うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

コメント力 ―「できる人」はここがちがう 齋藤孝 著

古本屋さんで開いたらすごく面白くて、読むのが止められず買って帰ってきました。

さまざまな場面での著名人の絶妙なコメントのほか、漫画や物語のキャラクターのセリフとその聞きどころがつらつらと書かれており、人選が最高です。

 

わたしの大好きな清少納言の「うつくしきもの」も解説がありました。泉重千代さんのユーモア、『エースをねらえ!』のコーチの教祖っぷりもしっかり解説されていて大満足。

惜しみなくどんどん出される事例を追っていくだけで楽しく時間が過ぎていきます。

 

 

コメント力は、そのまま関係性把握能力を表します。

関係性の読み違いはエゴによって起こる事故のようなものだけど、その読み違いを客観視できれば、さらにおもしろいコメントになる。コミュニケーションの豊かさって、こういうところにありますよね。

おもしろくならない場合のことも説明されています。

 コメントを注意深く見ていくと、その人と他者との関係性を知ることができる。たとえば社会的に大成功をおさめた人に素直にコメントを言えないときは、自分の中に嫉妬心が混じっていることが多い。つい「あれが足りない」「ここはまだまだである」といろいろなあら探しや弱点をつついてしまいがちだが、それは質の低いコメントである。

(「コメント力」には関係性と生き方があらわれる より)

この本が出版されたのは2004年。ヤフーコメントのようなものを多くの人が目にする時代ではなかったけれど、あら探しのコメントに加えて専門家や事情通を気取った「あまり世に知られていない情報」を披露する人までいて、新たな地獄の平野がどんどん拡大しています。情報や分析を付加する人って、あれもマウンティングの一種なのでしょうか。

 

 

この本に出てくる例には「最高に粋なマウンティング」があります。それが、わたしの大好きな泉重千代さんのネタ(?)です。

名前は女性っぽいけれどもこの方は120歳まで生きたおじいさんで、114歳のときに長寿世界一でギネスブックに載りなりました。そのときにインタビューで好みの女性を訊かれて、「年上の女」と回答されています。

 

 

近頃は発言に気をつけることを「アップデートできてる」と言ったりしますね。

わたしはあれがどうにも薄っぺらく感じられて、辟易しています。わたしはいつまでも、アップデートどころではない域にいた泉重千代さんにスタンディング・オベーションを送り続けたい。そんなわたしに、とてもおもしろい本でした。