うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ヨガ入門 精神が肉体を自由にできる 沖正弘 著

ヨガ入門 精神が肉体を自由にできる 
古本で入手したので、アマゾンなどで買えない状態なのが残念ですが、面白かった箇所をご紹介します。
この本は以前紹介した「ヨガの楽園 秘境インド探検記」の増補改題本で、初版は昭和46年。オリジナルから9年後の出版ということになります。その9年の間に沖先生も有名になり、道場での実績からヨガ実践の要素が増補されています。今回はその増補部分を紹介するのですが、


その前に。
ほかにもオリジナル(ヨガの楽園)からバージョンアップしている要素が二点あります。
まず、表紙のデザインが田中一光氏です。この本の出版時期は、田中氏が万博の展示設計責任者をやった3年後にあたる。沖先生、勢いあったんだな! と思う。
そしてその表紙を開くと、解説文を寄せているのが星新一さん。これまたすごい。
内容を紹介します。

現代社会という大きな呪いから解放される  作家:星 新一
 人間の能力について、私たちは自分勝手な限界をつくりあげ、必要以上に悩んだり病気になったりしていたらしい。また、だれもが周囲の忙しさに合わせて呼吸し、本来の呼吸の速度さえ見失っているらしい。この本を読むと、現代社会という、一見合理的で、じつはあまり合理的ではない、大きな呪いから解放されたような思いがする。
 ヨガの本には、たんなる紹介や神秘的に扱ったものが多かったが、著者の体験にもとづいている本書は、おもしろさのなかに説得力を秘めている。アメリカでは宇宙飛行士の訓練にヨガが取り入れられ、潜水艦でテレパシー連絡の実験が行われたりしている。わが国でも、これからは、ヨガへの認識が高まってゆくことと思う。

なんともコズミックな、星新一さんらしいヨガ本感想。


以下、増補部分からの沖節セレクション。

<203ページ ノイローゼの直し方 より>
ノイローゼを直すことの根本は、一人で考え込んだり、悩んだりしないで、山登りとかゴーゴーとか、自分で楽しいスポーツ、あるいはやりがいのある仕事をして、余分のエネルギーを消耗、発散させることにある。ヨガは、自分のやりたい時に、やりたいことをして効果をあげるという自然にさからわない行法をする。

ゴーゴー! って!

<216ページ 神経痛を直す法 より>
 この運動は、背中の筋肉を完全に伸ばし、腹部の筋肉を収縮させる。また、いつも圧迫されてくっついている椎骨が一つ一つ離れ、血液の補給が順調になり、老化現象を防ぐことができる。

▼挿絵に補足線をいれました

よくウサギのポーズ(シャシャンカ・アーサナ)が苦手な人から相談を受けるのだけど、なるほど! 脚の重みを利用したこの方法があったか、と。さっそく提案してみよう。(頚椎に心配がない人に限る。いちおう書いておく)

<217ページ 直しやすいむちうち症 より(抜粋要約)>
(1)追突された場合
「ネコのポーズ」
「鋤のポーズ」と「魚のポーズ」を並行して行うと、いっそう効果がある。


(2)追突した場合
「アーチのポーズ」「コブラのポーズ」「弓のポーズ」を行う。


(3)斜めからぶつけられた場合
「釣り針のポーズ」「ねじるポーズ」を行う。


異常なところの原因をはっきりとみきわめ直していく必要性と、その3パターン。
(1)その事故ではじめて生じた異常。急激なショックによる姿勢の歪み。(上記方法を早く行ってバランスを回復することを推奨)
(2)事故以前にあった異常が悪化した場合。(できるだけゆっくりとした長い刺激を推奨)
(3)どこかに異常があった人が、その事故のとき、その部分をかばおうとして、ほかの部分に異常を起こした場合。(古い異常部だけを直して、新しい異常部はさわらないことを推奨)

この具体的明言。ほんとすごいと思う。「鋤」と「魚」がカウンターポーズの関係におかれていることも、今さらながらの発見。そうだよなぁ。気づけよ自分。そして対処法の性質の分解も、宝物のような教え。「○○に、ヨガは有効ですか?」ときかれることがよくあるけれど、背景に対してこの分解がある。あるよなぁ。
(2)は悪化以前の超ベーシックアプローチで、原点回帰的。間違えがちなのは(3)。相談を受けるときには、しっかり経緯を分解しなきゃ。

<240ページ 十分食べて痩せる法 より>
太っている人は楽天家と思われがちだが、事実は逆で、神経が過敏で、つまらぬことにくよくよする人が多い。

いろいろな人の顔が思い浮かんでしまう。「あなたにとって、デブはアリですか?」という確認がはいるところとか。


また沖先生ブームが起きております。何回目だろう(笑)。

ヨガ入門

ヨガ入門


沖正弘先生の関連書籍はこちらにまとめてあります。