うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

読んだ本

本を読んだら散歩に行こう 村井理子 著

生きているとたくさん、コミュニケーションの後悔をする。 なんであんな言いかたをしたんだろう、とか、なんであそこでずるい質問の形をとってしまったのだろう、とか、個々のパワーバランスを推測せずに雑に人と人を繋ごうとした能天気さとか、そういう後悔…

スピリチュアルズ 「わたし」の謎  橘玲 著

この本で扱われているスピリチュアルは、波動とか風の時代とかではなくて、脳科学の知見でのスピリチュアル。「無意識/魂」の傾向がテーマです。 わたしは都会からさらに都会へ出る日は、こういうビジネス専門誌に連載されていそうな本を読むことがあります…

表面的な苦しみの奥にあるもの。すぐには弱音を吐けない理由(小説『N/A』を読んで考えたこと)

先日読んだ『N/A』という小説のなかで、ひとつ強く印象に残るエピソードがありました。 この小説です。 このお話の中に、ある女子高校生が祖父のコロナ感染を心配し悲しんでいる場面があります。 同級生たちは彼女にどうメッセージを返せばいいのか逡巡し、…

弔辞 ビートたけし 著

先日、日本映画をたくさん観ている人に会えたので、たけし映画のオススメを訊こうと思ったら「わたし、そこ通ってないんですよね。観てないんです」とおっしゃる。 なんかわかる。わたしと同世代でなんとなく避けてきたって人は、けっこういるのかも。 90年…

東京四次元紀行 小田嶋隆 著

仕事中にラジオをつけていると月曜の15時に著者がニュースについて論じるコーナーがあって、興味深く聴いていました。 話題に登場する固有名詞から、自分と自分の親世代の中間くらいの人の意見だとわかる。「ここは昔の価値観を残したほうがいいと思っておら…

かくも甘き果実 モニク・トゥルン著/吉田恭子(翻訳)

こういうのを歴史小説というの? 驚きのおもしろさで、わたしにとってはサスペンスでもありました。 語り手の独白にどんどん引き込まれます。ああそうか、この人が話しているのはラフカディオ・ハーン(日本名:小泉八雲)のことなのね。で、この人は誰に語…

N/A 年森瑛 著

平等にすべての人を尊重し、相手を傷つけないように。でも、我慢しすぎないで。逃げてもいいんだよ。 ── という絶妙な “ぬる湯” を保つことが是とされる風潮が浸透しはじめて、何年になるだろうか。 わたしは温泉でのぼせやすい体質で皮膚が猫舌みたいな感じ…

みんな自分がわからない ビートたけし 著

『教祖誕生』に近い時期の発言が知りたくて読みました。映画版の公開年と同じ1993年に発表された本です。(この小説と映画です) 読んでみたら統一教会とオリンピックへの言及が多く見られ、なんでこんなに? と思っていたら、1992年は夏も冬もオリンピック…

たけしくん、ハイ!  ビートたけし 著

映画「教祖誕生」を観てその原作を読んで、名前だけ知っていたこのエッセイを読みました。 知っているけれど読んでいない有名なエッセイって、たくさんあるんですよね……。窓際のトットちゃんも読んでいません。 ビートたけしさんは、わたしの親世代です。ド…

イワン・イリイチの死 トルストイ著/望月哲男 (翻訳)

この物語はヨーガ・スートラにもある5つの煩悩のひとつ “Abhinivesha” について、心の鎧のまといかたを、まるでマトリョーシカを開いていくように、とことん見せてくれます。ロシア文学だけに! ── なんてオヤジギャグ・モードにスイッチが入ってしまうほど…

教祖誕生(映画:天間敏宏監督/原作小説 ビートたけし著)

映画を観てから原作を読みました。1993年公開の90分の映画で、最もセリフの多い重要な役を原作者(ビートたけし)が演じ、同年の映画『ソナチネ』で監督補をしているかたが、この映画『教祖誕生』の監督をされています。 映画はDVDを中古で買うしかないなか…

耳の悦楽―ラフカディオ・ハーンと女たち 西成彦 著

今年のゴールデン・ウィークに熊本の小泉八雲旧居へ行ったのをきっかけに、今年の夏に二冊、小泉八雲関連の本を読みました。 熊本では日本で結婚した小泉セツさんとの手紙を見たり、その前に結婚していた女性マティーさんの写真を見ました。そこでそれぞれの…

家族  村井理子 著

先日、久しぶりにリアルで会えた友人と何時間も話をしました。 友人はわたしのブログを海外で読んでくれていて、たくさん本を読んでいるねとわたしに言うのだけど、どす黒い感情を代弁してくれていると感じる本はすぐに読み終えてしまうから、それも含めた ”…

星の子 今村夏子 著/大森立嗣 脚本・監督

友人から本も映画もすごく良かったよ、と教えてもらった映画『星の子』を観ました。 わたしは映画を先に観たあとに原作小説を読みました。読まずにはいられないパターンでした。 観はじめたら主人公が秦野駅のあたりを歩いていて、弘法山へ行ったときに見た…

女と骨盤  片山洋次郎 著

夏に出産をした友人が、まったくお腹に力が入らなくなって指で押すとどこまでも入っていくことに驚き、その流れで片山洋次郎さんの本を読んでいるとのこと。 ちょうどその話を聞いたあとに書店でこの本を目にして、立ち読みを始めたら最後の章「更年期と骨盤…

