うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

前後開脚とハヌマーン(猿神のポーズ)

ハヌマーンアーサナについては14年前にちょこっと書いていましたが、ほんとうにちょこっとでした。

このアーサナの名称は、ハヌマーンという猿の神様が、海をひとっ飛びピョーンと超えていく跳躍の姿が由来になっているそうです。

 

 

先日この跳躍姿を期待して映画『ラーマーヤナ ラーマ王子伝説』を観てきたのですが、映画版で見たハヌマーンは腕と脚を伸ばし、街で子供が見つける "空飛ぶタケちゃんマン" と同じポーズで、まっすぐ棒のように空を飛んでいました。

そんな余談はさておき、わたしはこのポーズの練習の時には、ギリギリまで後ろ足のつま先を立てておきましょう、とお伝えしています。

 

 

理由は以下の3つです。

  1. 脊柱をまっすぐ上げていく土台を作るため
  2. 後ろ脚と前脚の関係性に意識を向けることができる
  3. アーサナの複雑さを味わうため

 

 

このアーサナは、前脚の裏側のハムストリングやヒザ裏、後ろ脚の付け根を伸ばすのに、イテテ・・・となるのが最初の出来事です。何度も回数を重ねて、呼吸をしながら深めていきます。

 

 

まずはクラウチング・スタートの延長気分から

100メートル走のクラウチング・スタートのような形から、前脚を伸ばしていきます。

いまわたし、100メートル走るのに何秒かかるんだろう・・・。

という余計な妄想などしながら

 

あ、よいしょ、よいしょ。と前脚を伸ばしていきます。

 

 

じわわ~。と、やっていきます。

上体はねじらず、まっすぐ前を向いてやりましょう。

はじめての人には、もうここまででちょっとした拷問です。

 

前脚の太もも裏に漠然とした緊張が走り、呼吸が浅くなります。これは身を守るための当たり前の反応なので、まずはここで呼吸ができていればオッケーです。

これすら無理よ~! というかたは、右左の手の下にヨガブロックを置くか、上下巻の分厚い本を置きましょう。(上下巻の本って便利よー)

 

 

慣れてきたら、前脚のつま先を真上に向けていく

さて。ここからが、次の勇気の出しどころです。

前に見えているつま先を上に向ける挙動ひとつで、いっきに前脚の裏側にあるハムストリングに刺激がきます。

 

 

ぎゃん!!! となります。手の指先でしっかり身体を支えましょう。

前かがみになってもいいので、身体をねじらずに、正面を向いて慎重にいきましょう。

ひい、ひい、ふぅ〜。呼吸をしましょう。

 

 

慣れてきたら、少し胸を持ち上げていきます。

このあたりまでくると、前脚のつま先が内側に倒れたくなってきますが、天井に向け続けます。手指で支えて呼吸をします。

 

 

じわり、じわり。床と骨盤の距離を詰めていく

ここからは、さらに時間(というか年月)がかかります。

 

後ろのつま先を立てたまま進み(ここ重要!)

 

 

後ろ脚の太腿の付け根まで床に着いたな、と思ったら、そっと後ろ足をまっすぐ寝かせます。

(足の甲が外側に回転しないように、かかとが外に寝ないように注意します)

 

 

外に、横に逃げたくなる後ろ脚

前後開脚は、前脚はハムストリングが、後ろ脚は大腿直筋(太もものながーい筋肉)が伸びるほど骨盤を床に近づけていくことができるポーズですが、後ろ脚の内側の奥にある内転筋を伸ばしていくのに時間がかかります。

 

ここに時間をかけるのが、とにかく時れるんですね・・・

ついつい

 

こういうふうに、ねじりたくなります。ぎゃーっと小さく叫びながら。

傾けた側(後ろ脚側)の手のひらを、床にべちゃっとつきたくなる。

骨盤を床に近づけたい、早くこの葛藤を終わらせたいという気持ちが、脚や足首を回転させる挙動を誘います。

後ろ脚は外に逃げ、それにつられて前脚が内旋してつま先が内へ傾く。そんな連鎖の誘惑がここにあります。気をつけましょう。

 

 

練習中に起こること

冒頭でも書きましたが、わたしはこのポーズの練習時には、ギリギリまで後ろ足のつま先を立てておきましょう、とお伝えしています。

 

これはわたしの感覚なのですが、前脚のハムストリングが伸びる時に起こる筋紡錘(マッスル・スピンドル:筋肉の伸びを察知して、「ちょっっっ、なにすんの?!」と反応すること)の主張はとても強く、後ろ脚の付け根がそれに応えようとしてしまいます。

日常の身体操作の関係性であれば、これは助け合いで理にかなっているのですが、わたしはこの感じを人間関係にたとえて、ちょっと共依存ぽいと思うことがあります。

後ろ脚が前脚のギブアップ癖を見張って、先回りしようとしてしまう。この関係性が、毎回微妙に違っていて、あ、今日わたし、先回りの癖が強いな……、と感じることがある。

なので、ギリギリまで後ろ脚のつま先を立てています。

 

 

ハヌマーンアーサナはとても難易度の高いポーズです。

難易度の高いポーズにもいろいろな種類があって、これは身体の根っこの部分で矛盾を強く抱える難しさがあります。

難しさにも、いろいろな「色」があります。なので「難しいポーズはできません」と最初から見切ったりせずに、いろんなアーサナの「難しさの特色を見ようとする」ことをしてみるために、できればトライしてほしいなと思っています。

まずはクラウチング・スタートの延長でいいんだ、くらいの気持ちで。

そもそもクラウチング・スタートをめちゃくちゃ大股で涼しい顔して呼吸しながら待てたら、ちょっと楽しいですからね。

 

 

ハヌマーンアーサナのような、下半身の奥の筋肉の強い伸びが必要なポーズは、身体が生み出す葛藤もパワフルですが、瞑想の土台を作る効果も大きいです。

時間をかけて慣れてくると、骨盤を立てて座る状態が安定してきます。

 

 

 

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それはさておき、スッキリしたいかたもどうぞ。楽しく一緒に練習しましょう。

 

 

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