゾン文化」を壊す より)
このベンチャー精神のありようが独特で、無印良品はファッション性の高い商品を手がけるようになってはいけないとか、「わざとこの場を作っている」という意識があったのが、薄れてしまったと。
刈り取る前にどんどん種を植えていくことと利益回収のバランスの難しさも書かれていました。
もともと共産党員で社会主義的な思想を持っていた堤清二さんが70年〜90年代に考えていたことが、いま見直すと現代予測のように見える。
まあそう見ればそうですが、わたしはインターネットがない時代の知的好奇心マーケットの読み方が絶妙だったのだろうと思います。今よりも「映え(ばえ)」の時代だったように思います。
この本が出版されたのは2018年。
いまは疫病時代に入って、新しい生活スタイルの快適さを追いかける消費もそろそろ終わり。主体的にワクワクできる人だけがワクワクできる時代になって、この本の内容がものすごく昔に感じるほど自分の感覚も変わっています。
このブログの下書きはだいぶ前に書いていたのですが、二週間ほど寝かせている間に、先日「セブンがそごう・西武を売却へ」というニュースも流れてきました。
そもそも西武をセブンが持っていること自体、うちの近所で言えばロフトがイトーヨーカドーに入っていること自体、時代を感じすぎる出来事です。