うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

サロメ オスカー・ワイルド著 福田恆存(翻訳)

挿絵と表紙に惹かれて手にして、読み始めたらあまりのおもしろさに一気に読んでしまいました。こんなにも挿絵のイメージとの相乗効果で気分を持っていかれたのは初めて。

 

解説を読んで、新約聖書の元ネタ(マタイ14.3~1/マルコ6.17~)もあとで読んだけれど、それにしてもおもしろい。

わたしが読んだ訳では、娘サロメが欲しいものを父に伝えたときの夫婦の会話のところで、思わず笑わずにはいられない展開になりました。

ロディアス:! よう言うてくれました、サロメ

エロド:ならぬ、それはならぬ。

ロディアス:よう言うてくれました、サロメ

エロド:ならぬ、それはならぬ、サロメ。そんなものを求めてはならぬ。母親の言ふことなど聴くな。あれはいつもお前に悪智慧を注ぎこむ。あの女の言ふことを聴いてはならぬ。

母エロディアスの繰り返しがナイス。ここでわたしの脳内再生が「えええっ? お妃様、大阪の人? 上沼えみちゃん?!」となって、かなり混乱しました。挿絵の世界観が不気味でおしゃれすぎる流れからの、このセリフ。

もともとあまり整合性の取れていなかったわたしの脳内が、さらに整合性の取れない状態になりました。この物語は最初から異世界に連れて行かれて、そこでさらにバグが何度も起こる不思議なおもしろさがあります。

登場人物に傲慢さはあっても皮肉はなく、モリエールの喜劇とはまた違うおもしろさ。日本エレキテル連合の演出で観てみたい…、と思わず願ってしまう芸術世界。オスカー・ワイルドのほかの作品も読んでみたくなりました。