うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

インド思想

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第三講(日本ヨーガ禅道友会)

「第一講」「第二講」に続いて、第三講からの紹介です。 だんだん細かいところに入っていきますが、人気の「1章33」の話が出てきます。 「パタンジャリの中の人たち」が長い年月をかけて編み上げたヨーガ・スートラの、各章のどれが時代的に先かという話。仏…

チッタを制感しつつ、マナスを表明する

ヨガの練習に行ったら、女子更衣室で元ライブドア社長の仮釈放記者会見の様子が話題になっていました。風貌だけでなく、心がどう変わったのかが気になる、と。 時事ネタにインド思想をからめるのは、やろうと思うとなんでもできちゃうのでできるだけ避けてい…

語るインド 伊藤武 著

語根からサンスクリットを雰囲気たっぷりに解説してくれる、とてもおもしろい本です。 中村元先生や佐保田先生の本を読んでいると、注釈に「この語根は○○であるから○○という意として訳した。パーリ語でも同様にほげほげ……」というような、解釈の方向性を意思…

ブッダの感興のことば(ウダーナヴァルガ)中村元 訳

「真理のことば(ダンマパダ)」と同じ本に収められています。 ウダーナヴァルガは西暦150年ごろ(カニシカ王の頃と近いという記述より)に、ダルマトラータ(法救 Dharmatrata)が編纂したという伝説があるそうです。 ヨーガ行者という言葉が出てきたり(32…

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第二講(日本ヨーガ禅道友会)

「第一講」に続いて、第二講の紹介です。第二講のポイントは「ヨーガと仏教を一緒に学ぶメリット」が明言されているところ。 前回「インドの哲学ってものは神学では決してない。人間学なんです」と語っていた佐保田先生の視点がさらに掘り下げられる部分も素…

聞き書き抄 解説ヨーガ・スートラ 第一講(日本ヨーガ禅道友会)

スーツ姿の佐保田先生のヨーガ・スートラを、ポロシャツ&カーディガン姿の佐保田先生がお話口調で解説しました、という内容。10回の講話を文字に起こしたもので、「解説本で、あそこはああ訳したんだけども、、、」というようなことが語られています。 この…

サンカルパはヨーガと仏教でちとノリが違う

サンスクリット語を仏教ニュアンスで理解しているがために、哲学のヨーガを学ぶと混乱する、ということがよくあります。仏教のほうが性弱説・性悪説のうえに立っているような、そういう違い。 「サンカルパ」 ヨーガの練習のときは「決意」という感じでマニ…

長渕のほう? つのだ☆のほう? ふたりのサイババ

日本人同士だとついこんな風に確認してしまうサイババ。 日本では「つのだ☆さんのほう」のサティヤ・サイ・ババの認知度が高いのだけど、インドの町では 「長渕さんのほう」のシルディ・サイ・ババが断然ありがたがられている。 (顔は黒沢年雄似なんだけど…

ハタ・ヨーガ・プラディピカー 英語版では左道密教部分を語っていなかった

ヨーガの古典について外国人ヨギさんたちと話す機会がありました。 題材に「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」が出てきたので、3章の大楽思想はきっと紛糾するだろうなぁと思っていたら、「Hatha Yoga Pradipika」のPancham Sinh氏訳英語版(PDFはこちら)は密…

パタンジャリ・世親・野口晴哉と「潜在意識」

なぜこの三人? と言われたら「なりゆきでつながりました」としか言いようがないのですが、きょうは業と潜在意識・潜在記憶のはなしです。 ヨーガを学んでいくと、仏教と似たところで混乱します。「輪廻思想」や「カルマの肯定のしかた」の違いを見はじめる…

ゲーランダ先生のサガルバ・プラーナヤーマと阿字観

去年からちくちくと英文で古典を読むというのをやっていて、いまはゲーランダ・サンヒターをやっています。 これをやっているとネタに尽きないくらい、いろいろと面白い発見があるのですが、5章48節は阿字観でした。 ■5章48節 First I shall tell thee the S…

インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉 著(最終章)

後半の感想で終わったかと思いきや、最終章の感想です。 最終章は「世界への旅立ち」という章で、旅立つのはラマクリ師匠の教えのことで、実際にボディごと旅立つのは弟子のナレンドラ(スワミ・ヴィヴェーカーナンダ)なのですが、旅立ちよりも出会いの時期…

インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉 著(後半)

まえに前半への感想を書きましたが、今日は後半です。 周囲に集まる人が増えて、弟子も増えてきてからのエピソードです。グナを超越した領域のことまでなにげにサクッとおっしゃるので、リアル・バガヴァッド・ギーターのような味わいです。 <158ページ 第…

今日の新聞に、仏教サーンキヤがあったよ

わたしは、ヨーガ・スートラというのは日本人の場合、仏教を認識してからじゃないと混乱せずに読むのはむずかしいのではないかと思っています。もともと4冊の本が歴史的に複雑な状況で組まれているという要素を抜きにしても、読みはじめたら、とくに1章が「…

Kindleにわたしが期待すること

まだ手持ちで読む本がたくさんあるので Kindle は持っていないのだけど、ちょっとわくわくすることがありました。 英語の本なのでここでは紹介しなかったのだけど、インド三大神について書いた時に使用した写真の本にKindle版があるのを見つけたのです。 こ…

