移動の多い日々を過ごしていました。九州まで行っていました。帰京後にマッサージを受けたいと思い、フット・マッサージのお店に入ってみました。
そうしたらそこにいたのは、専門家と言えば専門家だけどその話し方はフェティッシュとしか言いようがないというほどおもしろい施術師さん。もはや完全に谷崎潤一郎の世界。
「瘋癲老人日記」の颯子ってきっとこんな気持ちだったのだろうと、その軽い変態っぷりに自分を適応させるべく、可能な限りの妄想力で対抗しました。
今は時代が時代なので「す・・・、すばらしいふくらはぎです!」などと脚を撫でながら言った日には通報されかねない世の中ですが、筋肉のつきかたと柔らかさとマッサージ中に体温の上がる速度を具体的に褒めてくる。
揉まれながら部屋の中に珍しいレトロ家電を見つけたので、それを指さしながら「あれはなんですか」と訊いても本人は目をつむってわたしの脚の中の世界にいるので「あ、これですか。肝臓ですね~」と返ってくる。膝から上のわたしのことなどまったく見ちゃいない。レスポンスはすべて、いま押している足の奥の世界の話。
(ちなみにそのレトロ家電はモノ入れに使っているだけの旧タオル温熱機で、実際のホット・タオルは新型の機械から出てきました)
自分の足について、押したら痛い場所はわたしもおおむね把握しています。このように。
それでもこの日はさらに発見がありました。
あらたな発見
今回は初めて、なんでここがこんなに痛いのという場所がありました。足の薬指と小指の付け根がいつになく痛い。
わたし:それはなんですか
施術師:耳ですね
わたし:耳が疲れるって・・・、疲れようがない気がするんですけど
施術師:乗り物に長く乗ると、三半規管が耳の中にあるので疲れます
わたし:ぬおおおおっ☆(心の中で)
これは旅の疲れであったか!
そんな話をしながらわたしは、さまざまな倒立の練習の合間にここをマッサージしたら、もうワンチャンスいけるじゃろか…なんてことを考えているのでした。
心の中でさんざん施術師のかたを変態よばわりしていましたが、自分も大差ないなと思って帰ってきました。
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