先日紹介した「BIG ME 大きな自分に出会う」のなかから切り出して紹介します。
あちこちでよく書かれているようなことではあるのですが、ヨギの内藤さんバージョンのこのボキャブラリがたまりません。「滅私奉公」の否定は沖道! な感じ。沖先生の本をいろいろと読んでいると、道場をはじめられてから「滅私奉公」の否定がボソリと入ってきます。
外国人の「よい仕事論」がいまひとつ肌になじまないのよ、という人や、松下本田と言われてもなんだか「要するに偉大な人」という設定の咀嚼がまだでききっていないのよ、というヨギのみなさんにはフィットしやすい表現。あと、「天風先生の言い切りっぷりが、おっかねー」という人にも(笑)。
148ページにあった『「創造力」を豊かにするコツ』 から二箇所、ご紹介します。
1)○×式の"答え"や結果が正しければ、すべてOKという発想を捨てる。大切なことは、考える道筋であり、過程(プロセス)だ。答えよりも、過程を楽しむことを覚えるとよい。
2)他人と比較して、落ち込むのは愚だ。速さ、できぐあい、正確さ、美しさなど、○×式な優劣の発想を重んじると、荒けずりで、野生的な、軍荼利明王のような創造力はソッポを向く。
3)はじめて見たものでも、ワカンナイ、知らない、カンケーナイと切り捨てず、今までの自分がもっているイメージのなにに似ているか、相似形か、考えてみる。見たてることで、自分の心のイメージ世界と結びつけるのだ。マンダラは、バラやダイヤモンドに似ているとか。
4)"知らない"ということを恥じないことだ。知らないから学ぶのだ。そして世界が広がっていく。「そんなことも知らないの!」とグサッというイジワルババアもいるが、「ハイ」とニッコリ笑って、聞き流そう。そのひとだって、生まれたときから知っていたわけではない。姑根性で、先輩にいわれたことを根にもち、関係ない所で仕返ししている。醜いネ。
5)"生の実験"は、失敗もある。失敗は、こっちの方法はよくないのだ、と教えてくれる。失敗を恐れて、自信のないものには手を出さないのでは、小さくまとまるばかりだ。合気道や柔道は、まず、投げられたときの受け身から身につける。失敗から学ぶ勇気も必要だ。
6)好きなことを中心にして、どんどん関連のある世界を広げていくこと……などだ。
うちこは、最後のがすき。
あるアメリカの心理学者は、創造性を摘みとる方法を十数年前に発表した。(この本は昭和61年初版)
1)空想することをやめさせる
2)成績向上にだけ努めさせる
3)完成品だけを、ほめる
4)すべてのひとに愛される子に育てる
5)直観や洞察は、主観的なので価値を認めない
6)目上のひとにはガマンをしてでも従わせる
など。いいかえると
1)夢をもたない
2)偏差値がすべて
3)答えが○でなければすべては無意味
4)八方美人になる
5)合理的な思考のみ
6)滅私奉公
以上を金科玉条にして、生活すれば、キカイ的な創造力ゼロの人間ができあがる。
意図せず、でも事実上強要している場面で、どう対応するか。
こういうことは、ずーっと語られ続けているけど、マネジメント本で読むよりヨガ本で読むほうが200倍楽しく読めます。
★内藤景代さんの他の本への感想ログは「本棚」に置いてあります。