うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

インド・ヨガ教典―瞑想と健康の技法 ジバナンダ・ゴーシュ 著

インド・ヨガ教典―瞑想と健康の技法 
もう古書しかなく、中古で買いました。先に続編のほうを図書館で借りて読みました。ここでは、出版の順に紹介します。この本は昭和51年初版。昭和48年の12月に日本道場を開いたジバナンダ・ゴーシュ氏の本です。このかたの師匠がヨガナンダさんの末弟ビシュヌさんで、コルカタ(旧カルカッタ)のあのへんのヨガの人たちなので、わたしが師匠からうける指導と基本的にアーサナ(この本ではアサナと記載)の名称、バリエーションが酷似しています。
いま出版されている多くのハタ・ヨガのポーズ解説と違う名称のものがけっこうあるのですが、この本を読んで「なるほどな」と思いました。地域の単語であることなどもあるのでしょう。カラスが「カカ」ではなく「カガ」であったりなどです。このへんのことをものすごく強引に説明すると、同じ相撲部屋の稽古メニュー、みたいな感じです。(なんとなく、相撲部屋の数とスタイルのグルーピングがしっくりいく感じがするので)
当時はまだ日本でのヨガに対する理解がまだまだだったようで、たくさんのお医者さんやインド大使の推薦文が冒頭に寄せられています。


「インド人が日本人に説くヨガの本」です。背景として、ヒンズー教の宗教観をお持ちです。引用の一部に登場するこのへんのことについては、日本人であるわたしの立ち位置での感想を素直に添えます。まぁ別にそこは触れずに流してもいいといえばいいのですが、思っていることを素直に書きます。

<235ページ 髪を美しく保つポイント より>
髪は、誰にとっても美と魅力の一部である。以下。髪の美しさを保つポイントを紹介しておこう。
1)便秘はガスがたまり、髪が抜けやすく、白くなりやすい。
2)婦人病は、髪を抜けやすくし、髪の美しさと魅力を失なわせる。
3)入浴前には、オイルで髪をリンスし、マッサージし、櫛でとかすとよい。
4)オイルやシャンプの銘柄はあまり変えないで、一つのものを使うほうがよい。
5)少なくとも週に一度は髪を洗うこと。
6)入浴後は、髪を注意深くとかすこと。
7)長い髪の女性は、髪がかわいた後で、髪を結うこと。

髪について言及されているヨガの本で、こういう書き方のされているものは少ないですね。化粧品メーカーのセールスマンさんには、ぜひ4の教えを営業トークに使ってほしいくらいです。

<250ページ 心とは何か より>
 人間の心は、ヨガの実修によって、次第に普遍的精神的な世界へと進み、さらに何回も生まれかわり、輪廻を繰り返してはじめて、宇宙的意識へと到達できるのである。ヒンズー教や仏教においても、人間は幾度も生まれかわると説いているのは周知のことであろう。

カーストを守るための背景もある国の人がおっしゃっていることなので、そのまま「なるほど!」とは思いません。この点については、まだ紹介していない別の本で触れている方がいらっしゃるので、そのときにでも書こうと思います。

<261ページ プラナヤーマ(Pranayama) より>
プラナヤーマは、まさに呼吸の科学である。ゆっくりとした、深いリズミカルな呼吸は、呼吸機能を強化し、神経組織を柔らげ、欲望を少なくするために、非常に重要である。

これは、日々の暮らしの中で「怒り」について思います。生きていれば、人とかかわれば毎日色々なことがありますが、そんなときは駅からの帰り道を「歩きプラーナヤーマ瞑想」の時間にします。6歩で吸って6歩で吐いていたのが、家に着く頃には7歩で吸って、7歩で吐いている。心の落ち着きと歩幅が連携するので、自分でも不思議。なかなか面白いですよ。

<270ページ ヨガの詳解 より>
 人間が組織を超越したもの、すなわち宇宙の創造主と合一する道はいろいろある。ヨガもまたその一つであるが、さらにそれは次の四つに分類できる。
(1)ラージャ・ヨガ(Raja Yoga ラージャとは王の意味) 科学的に知性をコントロールする方法。
(2)ギャナ・ヨガ(Gyana Yoga ギャナとは知識の意味) 知識による方法。
(3)カルマ・ヨガ(Karma Yoga カルマとは行動の意味) 行動による方法。
(4)バクティ・ヨガ(Bhakti Yoga バクティとは深い信仰の意味) 神への献身による方法。
 (中略)
 感性の豊かな人は、とかく神への献身、すなわちバクティ・ヨガの道に入る傾向が強い。それは各人の素質によるといえるだろう。バクティ・ヨガは心の動揺を防ぎ、心を美しくする。活動的な人はカルマ・ヨガの道に入る。もちろんこの実修には誠実、信仰、無償の行為をいとわないことなどの条件が必要であり、カルマ・ヨガを実修すると利己心や自我が取り除かれ、心は浄化され、さらに寛容さや親切心も増していく。
 ギャナ・ヨガの道を歩むものは、自分自身を知りたいと望むものである。ギャナ・ヨガによって心の無明を取り除き、意志力と知性を養い、そして自分自身を真に認識するようになる。
 ラージャ・ヨガは実修者の心を安定させ、精神集中に導く。精神を集中させるには、感覚と心をよくコントロールしなければならない。これは経験豊かな師のもとで実修するとより容易に達成できることは言うまでもない。心は感覚や肉体の機能をつかさどる主であり、王である。規則正しくラージャ・ヨガの実修を行なえば、すぐれた思考、愛、意志などのこころの働きは大いに改善され増強される。老若男女を問わず、心と感覚をコントロールし、言語、思考、理性、激情を征服し、うまく操る人は、まさに人中の王たるにふさわしい。その人こそ自己の中に安らぎを見い出し、永遠の英知を獲得した人なのである。なおラージャ・ヨガはハタ・ヨガ(Hatha Yoga)、マントラ・ヨガ(Mantra Yoga)、ロヨ・ヨガ(Laya Yoga)に細別される。

このくだりは、占いみたいで面白いですね。

<283ページ ヨガの詳解 より>
今ここで言えることは、なぜこの世に生まれつき不運な人々と幸運な人々がいるのか、それはおそらく前世の行為の結果なのではないか──ということである。

これも暗にカーストの背景があると思います。それをそのまま概念として鵜呑みにしていいのかな、というのがいつも感じている素直な疑問です。本を出版されるほどの有名なヨギで、アウト・カーストでしたと書いている人の本を見たことがありません。このへんについては、やっぱり日本人としてヨガを学ぶ以上は、輪廻という言葉で語られる部分については背景が違うことを知っておいたほうがよいと思います。


ヨガは楽しい、気持ちいい。それだけでもよいものですが、いろいろなことを学んでいくと、逆に「日本人として現代に生きる自分が行うヨガ」について考えることになります。今日たまたまヨガOL仲間のゆきんことレッスンの後にお茶をしながら、彼女が「つらいときほど、辞めようと思わない。それはきっと次の場所でも繰り返すから。会社も修行の場だと思う」といっていて、わたしも日々まったく同じ気持ち。ヨガOL仲間がいてよかった。

インド・ヨガ教典―瞑想と健康の技法 (1976年)

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