うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

サキャ格言集(再読) サキャパンディタ 著 / 今枝由郎 翻訳


友人に「サキャ格言集」を貸したら、付箋をつけたまま戻してくれました。「付箋を使うなら、そのままにしておいて」とお願いしたのでした。
今日はそんな流れでの再紹介です。この本は以前の感想にも書いたのですが、インド的なものとそうでないものの価値観が混ざっていて、とてもおもしろいのです。
この友人はバガヴァッド・ギーターもマヌ法典もヨーガ・スートラもコーランも読んでいるヨガ仲間なので、偏らない話がしやすい。そんな人が選ぶ節は、どれなのか。気になります。
そして付箋の数々を見て、やはりこのあたりかとうなずく。

慈しみが過ぎると
憎しみのもとになる。
世間の争いごとの多くは
親密さから生じる。
(222節)


慈しみ過ぎるのは味方に対してもいけない
あまりにも害することは敵に対してもいけない。
味方に対する期待は争いのもとで
報復は誰でも容易にする。
(327節)

これまで生きてきてつらかったことや悲しかったことを思うとき、それはどこか愛着を持ちすぎてバランスを欠いたところが起点になっていたりする。



以下はわたしがヨーガ・スートラの1章33節と照らし合わせて、とても気になっていた節。
友人も付箋を貼っていました。

讃えられても喜ばず
非難されても不快にならず
自らの功徳をよく保つこと
それが貴人の特徴である。
(54節)

達人でも聖人でもなく、貴人。



サキャ格言集は「口は災いの元」であることを説いている節が多く、こんな節もあります。

相手の痛いところを突く言葉は
敵に対しても言ってはならない。
やまびこのように
瞬く間にはねかえって来る。
(335節)

サキャは、モンゴルとの折衝を上手に行った、チベットの政治家。「敵」がすごく多く出てきます。
他国との関係で "緊張の性質" が変化しているいまの時代に読むと、うなずくところの多い格言集です。