うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

飛ぶ教室 エーリヒ・ケストナー著 池内 紀(翻訳)

ケストナーの本をどれかひとつ手元に置きたいと思い、小さな文庫で出ていたこの本を買いました。
前半は社会背景や学校のシステム、登場人物たちの呼ばれかたを理解しながら読むのでそんなにスピードアップしなかったのですが、最後の3章はもう読むのが止められませんでした。関係性をしっかり理解しないまま読んでもメッセージが深く入ってくる。

 

ふたりのロッテ』が女の子たちのサマースクールが舞台だったのに対し、こちらは冬の男子校。
置かれた状況で生きることについて子供の目線で書いている点は変わらず、けっして平等ではない「祝福」のイベント(クリスマス)とそれぞれの立場がとても切なくて、日本ではお正月に同じような思いをしている人が決して少なくないはず、と思いながら読みました。

 

 とにかく離れろ! このクリスマスの空気の外に出るんだ!

こんな思いを代弁してくれる児童書があるなんて。
パーリーピーポーであることが是!という空気から離れないと自己を保ちにくくなって生活のパフォーマンスが下がる、そういうことって、大人になってもある。

こんな形で慰められたら、あんたそらおばちゃんだって号泣だわよ。オリンピック中に東京でぽつねんと暮らすわたしに、この励ましは沁みる。

もう一度すぐに読みたくなったのですが、『飛ぶ教室』は訳がたくさん出ているので、せっかくなので他の訳で読んでみようと思います。