うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

心との戦い方 ヒクソン・グレイシー 著


ヒクソン・グレイシーがべらぼうに強すぎる、負けない試合をテレビで観てきた世代ですが、まあすんごいヨギさんなんです(参考)。
この本を読んで、そのヨガのルーツが「超越瞑想を母親がやっていた」ということを知り、びっくり。TM瞑想ともいわれる、マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーさんのアレです。(参考:ビートルズとヨガのまとめ)そりゃ、心もまとまるわ!
自伝的にかなり長い期間のことを振り返り、終盤で

 大切なのは、多少の問題を抱えていても、それはそれとして幸せを感じるように努力することだと思う。(210ページ)

と語るヒクソンさん。すてき。



<20ページ プロ初勝利をもたらした "心" より>
 自分自身のネガティブなメンタルは、対戦相手よりもずっとたちが悪い。間違いなく最大、最悪の敵であり、すべてを台無しにしてしまう。

ギーター6章5節でましたー。別の章で「私は、恐怖心は自分にとって寡黙な友人だと考えている」ともおっしゃる。




<36ページ カーペットによる恐怖の再現 より>
 私はカーペットにぐるぐる巻きにされることを自分のメンタル・トレーニングとして、週に一回くらいの割合で、二ヶ月ほど続けた。
 このトレーニングのおかげで、乱取りをしていて、自分よりずっと大きな相手に顔の上にのしかかられて、息が苦しくなっても、パニックにはならなかった。
 なぜなら、人間はそう簡単に窒息死するものではないこと、実際にはわずかだが空気が入ってくること、そして少し我慢していれば、やがて体勢を立て直して、その苦境から脱出できることを知ったからである。

妄想を発動する感覚も含めてシミュレーションをするところがヨギック!



<59ページ 怒りをコントロールする より>
 その次の試合で、私はカーウソンの別の弟子と対戦した。
 ところが、カーウソンに対する怒りが残っており、それが私の邪魔をした。テクニックで相手を圧倒する本来の戦い方を完全に忘れ、相手を肉体的に痛めつけること、つまり「お仕置きをすること」に一生懸命になってしまった。
 その結果、相手にある程度の苦痛を与えることはできていたが、試合を終わらせることができなくなっていた。
 気がつくと、七分以上の時間が過ぎていた。

基本的に一、二分で試合を終えていた頃の話。



<75ページ まずは "情熱"、続いて "戦略" を持て より>
 その目標は、他人から示唆されたり、あるいは依頼されたことであってもいい。しかし、自分から思い立ったことであれば理想的だ。なぜなら、その場合には、自分の内側から強い意欲、情熱、関心がほとばしり出てくるからだ。

サンカルパですねぃ。



<83ページ 目標と戦略を持ち、"運" には頼らない より>
 きちんと目標を設定し、正しい方向で努力を続けなければ、人はいつまでたっても目標を達成できない。その場合に、運に頼ろうとするのである。
 それは自分の弱さの表われであり、運をあてにする時点で、その人はすでに敗北を喫している。

戦略を重視する考え方はすごくすてき。以下も同じ視点でのピックアップ。



<214ページ 豊かな日本人の幸福観 より>
 他者に働きかける必要があると思えば、良く戦略を練った上でそうするべきだし、自分自身に問題があるのであれば、謙虚に反省して、悪いところを修正してゆかなければならない。

二元論におちない。中間のしんどいところも主体的に見る。



<89ページ 現実を見つめ、ときに目標を修正する より>
 ブラジルには、こんな諺がある。
「何か悪いものを食べても、それで死ぬことがなければ、結局は自分の栄養になっているのだ」

これおもしろい。そんなことはないと思うけどおもしろい。



<233ページ 理不尽なプレッシャーには抗え より>
 同じアジアでも、中国人は少し違う。一流ホテルの従業員であっても、客が彼らに対して無礼な態度を取ったら、決して黙ってはいない。猛然と講義する。
 同じようなことは、日本ではまず起こらない。あまりにも従順であり、また何かあっても、絶対に客とトラブルを起こさないための社員教育が徹底しているからだ。これは、ちょっとやりすぎなのではないだろうか。

ホスピタリティ・マーケティングの教科書」という本の紹介でも同様の箇所をピックアップしたけれど、ここはほんとうに異常だと思う。「おもてなし=絶対服従の上にさらに乗せていくもの」ということではないよね。



さまざまな対戦やオファーについてヒクソン側から語られる内容を信じると、日本の格闘家はいろいろ失礼なことをしている。高田氏がボロクソに書かれる一方で船木氏の精神性は褒められおり、「やだそこ火の呼吸つながり〜」と、ヨガ視点で読みました。
それにしても、やっぱりかっこいいなぁ。この本はひとことでいうと、「ブラジリアン・ギーター」です。