自衛隊メンタル教官が教える 50代から心を整える技術 下園壮太 著

タイトルを見て「なにもそんなに前のめりで準備しなくても・・・」と思われるかもしれませんが、きっかけがあって読みました。 先日同世代の友人と話しながら、なんでも更年期のせいにすると、それとは関係のない前頭葉のはたらきを見落としてしまうことにな…

おもろい以外いらんねん 大前粟生 著

いつまでも継承され続けるコミュニケーションの型について、いま20代の人はどんなふうに感じてきたのか。それが感覚的に伝わりやすい小説でした。 お笑い芸人に憧れた高校生がテレビ売れていく過程とその周辺の人の話で、男の人たちがワイワイ評価し合うあの…

グーグーだって猫である1 大島弓子 著(コミック/映画)

少し上の世代の人たちが読んできた本としてよく名前を目にする、大島弓子さんの本をはじめて読みました。古本屋さんで一巻を買ってきました。 コロナの少し前からわたしの周りでは猫を飼う人が増えていて、なんとなく息抜きに読んでみたくなりました。 グー…

心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには  高尾美穂 著

昨年読んだ『いちばん親切な更年期の教科書』がとてもためになり、エッセイ集のようなこの本を読みました。 音声配信されているコンテンツをテキスト化されたものだそうです。 高尾先生はヨガをされているので、その視点とスタンスが参考になります。 ヨガを…

居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書 東畑開人 著

少し前に読んだ『野の医者は笑う』がとてもおもしろかったので、この本も読みました。沖縄でフィールドワークをしたくなった背景には、こんなことがあったのか! 序盤を読んでいる段階から、これは前回同様、終盤で前半のユルさが効いてくるパターンだなと思…

よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑  大野萌子 著

わたしは昨年の今頃、だいぶおかしな喋り方をしていたと思います。毎日一回は「ちょいと」と言っていたような。 小津映画にハマって片っ端から繰り返し観ているうちにセリフのパターンがインストールされ、今の時代だったら糾弾されまくるに違いない “パワハ…

コメント力 ―「できる人」はここがちがう 齋藤孝 著

古本屋さんで開いたらすごく面白くて、読むのが止められず買って帰ってきました。 さまざまな場面での著名人の絶妙なコメントのほか、漫画や物語のキャラクターのセリフとその聞きどころがつらつらと書かれており、人選が最高です。 わたしの大好きな清少納…

オーセンティック・コーチング 苫米地英人 著

この本を読んでいる人から目次をちょろっと見せてもらって、気になったのでわたしも読みました。 読んでみたら、これはサンカルパのことを説明しておられる? と思う内容で、コーチングとカウンセリングは別物だということが明示されています。 コーチングは…

みんなの「わがまま」入門  富永京子 著

大学の先生が中高生に向けて、社会を変えていくためにわがままを言うことの意義を伝えていく講義仕立ての本です。 わたしはあのとき必要なわがままを言った。だけど後から罪悪感にさいなまれた。だからもう、言うのもやめておく。後で言ったら言ったで、なん…

野の医者は笑う 心の治療とは何か?  東畑開人 著

楽しくふざけながら、実にあけすけに書かれていてドキドキしました。 この本は近代医学の外側で活動している治療者たちを ”野の医者” と呼んで治療を受けに行く臨床心理士の沖縄スピリチュアル探訪記。 軽妙な語り口で書かれているけれど、前半は後半の展開…

世界でいちばん私がカワイイ ブリアナ・ギガンテ 著

ひとたび好きになると、すぐに秘められたお言葉を買いたくなってしまう。 ご本人の声で脳内再生しながら読みました。 友人からブリアナさんの動画を教えてもらって以来、わたしのコマ切れの可処分時間をぎゅんぎゅん吸い上げられています。 あまりにたくさん…

「宗教詩ビージャク」収録のサバド カビールの詩/橋本泰元(訳注)

ここ2年ほど、カビールの詩を写経のように書き写しています。 この詩は平凡社から出ている「宗教詩ビージャク インド中世思想の精髄」という本に収録されていて、「ラマイニー」「サバド」「サーキー」の3つの型の詩集が収められています。 「ラマイニー」…

棒がいっぽん  高野文子 著

あとになってやっと人に話せるようになることがたくさんある。 先日も古くからの友人に「わたしその話聞いたことあったっけ?」と言われて、「ない。はじめて話した」ということがあった。 この漫画の登場人物たちと同じように、日常のなかでゴリッとぶっこ…

母親になって後悔してる オルナ・ドーナト著/鹿田昌美(訳)

原題は『Regretting Motherhood』で、2008年に開始されたイスラエルでの調査(対象者23名・すべてユダヤ人)をもとに書かれています。なんだn数23の話かと思うかもしれませんが、その対象者の選びかたも重要なコンセプトになっているので、たった23人と思う…

オツベルと象 宮沢賢治 著

えええええ、こんな話だったっけ?! と、ものすごい衝撃を受けました。 この話は子供の頃に読んで「苦しいです。サンタマリア。」というフレーズもしっかり覚えていました。 なのに、ものすごい衝撃。 それはわたしがオツベル側でもおかしくない年齢を越えた…