うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

いい子のあくび 高瀬隼子 著

 こういうことをする女性も平等に罰を受けるべきだという意見がサイレント・マジョリティだとしても、本人は女性であることで割りを食ってきたと思っているので手をつけられない。
『令和最新版・コンプラ社会で女性が効率よく不幸を手に入れる方法』 みたいな話が三話収められていた。

 

 わたしが本棚に置いている平成の小説に『自分を好きになる方法』 というのがある。
自我を肥大させてマイナスを掴みにいかないように、キツいけど戒めのために定期的に読むべき小説だよねと、歳の近い友人とその志を共有している。
その小説とこの小説は、読みながら抱く感覚がどこか近い。だけど友人に『いい子のあくび』をすすめたくなるかというと、ならない。キツすぎると言われそうだ。

 
 この本に登場する主人公たちは、平凡な気づかいをメタ的に実況しながら生活している。自分自身の土台のなさを熟知している。
だから頭の中の口数が多い。他人に落ち度を見つけた途端に意地悪なことをはじめる制御の雑さもリアルだ。

無気力が量産する義憤の過程を文字起こししたような物語だった。