パンデミックをきっかけに日本の映画をたくさん観るようになりました。
小説が原作の映画もたくさん観て、谷崎潤一郎原作の『鍵』『卍』『刺青』の、あの怪しい世界が大好きです。
そして今年やり残したことのなかに『細雪』を読むというのがありまして。ずっとやり残し続けているので、そのモチベーションを掻き立てるために芦屋を散歩してきました。
『細雪』って性癖の偏った人が出てこないから、なんか健常的で、他の作品と同じように読めないんですよね・・・。
阪神・芦屋駅から歩いて行きました
駅から海の方へ歩いていくと芦屋公園があって、そこから海へ向かって左側の方角に記念館があります。
遊具などのない、シックな大人の公園でした。
到着しました。
若い頃のお写真。
このロビーのようなところで本を読んだり映像を見られたりするのですが、この映像がおもしろくて。
『痴人の愛』のナオミのモデルになった、最初の妻の妹の姿の美しくモダンなことったら!
3回結婚した歴代の妻のうち、あまり知られていない二番目の妻(タニジュン45歳の時に、妻は25歳くらい)の編集記者の女性もキュートで、根っからの美女好きっぷりが伝わってきて、ますます惚れました(惚れるんかい)。
『瘋癲老人日記』の執着対象となった義理の娘(義理の子どものお嫁さん?)の写真もあり、タニジュン本人の隣にその女性が座っていて、もうこれ実写のコントじゃん・・・と思うような絵面でした。(志村けん&いしのようこの並びに近い印象)
ふざけとるんかと思うほどおもしろい小説の内面がほぼ実話っぽいことに驚きました。
庭園もトイレもフォトジェニック
庭園は紅葉していて、カラフルな時期でした。
こじんまりとして、夏はここでおしゃべりしたくなる感じ。
お手洗いは『陰翳礼讃』の世界でした。
コンセプトが書かれていました。
ここだけ高級居酒屋。
歴代の住み替え地マップもありました。実際に住んでいたのは岡本というエリアで、魚崎という駅の近くのようです。
少し前に棟方志功展へ行って『鍵』や『瘋癲老人日記』の装丁・挿絵を見て、ハッと思い立ってここまで来てみたのですが、いや~。それにしても。
妻譲渡事件の新聞がどんな感じだったかとか、いろいろリアルに感じられるコンテンツが満載で、ますます好きになりました。あの事件はジョージ・ハリスン&エリック・クラプトンを超える話よね。
『細雪』も来年こそ読みたい。映画で先に観ちゃおうかな。
余談:ナオミと譲治のビール
ここへ行った翌々日に会った友人がこんなビールをお土産にくれました。
『痴人の愛』のナオミと譲治をイメージしたラベルのビールが、小説の舞台となった大森にある大森山王ブルワリーで作られているそう。
これは好きそうなデザインだと思ってわたしの分も買ってくれていたそうで、待ち合わせ時間のやり取りをしているときに「いま兵庫にいて、さっき谷崎潤一郎記念館へ行ってきた」と聞いてびっくりしたと。
オバさんとオバさんって、一緒に趣味の歴史を刻んできてるせいか、シンクロ率が上がるのよね・・・。不思議。