さてここからはお悩み相談のコーナーです。
さて本日のお悩みは……
こちらお住まいと性別は書いてないのですが、34歳の方からのご相談です。
長いメールでしたので、こちらで少し要約させていただきました。
ここからですね。メールを読みます。
今日はわたしとわたしの師との関係についてご相談したく、メールいたしました。
わたしには「師」と思っている人がいて、わたしはその人から教えを受けながら、活動のサポートもしています。他のみなさんは無職の方が多いのですが、わたしは本業を持ち、資金面でもささやかではありますがサポートをさせていただいております。
「これはあくまで自分の意思でやっていること」
これまでずっとそう思って続けてきました。ですが近頃、いくつか気になることが出てきてモヤモヤしています。
わたしの師はサポートを受けていることに引け目を感じているのか、外面上、すべてのことを自分でやっているかのように見せていて、まるで自然にそれが成り立っているかのように振舞います。他のみなさんもそれを当たり前のことのようにしていて、わたしはそれが納得できません。
先日わたしの師から「いつもありがとう。本当に世話になっている。だけどそんなふうに不機嫌そうな顔をするのは偽善者のやることです。寂しくてわかって欲しくてそうしているのはわかるのですが」と指摘をされました。
そのときはなぜか涙が出て、本当のことを言ってもらえてうれしかったのですが、あとになってからふと、これはモラルハラスメントじゃないかと思うようになりました。
わたしの師はわたしと同い年で、生まれた時期は二ヶ月しか違わないのに、世間で多くの人から必要とされ、仕事もせず自分の考えを発信しながら暮らしていて、すごい人だなと思っています。
わたしがその人をすごいと思った時の気持ちは今も変わらず、この人の近くに居るだけでエネルギーをもらえると感じています。
ですが
えー、ここからかなり長い内容でしたので、スタッフのほうで少しまとめさせていただきました。
続けますね。
文章が支離滅裂ですみません。
わたしは、師と一緒にいるとまるで自分がケチな人間のように思えてくるのが苦しいです。だからこそ純粋で美しいその人のそばに居ることで自分の醜い部分を洗い流すのがよいことも、頭ではわかっています。
頭ではわかっているのですが、わたしの気持ちをわかっていながら、わたしのことを偽善者だと言う師をどうしても許すことができません。
近頃は、いまこれをネット上で拡散すればこの人はニセモノだと世間から糾弾され炎上するだろう、という場面でそれをしたくなることもあります。実際すでにいくつか、動画も撮っています。本当にそれを行動に移してしまうのが怖いです。
・・・というご相談です
── はい
で、ですね、このメールなんですが、動画が添付されていました。それがどうやら、このメールの最後のほうにある動画のようです
── そうですか。なるほど。まあその動画については無かったことにするとして
はい
── どうですか。こういうこと。わたしはこの相談者さんの気持ちが、まったく同じことを経験したわけではないですが、まあわからなくはないです
わたしも、わからなくはないです
── このメールはすごく長く書かれていたということでしたが
はい、先ほど読み上げた内容の、そうですね。。。A4の紙にプリントして・・・10枚くらいありました。それをスタッフのほうで一部割愛というか、要約させていただきました
── それだけ書けるくらい、心に思っていることがあると
そう、みたいですね
── でね。どうでしょう。振り返って。どうでしたか。34歳
え。34歳、ですか
── はい
思い出せない、というか、思い出したくもない。・・・いろんなことが、いろんな考えが・・・
── いろんな考えが・・・
あった気がします
── 卒業とか就職とか、そういう時期に年齢を意識して横並びで比較をするのは、みなさん当たり前にしてくることだと思うのですが、34歳って
単純ではない差が出てくる時期というか・・・
── ですよね。年齢としては大人とされているけれど
メールには「二ヶ月しか違わない」と書いてあって、同い年であることを細かく気にされてますね
── 仕事というか、お金のことについても書かれていましたね
ありましたね。前半に
── ほかの方の年齢については書かれていませんでしたが、この相談者さんは、「師」と呼んでいる人と自分の年齢、それから、”ほかのみなさん” は仕事をしていない人が多いと。この "仕事" という言葉の定義にもよりますが
はい
── で、モラハラの件ね
はい。あ、もうそっち行っちゃいますか
── 先にその話をしましょう
はい
── これはまあ、そうっちゃそうだけど。モラハラと言えばモラハラだけど
このかたは、この相談者さんは、どうして欲しいんでしょうね
── そこなんですよね。わたしはこのメールを読んでいて、このかたは、自分に仕事があることを誇りというか、何かしら心の支えにもしていると思うんです
なるほど
── で、ご自身で気づいていらっしゃるようにも見えるのですが、その、仕事がある状況の活かし方というか、使い方というのかな・・・、そういったところでも、迷いが出ているんだと思うんですね
と、言いますと
── この「師」という人のことは、その迷いを知る材料というか・・・
うーん
── 例えばですが、お金や仕事のことでいえば、家や車のローンとか養育費とか入院費とか、そういう何かしら別の切羽詰まった状況があったら、また違ってきたと思うんです
なるほど
── で、この状況ですね。この人の本職というのかな。それがなにかわかりませんが、仕事で成功したい、評価されたいと思っているとしたら、こういう認められたい気持ちというのは、このメールにある「師」ではなく、そっちの方へ行くと思うんですね
ふむ
── で、この状況について、思い出すことがありました
なんでしょう
── こういう気持ちを31歳の時に書いた作家の名文を読んだことがあって
誰ですか。わたしも知ってる人ですか
── 教科書に載るくらいの人なので、知ってると思います
── ビンゴ
誰ですか。なんという作品ですか
── 太宰治の『駈込み訴え』という作品です。30分あれば読める短編なので、ぜひ、この相談者さんにも読んでみてほしいです。その上で、この語り手が出した結論について考えてみるといいんじゃないかな
どうなるんですか
── それをいま話すと、読む意味がなくなってしまうので
なるほど。気になりますが・・・
相談者さん、ぜひ、読んでみてください。
以上、ご相談コーナーでした。
(この内容は身近なフィクションです。わたしが主催するBook Clubでの雑談をベースとした妄想人生相談です)