「綺麗になるヨガ」「ヨガと冥想」に続いて、内藤さんの本3冊目。初版が1975年、新版が1993年で、両方の「まえがき」がそのまま載せられています。時代を感じる装丁、イラスト、内容なのですが、ひとことでいうと、雰囲気は「おはよう!スパンク」。途中で挿入するイラストの画像でわかります。スパンクが78年発なので、まさに。オーバーオールでロールアップ! 「ボンジュール、ママ。」です。
先に紹介した本のほうがレベルアップされたものなので、内容的にはもっとフレンドリー。でも、やさしく書かれた雑学的な内容の背景には、沖先生の実践哲学の集大成が潜んでおり、『もしも沖先生が「おはよう!スパンク」タッチで女性に向けてカワイくヨガを教えたら……』という妄想をそのままカタチにしたような本です。
わくわくしますね。
まず最初に、本の最後のほうに出てくる章にあった表現をさきに紹介しておきます。
ヨガは頭の中で分かっても、分かったうちには入りません。行法の哲学ですから、実行なさることです。
ご自身の「私の部屋」で、あなたご自身が、「こんにちは」と、みつけた「私のヨガ」を、無理・無駄しないで、続けてみてください。
沖ガール(笑)。
そして、1993年のまえがきでは、よりバージョンアップされた姿勢でコメントされています。が、めちゃくちゃぶっちゃけられてて、面白い。
<新版まえがき(1993年の筆者まえがき) より>
私は、竹刀でぶんなぐる袴姿の沖先生の軍国主義的なヨガに驚き、反発しました。けれど、「叱ってくださる、愛」という父性原理の価値を悟りました。
(中略)
私は、この本以降、沖ヨガだけでなく、ラジャ・ヨガ、クンダリーニ・ヨガやヨーガや気功法などを修行し、それらを統合して「私のヨガ」として、内藤景代ヨガ・スクールで指導しています。現在、教室では、指導していない、過激な方法もあります。それでも、あえて、そのまま載せたのは、難病治療に効果のあった、沖ヨガのホリスティック(全体的)医学的な方向性を記録しておきたいと思ったからです。旧版から削除したものは、古い表現や、現在ではフォローしにくいものなどです。場合により、注や付記もつけました。
「頭脳だけが、私」と感じ、からだを「ただの肉の固まり」と思う人が増加しています。「からだの内在知」を感じ、丹田中心の「心身一如」を求めるこのヨガの世界は、今後ますます必要とされる方向性でしょう。
「竹刀でぶんなぐる袴姿の沖先生」は映像を見たことがあるのですが、エゴの強い生徒さんは「貴様」「お前」よばわりでした(笑)。また、後半の『「頭脳だけが、私」と感じ、からだを「ただの肉の固まり」と思う人が増加しています。』という表現は、エクササイズ的にヨガに没頭する人への警告でもあります。
そして、竹刀の沖先生、のイラストも登場。
そしてそして、監修者のことば、として沖先生も以下のコメントを寄せられています。(抜粋)
・この本に書かれている一つ一つのことは、彼女が、ヨガと私の教えを、美容や料理から病気の治しかた、武道まで、毎日の生活の中で実行し、応用したものばかりである。
・著者は、私の言いたいことを、若い女性の立場から、広く世に伝えてくれる恩人でもあるといえる。
・大事なことは、主体性と積極性を持って続けることです。そうして、自分のものを生み出し、人生の本質をつかみとってください。そこに、自他の最も喜べる道があるのです。
本当にそうで、先にも書きましたが、『もしも沖先生が「おはよう!スパンク」タッチで女性に向けてカワイくヨガを教えたら……』という感じ。
ではでは、ちょこっと内容紹介、いきます。
こんなふうに、イラスト満載です。ウエストシェイプなオーバーオールでやってます。この修正は、沖ヨガの先生にやっていただいたことがあるので、復習に役立ちました。
<74ページ 蚊に刺されるのは、血が濁った人だけ? より>
断食している人は、絶対に、蚊に刺されません。ヨガ道場に入門すると、みんな蚊取り線香の無いことに、文句をつけますが、三日目ぐらいから黙ります。
私も、運動不足で、足がウッ血したりすると、足ばかり刺されます。
いくつかの例をあげましたが、要するに、血が濁っていると、蚊に刺されるということです。
足首ばっかり刺されるんだよなぁ。身体の部位の中で、足首は格段に可動しない部位。あと、手足の指の関節周り。そこの流れが悪いんですね。
これは時代ギャップあり。いまは、マーガリンは避ける、というヨギの人も多いのではないかと思います。
<183ページ 胃けいれんのときは、足をふんづけてもらう より>
胃病を治すには、心を平静に保つことが必要です。食べたくない、という胃の要求のときは、それに従ってあげましょう。食べなければ死んでしまうという迷信で、無理に食べて胃に負担をかけてはいけません。
☆食べ過ぎの人→重心が左。左手足が伸びにくい。
☆食欲の無い人→頭皮がゆるみ、胃もゆるむ。
★治しかた→猛運動・鉢巻をする。
「猛運動・鉢巻をする」って!(笑) 側頭部を押すのですね、ハイ。
<184ページ 風邪を治したい時 より>
☆ひかないコツ→絵Aのようにコップの向こう側から水を飲むようにします。飲めませんネ。首を伸ばしてなんとか飲めるように毎日練習しましょう。首のちぢんだ筋肉や、首のコリ、首のねじれがとれて、風邪をひきません。
これは、首のうしろを開く、よいアイデアだぁ。
<209ページ 母親がいなくても生きられる子供に育てましょう より>
母親のつとえは、子供が早く自立して、母親がいなくても、一人で生きていけるように、育て上げることだと、ヨガでは、教えます。
(中略)
幼いうちに、母親が死んでも、ほかの誰かが育ててあげたくなる魅力的な子に成長していれば、母親がいないとなにもできない子より、幸福だと思います。
「ほかの誰かが育ててあげたくなる魅力的な子に成長していれば」ってところがグッときました。
<220ページ ビートルズのレット・イット・ビーと般若心経 より>
ビートルズが、般若心経を知っていたかどうか、を私は知りません。
でも、私が感じたことを書いてみます。
「僕が悩みに沈んでいたときに、聖母マリアが、あるがままに(生きよ)〔レット・イット・ビー〕という知恵の言葉を教えてくれたんだ」(内藤意訳)
というのが、始めの歌詞です。
聖母マリアは、神、仏、アラーなど、なんでもいい、宇宙の自然法則ということだと思います。
宇宙の自然法則は、「…のために」というはからいや、こだわりがなくて、あるがままに、バランスをとっています。悩み、苦しみ、病気は、そのバランスが狂っているという、自然の教えの声なのです。
内藤さんも、ビートルズのことよく書かれます。ラマナ師の本は読まなくても、「LET IT BE」はみんな知っているものね。昨日紹介した「I ME MINE」もなかなかですよ。
沖先生の本とはまた別の魅力がありながら、でも根本は一緒。電車の中でこれを開いているのを横目で見てしまった30歳以上の女子は、絶対に「あなた、なになにその本?! イラストの時代感が妙に気になるぅ〜」と内心思ってしまっていたであろう一冊。
なんかね、「ピチレモン」の挿絵とかを思い出しました。なごむよぉ〜。
★内藤景代さんの他の本への感想ログは「本棚」に置いてあります。




