うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

アイアンガーヨガ基本と実践(GAIA BOOKS) B.K.S.アイアンガー著/柳生直子 監訳


前半で「ヨーガ・スートラ」「ハタ・ヨーガ・プラディー・ピカー」「ゲーランダ・サンヒター」の章句を引用したヨーガ哲学を説明しつつ、中盤からは基本アーサナの細かい注意ポイントを多分に盛り込んだ、内容盛りだくさんの一冊。
この本の出版コンセプトががなにげなく「グルとヨギ」というページの文中に登場するので紹介します。

<39ページ グルとヨギ より>
今日の弟子は、明日のグルになるかもしれない。清澄な心と、悟りの道を辿るという揺るぎない決意は、欠くことのできないものである。ヨガ求道者は、何年にもわたり収集された学識と経験と知恵を、弟子に分け与えるために、ritiとniti、すなわち方法と道徳性を持たなければならない。グルとヨギの伝統は、さらにまた次の世代にも伝えられる。
 この本は、真のヨガの弟子になりたいと願う世界中の人々に、私のヨガの知識を広めるための試みである。

このページの内容がとてもよかったので、もう一箇所引用します。


師と弟子の関係は、独特のものである。それは母と子の関係に似ているが、全く同じではない。母は子を愛し、養育し、指導し、おだてて服従させ、非難し、教育し、保護する。グルは弟子を自分の保護の元に置き、弟子を肉体的に、知的に、そしれ精神的に完全な形に作り上げることをライフワークにする。

ヨーダですね。



そんなアイアンガー先生の言葉は、シンプルながら科学的。

<11ページ ヨガの目的 心と身体い より>
ヨガには神経を鎮める独特の力がある。神経は、生理的な体と心理的な体の媒体として機能している。

浄化というワードを使わずに、nadisの説明をこの二文のさらりとしたつなぎで表現する。クールよのぅ。


<16ページ 健康への道 身体と心の調和 より>
アサナは個人の固有の体質と健康状態に応じて、それぞれの必要とするものを満たす。垂直、水平、回転の動きがあり、それらが血液を身体の最も必要とする部分へ送り込んでその器官にエネルギーを供給する。ヨガでは細胞の一つ一つに注意を払い、新鮮な血液を供給して円滑に機能するようにする。

ただ透明にしていくような単純さではなくて、適材適所の調整が自然にはたらくようにするということなんですよね。濁り方もそれぞれだから。


<32ページ プラナヤーマ より>
プラナヤーマは深く呼吸することではない。深い呼吸は顔の筋肉を緊張させ、頭蓋と頭皮を硬くし、胸部を締めつける。そして息を吸ったり吐いたりするのに外的な力を用いる。これは肺と胸の繊維組織に硬さを生じさせ、呼吸が全身に浸透するのを妨げる。プラナヤーマでは脳細胞と頭の筋肉は柔軟で受容的なままであり、穏やかに息を吸ったり吐いたりする。

「肺のやわらかさ」という意識を持ったことがなかったなぁ、ということに気づきました。



このほか、一部の引用をピックアップするにはむずかしい「心の状態」の説明は必読というくらい、すばらしい説明でした。全般、切り込み方が鋭いです。
アーサナ中に前後左右する足の重心の解説が細かいので、より繊細に立位のアーサナに取り組んでいきたい人にもおすすめです。

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