うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ダメをみがく "女子"の呪いを解く方法 津村記久子×深澤真紀(対談)


本屋でパラパラ読みはじめたら止まらなくなって、その日と翌日でイッキ読みしてしまいました。
ちょっとくだらないのもいい。

一貫して津村記久子さんという作家のスタンスが鋭いのにマイルドなのが印象的。
深澤真紀さんは過去に目にしてきた先輩やクライアントの人と語調が重なって見えて、少しなつかしい痛みがよみがえりました。こういう熱さみたいなことで乗り切るのが業界内の処世術だったという感じがなんとなくわかるだけに、読みながら呼吸が浅くなりました。世代や地域で区切って人の性質を語ろうとしている個所があるのだけど、属性やステータスで区切って一般化してしまおうとするのも、またひとつのメディア編集的な勢いというか…。


この本はタイトルからしてユルそうな話をしていそうで、内容はすごくナマナマしいです。ちょっと気持ち悪いくらいナマナマしいところもあるのだけど、それぞれが痛い目にあってきたうえで対処法を語っているところがすごくいい。
タイトルでわざと読ませないようにしているのかもしれないけれど、男性こそ読んだほうがいいというか、終盤で津村さんがすごいところをついてます。
男性にかけられた呪いも、そうとうきついよね。知ってるよ…。って感じなのだろうと思う。


一箇所、津村さんが「"尊敬" ほど自然発生的な感情は他にないのに、立場だけでそれが設定されるのはおかしなこと」という主旨の話をされていて、小説を読んでみたくなりました。過去の蓄積からなのか、ガツンと放つバズーカ砲がすごい。
深澤さんはハシゴをはずされたり干渉されたりした嫌な思い出を細かく覚えていて、ちびちび小出しにたくさん語られます。その案件の中には「わたしも、同じような経験あるなぁ」と思うこともあり、なるほど共感というのはこのように人を少しだけ気楽にしてくれるのですね。


ここ2週間くらい「仕事のつきあいと飲み会がしんどい」「電車で他人が読んでいた雑誌のテーマが自分にはきついものだった」「職場でイヤなことがあった…」など、なかなか頻繁に会って話すことのできない仲間の近況連絡が続いていて、そんなさなかにわたしはこの本を書店で見つけて貪るように読み、日常をしのいでいました。
この本は「いろいろあるけど多少はすてきでありたいし…」くらいの向上心でなんとかやりすごしている人や、会って本音を話せる友人が近くにいない人におすすめ。それからそれから、ブルゾンちえみにハマってしまうような人にもおすすめです。