まじめな女の人が空気を読めない行動を重ね、静かに狂いながら、ちゃっかり自立していく。そういう生きざまは他人をイラつかせる。わたしはそんな感じで他人をイラつかせてきたように思う。だから "この人は何をして暮らしているのだろう?" と思われるくらい、他者との接点を広げすぎないようにしている。そこが、この主人公とわたしの共通点。
わたしはいまは忙しいフリなどしないけど、いま以上に孤独を感じたら、「予定があるのよ!」なんて他人に言うかもしれない。以前は「予定」に埋もれて暮らしていたこともある。わたしの代わりなどいくらでもいるのに。いやだなぁ。戻りたくないなぁ。でも、漠然と進むのもこわいなぁ。
主人公が男性と会話する場面は、あまりにもリアルで、もうやめてー! となる。過去に相手をしてくれた人たちにお詫びしにいきたくなる。行かないけれど。
調子がいいとき、よくないときで、同じ以下のフレーズもまったく違って見える。
やるべきことを次々挙げていくのも気持ちよかったが、それをこなしていくのはもっと気持ちよかった。もしかして、こうやって人は自分のことを好きになっていくのかもしれない。
(63歳のリンデとドレッシング)
こなしてても結果が顕現しなければ、他者がわたしを好きになる原因にはならない。と、いじわるな目線でツッコミをいれているわたしが、わたしの中にいる。このいじわるな目線が自分を高めてくれる人格でもあったりするから、自我というのはややこしいねぇまったく。
この小説は、アマゾンのレビューがよくないところがいい。
この主人公の行動と思考を「むかつく」と言える人にはわからない景色を、わたしは知ってしまったなぁ。と思うところまで含めて、わざわざ自己啓発本ぽいタイトルになっているこの小説は巧妙。演出家って、すごいわー。
時間をおいて再読した感想はこちら
uchikoyoga.hatenablog.com
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