少し前に読んだ『あなたを陰謀論者にする言葉』という本と同じ著者の本を読みました。Qアノンのように「相手が脳内で自分に都合の良い物語を創作しやすいように、ふわっと暗示する」という手法の説明がとてもわかりやすくて。
上記の本でもヨガの歴史が掘り下げられていましたが、この本は一般企業の社員大会などで見られる光景とカルト組織がいかに紙一重かをあらためて確認しやすい、イラストでわかりやすい解説がされていました。
この本の8章『大切な人が悪質な集団や思想に取り込まれてしまったら』の中で
- 集団に所属していることによる問題
- 個人の思想による問題
の切り分けがありました。
それぞれ各5項目に分けて書かれていた中で、以下は実際に今年わたしの身近なところで聞いたことのある問題でした。
集団に所属していることによる問題
例5:
職場の同僚をマルチ商法に勧誘してしまい、会社から厳重注意を受けた
少し前に、ヨガスタジオのオーナーさんの困りごとを聞きました。所属インストラクターが生徒さんを高額なヨガのワークショップに勧誘してしまうのだそう。
昔(20年前)は、ヨガスタジオの女子更衣室で高額な美容器具や補正下着を売る人がいる、なんてトラブルが主だったのが、現在はこういう問題が起こるようになっています。
<ヨガの業界でも目にする資格ビジネス問題については、また後で少し書きます>
以下は、自分の身の回りでもあったな・・・という人がいないかしら。
個人の思想による問題
例1:
何を話しても陰謀論につなげられてしまいコミュニケーションが成り立たない
特定のワクチンを接種した人が出入りしないようにサービスを運用しろ! と施設に要請する人とのコミュニケーションの成り立たなさを、わたしは今年二箇所で聞きました。
養成者を養成する
この本には、教義から金と労働力を引き出す資格ビジネスの仕組みも図解されています。
第1章の『人々を「今、ここではないどこか」へ連れて行く教義を作る』の図解では、「熱狂を生み出すのに効果的な要素」が以下のようにシンプルに整理されていました。
- 大きなものとのつながり:人類に影響することに関われている
- ここではないどこか:まだ見ぬ理想郷を現実にできる
- 人生の劇的な変化:違う人生を生きられる
人口が減っていても前年比を超え続けようとする組織の集まりの熱狂って、こういう感じ。
人がふたりいれば、それはもう小さな組織の始まり
少し前に、わたしが子供の頃からアイドル歌手として活躍していた女優さんが亡くなったことについて、友人が「彼女の立場は言葉を発しようがない構図。恐ろしい」と話していました。
わたしはウンウンと頷きながら「相手は物語を創作するプロだもんね」と話しました。
物語の作り手
この能力を発揮する人物が身近にいて、その創造力に勝てない関係性に巻き込まれてしまうことは、最小単位では「交際」「結婚」「家族関係」で起こりがち。
こういうのって、どうしたらいいんだろうね。
* * *
今年を振り返って、持つべきものは人生経験豊富な友人だとしみじみ思うこの頃。
そんな年の瀬に、この本の指摘がよく刺さりました。