うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

いなか、の、じけん  夢野久作 著

1927〜1930年に書かれた、地方の事件の物語。ざっくり100年前だけど、その昔っぽさ×田舎っぽさは今でもしっかり懐かしいものとして、まるで子供の頃に見た話のように感じられるものもある。昭和の映画にはこういう雰囲気のものがまだまだあったし、地方移住…

飛ぶ教室 エーリヒ・ケストナー著 池内 紀(翻訳)

ケストナーの本をどれかひとつ手元に置きたいと思い、小さな文庫で出ていたこの本を買いました。前半は社会背景や学校のシステム、登場人物たちの呼ばれかたを理解しながら読むのでそんなにスピードアップしなかったのですが、最後の3章はもう読むのが止めら…

ホルモンの減少は、情緒の泉が少し枯れる感じ

更年期のメンタルについて、わたしなりになにか書きつけていきたいと思っています。思春期のことを思春期の頃には言語化できなかったので、そういうことをしたくて。ここ半年の間に、2年前に綴った四十肩・五十肩日記について「思わずあれを読んだよ」と言わ…

おばさんデイズZ まめ 著

また買ってしまいました。おもしろいのよねぇこれ。今回もお風呂で何度もふきだしてしまい、その自分の笑い声が反響するのがなんとも不思議な感じで、「あ、いま私、笑った・・・」と思うとまたよくわからない感情が湧いてきて、1回笑ったら今日はここまで…

森半チャイの素は冷たいミルクによく溶けてええの

平日もほとんど朝食を摂らないリズムになって、半年ほどが過ぎました。以前はグラノーラやバナナを食べていたのですが、基礎運動量が減ったのでやめました。 でも10時ごろになるとお腹が空いたりして、そんな時はミルクティを飲みます。 いまは猛暑なので「…

雁 森鴎外 著

人間関係のほんの少しの範囲しか書いていないのに、ここまでときめく話があるだろうか。複雑な感情も描いているのに、それが人間の愚かでかわいらしい範囲を絶対に超えてこない。あくまで人間らしいものとして見守る。雁のほかにも鳥が出てきて、わたしには…

スタンフォードのストレスを力に変える教科書 ケリー・マクゴニガル著/神崎朗子(翻訳)

わたしは「ストレス」という言葉をどういう時に使っていいかわからず、それは「忙しい」という言葉も同じで、それぞれ自分のなかで、ストレス=プレッシャーを感じている、忙しい=期限の決まった案件を強く意識している、というふうに置き換えてなんとか理…

パナマ帽・カンカン帽・キャップの内側に不織布マスクを貼ってみた

いよいよ真夏が来てしまいました。帽子の季節です。週末に不織布マスク地をおでこゾーンに貼る作業をしました。日焼け止めや皮脂やファンデーションでうっすら黄色や肌色になってしまう部分に、捨てる前のマスクを貼ることを思いつき、やってみたら通常より…

「深い河」をさぐる 遠藤周作(対談集:本木雅弘、青山圭秀、横尾忠則、W・ジョンストンほか)

小説『深い河』を読んで著者の人柄がとても気になり、この本を読みました。視点も文章もまったく年齢を感じさせなくて、戦争の話も出てくるのに、わたしの苦手な懐古主義の香りが皆無。こんな意識で思考できる70歳になりたいと、精神的指標にしたくなる。そ…

表意文字的コミュニケーションと思考の癖のこと

先日、おひさしぶりに連絡を取り合ったかたが、興味深いエピソードを教えてくれました。少し前にこのブログに書いた映画の話をたまたま知人の方とされたそうで、その映画は10年以上前の、この映画です。 この映画を観て、知人の方がこんな話をしてくださった…

女たちのニューヨーク エリザベス・ギルバート著/那波かおり(翻訳)

どんな多様性の話題も、まだどこかでちゃっかりわきまえているフェミニズムも蹴散らす最強で最高の物語。ものすごくおもしろいので本編の筋に触れないまま、今日は読書中の心の体感温度を振り返って感想を書きます。 後半にジョー・ディマジオの名前が出てき…

山椒大夫 森鴎外 著

えげつない話で驚きながら読みました。そしてラスト数行でぐわっと胸を掴む展開は、なにも反則技を使っていないのにずるいと思うほどうまくて、ひどい話なのにこの物語を好きにさせられてしまう。 元ネタの説教節『さんせう太夫』はもっと恨みの応酬らしく、…

ぷっくり唇で喜んでいたら、むくんでいるだけだった

やっと梅雨の合間の晴れ間が見られるようになってきた。6月終盤から、わたしは朝起きると唇に全くシワがない日が何度かあって、それは結論をいうと「むくみ」だったのだけど、わたしはこれまで足の甲くらいしか自分でむくみを認識できなかったので、間違えて…

高瀬舟 森鴎外 著

その場にいる登場人物は二人だけの短編。森鴎外の小説を読んでみたくなり、読みました。この物語はたまに倫理的葛藤を起こさせる事件があった時に「高瀬舟みたいに〜」と引用されることがあるので、どういう題材を扱った小説なのかまでは知っていました。 読…

センセイの鞄  川上弘美 著

わたしはこれまで、「下心」というものの意味がよくわからずに生きてきました。いまひとつ「努力」との区別がわからない。結果を出したければ知恵を働かせたり工夫をするもの。毎回その境界がいまひとつつかめない。それを「下心」と思うのは、相手の主張を…

大塩平八郎 森鴎外 著

大塩平八郎の乱の密告から最期までを、史実に推測を加えて森鴎外が1914年(大正3年)に発表した文章です。当人と親族や門人、追随した人、そして密告者と追跡者を知ることができる内容で、最後に著者自身がこの文章をまとめた意図を述べています。 慣れるま…

前向きであるとはどういうことか

前向きであるとはどういうことか。それは「サッとやる」ということ。行動直前の躊躇のなかにあるネガティビティを捉まえる、そういう思考の癖に「魔」が潜んでいることを教えてくれたのは、わたしがはじめにヨガを教わった、インドから日本へやってきた先生…

深い河 ディープ・リバー 遠藤周作 著

信じる対象を持っていると、信じる対象を求めているけれど認めたくない人を加虐的な気持ちにさせてしまう。信じる対象を持つ人の矛盾を引っ張り出して可視化して、その偽善性を示したいという気持ちを刺激してしまう。「いじめられるほうにも原因がある」と…

母影(おもかげ) 尾崎世界観 著

自分にはどうやら物質的な欲が少ないみたいだ、ということに気づくには時間がかかります。欲しいかどうかはさておき、いつか欲しくなった時のために得られるようにしておくに越したことはないと考える人が多いのでね。ましてや子どもとなれば、物質的な欲と…