うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

これから誰に売れば儲かるのか 成長戦略の正しい考え方 吉本佳生 著


定期的にこういう本を読むと、精神が安定します(笑)。人は自分の見ている世界を、世の中で比率が多いものと思ってしまう生き物なのでね。
市場というのは「シェア争いでは買っても、ビジネスでは負ける」「シェア争いでは負けても、ビジネスでは勝つ」ということが起こるのがおもしろい。ここ数年でさまざまな業界の様子をかいま見て、「イノベーティブなことはかっこいいけれど、あそこはやっぱりブルーオーシャンではなかった」という状況を多々知り、世の中の見かたが変わってきました。狙って当たるのと偶然当たるのではだいぶ奥行きが違うので、まだまだわたしも社会勉強が必要です。

<142ページ「ビッグデータの統計分析に頼った企業はコケる?」より>
 この消費市場でいま実際に買い物をくり返す消費者のうち、ネットショッピングや電子マネーを利用する人や、ネット上で「口コミ情報」を発信する人たちが、原則として、ビッグデータの統計分析の対象となります。つまり、ビッグデータによって情報が得られる顧客層と、そうでない顧客層があり、今後、ビッグデータがカバーする範囲は拡大が予測されますが、それは若・中年層 ── つまり縮小する市場の顧客に偏りやすいといえます。
 情報通信技術の発達・普及によって集まるようになったビッグデータでは、そうしたテクノロジーの浸透がかなりゆっくりになる高齢層の顧客データが、とても軽視されやすいという危険性をもちます。いずれにしても、統計学を使った分析において、"データの偏り" は、きわめて危険なものです。

「データの偏り」というのはほんとうに怖いものです。とくにリアル行動ログ。逆に頭の中のものを視覚化する検索ワードは意識の係数が見えたりして、見方を間違えなければたいへん役に立つもの。「そのデータの存在自体がどういうものであるか」というのを考えられればよいのよね。



<54ページ「国内王者シャープが経営危機に陥った理由」より>
 多くの人たちが政府に期待する成長戦略 ── 新製品の市場拡大、技術進歩、生産性向上などを促進する政策支援は、じつは、不況にあえぐ日本経済にとって、もっとも危険な経済政策です。薄型テレビの事例は、その典型例です。

地デジ×薄型テレビのときは、ほんとうにいろいろと不思議なことがおきていました。あのあとに「日本人とユダヤ人」を読んで、あのときに日本教のムードに少し触れていたのかも。なんて思いました。高速道路1000円でETCが売れたこともあったなぁ。よく考えるといろいろ思い当たる。



<63ページ「高機能なほど価格下落スピードが速い?」より>
 意外によくある現象です。ただし、新発売になった当初は、もちろん大容量タイプのほうが高かったのです。
 ところが、少々高くても大容量タイプを買いたいという顧客が多く、大容量タイプのほうがたくさん売れると、たくさん売れる製品ほど「大量生産・大量販売によるコストダウン効果」が強力に働きます。

わたしは女性の友人に家電芸人のように連れられてビックカメラに行くのですが、この説明をすることがある(店員より玄人!)。



<85ページ「ゆっくり普及させるという戦略」より>
消費者にもっと買ってもらうために、市場の成長は必要です。しかし、より自然な成長を求めるべきで、成長スピードをうまくコントロールして、ゆっくりにすることが大切です。

これホントだいじ。ルンバとかダイソンとか、じょうずね。



<175ページ「本人の学歴はあまり関係ない?」より>
 高齢女性の場合、全員が高学歴化しなくても、ある程度の比率で高学歴の人が増えれば、相当な波及効果をもつと思われます。あとでデータでみるように、高齢男性より高齢女性のほうが、友人をつくって遊ぶのが上手だからです。

この連鎖、あなどれないんですよね。うちの母親は、アジア3カ国を一緒に旅したら要領を覚え、60過ぎのオバチャン同士で東南アジアへバックパック旅行に行くようになってしまいました。初日の宿も予約せず、航空券だけ買って行ってます。娘⇒母⇒友人への波及。これは極端な例だけど、こういうことが今後増えていくんですよね。


これはこれで見つつ、ほかの世界も見つつ、もっと濃すぎる世界も見つつ。
データを見て語っている内容の中に、「日本人の操作のされやすさ」への指摘や反省も多数含まれていて興味深かったです。


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