うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

サイエンス・オブ・ヨガ  アン・スワンソン著/高尾美穂 (監修)

昨年かおととしの自粛期間中に書店でこの本を見つけて「あらー! これ日本語版出てたの?!」と即買いした本の紹介を忘れておりました。

英語版が出た頃にものすごく読みたくて買おうか迷っていて、その後、気がついたら2019年の終わり頃に日本語版が出ていました。

 

買ってよかった~と思うコラムと図解がいっぱいで、5000円近くするのかなと思ったらなんと3000円ちょっと。わたしの感覚では破格のプライシングです。

 

 

簡単そうなアーサナのほうが、実は骨を傾ける角度の組み合わせとしては複雑、ということがヨガではよくあります。(ねじった三角のポーズのほうが、ねじらない三角のポーズよりも後ろ足の骨盤には矛盾がないとか、そういうこと)

さまざまなアーサナを内観しながらヨガをしてきた人には、「ああ、なるほどこの骨はどうしてもこっちへ傾くことを避けられないから、ここに小さな矛盾が生じるのね」というポイントが見つかったりするんじゃないかな。

 

 

わたしがいいなと思ったのは、これはわたしと一緒に練習をしてくださっている方々とも話すことなのですが、「ヨガはインドの青少年向けに開発されたものだから」という背景と「土偶のような日本人がそれをやること」のギャップを埋めるようなコラムが重すぎない書き方で挟まれているところ。

タダーサナの説明にあるQ角(膝の真上~大腿骨上部)についての解説にそれがあり、ちょっとしたところにナイスな説明が散りばめられています。

 

 

そのほかにも、昭和のヨガの本では思いっきり効能が謳われていた肩立ちのポーズでの甲状腺への刺激について、ヨガではそのように謳われるけれど機械的圧力や運動を通して機能することはないのが甲状腺、という現代の見かたがマイルドなトーンで書かれていたりして、エビデンスでオラオラ斬るのではなく伝統とのギャップを丁寧に埋めにいくスタンスがすばらしいです。

 

 

図解も良いです。脊椎の部分別に可動しやすい方向を色分け・図解した説明に3つの視点があったりして、なんて丁寧なこと! という細かさ。

ヨガをしながら身体内を観察することを楽しむすべての人に、「これは手元にあると良い本ですよ」という力強い言い切りで、迷いなくおすすめします。

これは電子ではなく紙で買うほうが良い本です。