新年明けましておめでとうございます。今年はうさぎ年ですね、というわけでウサギのポーズについて書こうと思ったのですが、1年半前に書いてしまっていたので、今日は多くの日本人が「柔らかさ」の象徴として目指したがりがちな「開脚前屈」について書いてみようと思います。
「多くの日本人が目指したがりがち」という書き方をしたのにはちょっとした意図があります。わたしは、できれば前後開脚を目指して欲しいのです。
膝裏が伸ばせるようになるのは左右開脚前屈でも同じではあるのですが、どうせびやぁーーーっといくのを目指すなら、こっち(前後開脚脊柱直立)を目指して欲しいのです。
この理由は書き出すときりがないのですが、まずはものすごく端的に両者の特性を書きます。
■左右開脚(仙骨寝かす)
ダイエット効果が期待できる(腕脚の付け根の可動域を広げれば、血流の質も変わって代謝も良質になる)うえに、シャイな日本人にはとっても心が落ち着く「伏せ」の動作を目指す体位。
ただし、その見た目のまろやかさの過程には「筋紡錘(きんぼうすい/マッスルスピンドル)」が強く存在する。こいつとの「恋のかけひき」が上達のカギ。恋のキューピットをつとめるのは、やはり呼吸。(後で詳しく説明します)
■前後開脚(脊柱直立)
後ろ脚の太ももの前側の伸びと、前脚のアキレス腱と膝裏の伸びを要する。さらにそのうえに、脊柱を立てて自信満々なマインドと呼吸を要する動作を求めらる体位。
見た目の強さとはうらはらに、筋紡錘の存在は意識的に分散されやすいので、執着を生まないぶん「急がば回れ」への道へと自然にいざなってくれる。
前者が人気なのは当たり前ですね。日本人好みなんです。
でもうちこは、両方目指して欲しい。どっちかをやるなら前後開脚脊柱直立を目指して欲しい。そんなわけで、過去の記事にはこっち側へのアプローチが多い。
▼参考リンク
●前脚の付け根にアプローチ
●ゴロゴロしながら腿と大腿筋を伸ばすポーズ
でも、今日は元旦なのでっ♪
みんながやりたい開脚前屈について、書きますよ。
なによりわたしは、多くの人にこういうことを「続けて」ほしいから。
とにかくなんにつけ「継続は力なり」なので、「できるようになりたいっ」という気持ちも有効。その火を絶やさずいきましょう。
みんな、きっと
こういうことが、したいのだと思う。
上の写真の状態の人は、さらに……と下の写真のようにつま先も立てたいですよね。わかります。わたしの周りには、このあと完全に180度を経て平泳ぎの脚みたいに半周しちゃうような人もいます。
まあ、だからなんだって話なんです。
学ぶべきことは、過程の中にあります。
よく見る、この状態で小刻みな呼吸で一生懸命フッ、フッ、と前に行こうとする人。これは、まずやめましょう。
(このあと、膝が伸びないのと、前に身体を倒せないのは同時にアプローチしていきます)
なぜならその状態は、
筋紡錘祭り(きんぼうすい・祭り) だからです。
カタカナで言うとマッスル・スピンドルという、なんだかオートバックスで見かけそうな名前なのですが、よけいややこしくなるので要約すると、
筋肉がそもそも短いところを伸ばそうとするときに、身体が
よせやい!
と言ってくる、あたりまえの状態のことです。
小刻みに要求して、小刻みにフられているのに、この「よせやい!」を手ごたえと勘違いする人が、あまりに多い。
この「よせやい!」を聞けない人というのは、きっとモテません。
恋の相手がドン引いているわけなので、そんなときにどうするかをまず考えることからはじめないといけないのです。
どうするのっ? (*ノωノ)
まず
つぎに・・・
首の力を抜いて、ストンと落とす。ついでに胸の息もストンと抜いてみて欲しい。(B)
この (A)+(B)で
赤ちゃんをおんぶしたり抱っこしたりしているときに「寝る(おちる)」と急に重く感じるのと同じような状態になります。
脱力による自然な重力を、まずは味方につける。
自然な重力だと、筋紡錘のオッサンは簡単にだまされてくれます。
「だってそれ、もともとある圧だよね」と認識してくれるんです。
この状態で、さらに吐く息で腹をえぐるように引いてみる。
このへんから、「だましあいの試合」になります。
ここが開脚前屈の最高に楽しいところだと思います。
この状態で、額が床につくのをまずは目指して欲しい。
どんどん自分の股の中に入っていってしまってください。
つま先は、なりゆきで倒しましょう。わたしは、つま先を立てて進む道よりも、素直に倒してみる道を推奨します。
これも、筋紡錘のオッサンとのかけひきでね。
もう膝は伸びてるんだよね。という人もいるかと思います。
この後、どうすりゃいいんだい? という状況の人もいらっしゃることでしょう。
でも、このまま肩肘張ってがんばっていても、あまり進展は(伸展は)みられません。
まずは、尻の骨から頭頂までを長くして、肘と肩、わきの下の力を抜いて、まずは腕の重みを味方につけます。
このままじっと、呼吸です。もうここまでいったら、呼吸なんです。
そのときに、眼の横の「こめかみ」の力を抜くのがコツです。脊柱を伸ばす。
が、やっぱりなんかしらの動的アプローチもしたくなる。
それが人情ってものでもありますわいね。
そんなときは
肩とわきの力は抜いたまま、こっちの道をご提案します。
この状態で、じっと、
脚の付け根と呼吸の関係を観察しまくります。
このあとのことは、もうとにかく自分で楽しんで欲しい。
なぜなら、
筋紡錘祭りを理解すると、ほかの体位との付き合いかたも変わるから。
これね、言うなれば
恋愛の極意
のようなものなのでございます。
そこを習得する楽しさを、できるだけ多くの人に感じてもらいたい。
わたしのアドバイスはここまでです。
ヨーガ上手で恋上手、をめざしましょう。
あまり上手になりすぎると、完全に自分の中にオッサン(女子の場合。男子の場合は乙女ですね)を飼うことになってしまうので、そこんとこは注意してください。