華岡青洲の里へ行ってきました。
歴史展示のほかに道の駅やレストランもあって、ゆっくり過ごせます。
像があります
華岡家墓所も見ることができました。
有吉佐和子さんの小説『華岡青洲の妻』を読んだ人にとって、墓地は重要。
結末の数行をリアルに感じることができました。
墓地は駐車場と小さな公園の奥
ここから入っていきます
小説の最後とシンクロするドキドキ感がありました
華岡青洲の墓
有吉佐和子さんが書いた『華岡青洲の妻』は、日本で初めて全身麻酔を使用した乳がん手術を成功させた医師の物語です。
麻酔薬の人体実験に実母(於継)と嫁(加恵)が身を捧げ、その強度を競って嫁が勝つのですが身体的な代償も負う。そして麻酔薬が実用化へ至る。
嫁姑バトルと一家の栄華を描いた話で、華岡青洲の父(直道)も医師。二世代の物語です。
傘のような石の乗った、緑のペットボトルが置かれているのが華岡青洲の墓石です。
配置の図がありました。
物語の登場人物はこのような配置でした。
直道は華岡青洲のお父さんで、於継がお母さん。
直道の前列に食い込んだ加恵さんと、加恵さんよりも長生きしてその前にドーンと墓石が立った華岡青洲。後ろに配置されているのが華岡青洲の妹たちです。
小説にはこのように書かれていました。
菖蒲池の前にある華岡家の墓地の中で、加恵の墓石は於継の墓を背後にして、於継のものより一まわり以上も大きい。(中略)
しかしこの二人の女たちの墓石を二つ重ねて灰にしても及ばないのは、それから六年後に歿した華岡青洲の墓である。(中略)
この墓の真正面に立つと、すぐ後に順次に並んでいる加恵の墓石も、於継の墓石も視界から消えてしまう。それほど大きい。
於勝と小陸の墓
『華岡青洲の妻』は、タイトルが"妻" で、どんなに家の事業に貢献しても女性は男性の出世の養分でしかなかった家族システムを描いています。
妹二人の墓石は最終列にありました。
最終列一番右が於勝さんで、右から三番目が小陸さん。
華岡青洲の学費を稼ぐために働き、結婚せずに華岡家で亡くなりました。
小陸さんが自分の本心を語る場面が、わたしはこの物語の最もすごいところと思っています。
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今回和歌山へ行ったのは、有吉佐和子さん原作の映画『華岡青洲の妻』『紀ノ川』の世界を歩いてみたかったから。
行って見てさらに深まる、良い旅になりました。