インド三大神のポジショニング

インド思想を学ぶとき、日本人の感覚だとここがネックではないかと思うことについて書きます。 三大神というのは、シヴァ、ヴィシュヌ、ブラフマー(ブラフマン)。なにかとよく登場しますね。ブラフマーはあまり馴染みがないと思うかもしれませんが、「OMマ…

ガンダムとスター・ウォーズはバガヴァッド・ギーターの第2章

「うちこがアニメや映画の話をしだすと、ついていけない」と、身近な女性たちに不人気なので書く機会がなんとなく減ってきていた、コレ系の話。 今日は「どんなに真面目に勉強していても、これを読んでいてアレやコレを想起しないでおれるか!」 というだけ…

インドの光 聖ラーマクリシュナの生涯 田中嫺玉 著(前半)

(著者さんの名前の漢字は女偏に「間」です) スワミ・ヴィヴェーカーナンダのお師匠さんの伝記。過去に何度か英文でその教えについて書いたことがありましたが、たまらん内容です。 インドでは国民的に有名な人です。ぜひどんどこ売れて欲しい本です。 こん…

プルシャとプラクリティの大胆な翻訳

インド哲学は「なんで自己や自我をあらわす言葉だけでこんなにあるの……」というのが面白ポイント。バリエーションは横並びで学べるのでそんなに疲れないのだけど、プルシャとプラクリティの話になるととたんにグッタリきます。各派や時代によってヴェーダの…

よい結果を正確に刻むこと(vasanaの使い方)

これはある単語の説明の訳です。 のちの行動に影響するほど心に刻まれた、過去の行動(の結果)の印象 この文章から、「トラウマ」という単語を連想する人が多いのではないかと思うのですが、トラウマというのは広辞苑でひくとギリシア語の「精神的外傷」。…

たくさんありすぎる「やめとけ」と「おすすめ」(シヴァ・サンヒター 3章32〜35)

先日、ハタヨーガ・プラディーピカー(以後H.P.)にあった「6つの大切」を紹介しましたが、今日はシヴァ・サンヒター(SHIVA SAMHITA) からの紹介です。 順番的にはゲーランダ・サンヒター(以後Gh.S.)というのがH.P.の次に有名なのですが、Gh.S.はなんと…

6つの大切(ハタ・ヨーガ・プラディーピカー 1章の16)

先日「インドとまじわる」という本の紹介で、イスラームの「四つの大切」を紹介しましたが、それと似ていてわたしの好きな教えがヨーガの中にもあります。 いま移動先にいて手元に佐保田先生の訳本がないのですが、たしか佐保田先生の本では、「続・ヨーガ根…

多国籍版・宗教ディスカッション

哲学の授業で、いろいろな国の人と宗教について話す機会がありました。 在住国ベースでアルゼンチン、スペイン、イタリア、フランス、チェコ共和国、イギリス、アメリカ、ドバイ、インド、タイ、日本。生まれベースでは中国とフィンランドが加わ理、司会者も…

従者マウントの書として再読「バガヴァッド・ギーター」上村勝彦 訳

この本は5年前に感想を書いているのだけど、再読しました。 初読みのときは、この本の章句を主に「カルマ・ヨーガの厳しくてイイ話」を、ヨガを続けるモチベーションに転化していた。そういう読み方をしていた。 はじめは、マヌ法典やウパニシャッドのありよ…

宗教を学ぶときの視点(「インド思想史」とともに)

今はイスラームを掘り下げていますが、その前にヨーガを含むインド哲学、チベットや中国を経由して日本に伝わっている教えを中心とした仏教を、ちまちまと楽しみながら学んできました。そういうことをしていると、アジアや中東の宗教を比較したときに、いく…

インド思想史 (中公文庫) J・ゴンダ 著 / 鎧淳 訳

オランダ人ヤン・ゴンダ氏の著作を、40年以上後に鎧淳氏が辻直四郎氏らの教示を受けながら訳した渾身の良書。 もとは昭和56年に冨山房から出版されたもので、いまは岩波版のほうが普及しているようです。わたしは中公版を読みました。 ヒンドゥーイズムもウ…

インド人は自然の持つ「モード」を定義した

アーユルヴェーダを学んでいる人にはなじみ深い単語の「グナ」。 「無いという状態がある」というゼロの定義のほかに、インド人すごいわと思うのが、この三つのグナという「性質」の定義。まったくどうにも細かい分解大国です。 今日は手元にあったシュリー…

トリドーシャをイメージで10本ノックしてみた

ヨガやアーユルヴェーダを学ぶたびに、サンスクリット語で用意されている性質単語の豊富さに感服する。 目に見えないものをどんどん性質で定義していく。 うだうだと長く説明しなくても、「ああ○○ね」で済む単語の多いこと多いこと。 ヨギ同士の会話だと、こ…

ウパニシャッド 佐保田鶴治 著 「解題」とまとめINDEX

昨年の9月から今年の2月にかけて、不定期で紹介してきた「ウパニシャッド」の紹介まとめです。 末尾にある「解題」の章からの引用とともに、末尾に全13記事へのリンクインデックスをつけます。ウパニシャッドとかヴェーダというのは、一般的にはとっかかりに…

夢位の解釈 シャンカラ/ラーヤーナ/佐保田鶴治(「マーンドゥーキァ・ウパニシャッド」より)

昨日「マーンドゥーキァ・ウパニシャッド」の感想を書きましたが、その注釈にあった「夢位」の三者の解釈が興味深かったので抜き出して考察します。 このウパニシャッドのなかで、覚醒位、夢位、熟眠位の「夢位」は「光明的自我」が紐付けられています。そし…