うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

人間ガンディー ― 世界を変えた自己変革 エクナット・イーシュワラン著/スタイナー紀美子(翻訳)

おもに後年のガンディーを伝える内容の本です。末尾に年表もついています。
写真がたくさん載っていて妻のカストゥルバイ・ガンディーさんも多く掲載されているのですが、想像以上にかわいらしい人で驚きました。これまでは小さな写真でしか見たことがありませんでした。こんな人と13歳同士で結婚したら、そりゃおかしくもなっただろうな…と。

 

 上記の「ガンジー自伝」を読むと驚くのですが、ガンディーは結婚した頃いつも妻と一緒にいたくて束縛したくて性欲のコントロールもおかしくなっちゃって大変だったと、早すぎた結婚について振り返っています。ガンディーが独立運動に繋がっていく暮らしを始めてからは、カストゥルバイさんにとって受け入れがたいことの連続であっただろうと思うのですが、彼女の伝記は残されていません。

 

この本(「人間ガンディー」)は、インドに戻ってからのガンディーに多くページが割かれています。わたしはイギリスで英国紳士風の服装・身なりをしていたことについて振り返る、以下の言葉が好きです。

わたしの性格がわたしを紳士にしてくれるのなら、大歓迎です。けれども、そうでないのなら、そのような野心は持つべきではありません
(32ページ 第一章 変容の時代 より)

ガンディーはもともと引っ込み思案で、英国時代の初期は不本意だけど生活上面倒だから長いものに巻かれておくかというような判断もしていて、それを自伝で振り返っています。葛藤を乗り越えていくプロセスの中で、相手も自分も悪者にしないためのことを、ちまちま考えている。小さなジレンマの集積を忘れていない。
こういう性質って日本だと「根に持つタイプ」みたいに言われそうだけど、根に持つものを掘り下げられるって、たいへんなことです。

 


この本は、第三章がよいです。あのガンディーですら海外に出てから学びなおしたというバガヴァッド・ギーターについて、ガンディーと重ねての解説があります。

 ギーターを外国語に翻訳することと、日常の言葉に翻訳することは、まったく別である。前者においては、どれほど才能と学問的知識が投入されたとしても、人間性の表面をなでる知的な作業でしかない。しかし、後者においてはメッセージが心の奥まで届き、その人の性格とおこないを完全に変容させるのである。
 バガヴァッド・ギーターを「日常生活の手引き書」としてとらえることができるなら、ガンディーを理解することは可能である。けれどもガンディーのように、実際にその教えを実践するのでなければ、ギーターをこのように深く理解することは不可能であろう。
(129ページ 第三章 母なるギーター より)

 「統一した心」とは、ギーターではヨーガを意味している。知性、感覚、感情、本能などがひっきりなしに葛藤を起す通常の心とは、まったく逆の状態である。ヨーガとは、人格のあらゆるレベルにおいて、これらの断片をすべて完全に再結合させることで、「完全(whole)」へのプロセスなのである。
(134ページ 第三章 母なるギーター より)

この本はガンディーの言葉の引用部分に出典の記載がないのですが、デザイン上、書体の違うところがガンディーの言葉と思われます。鮮明な画像も多く、その活動の様子が読み取りやすいです。英国の要人から招かれている部屋の調度品とガンディーの服装のギャップなど、細かい見どころがいっぱいでした。

 

人間ガンディー―世界を変えた自己変革

人間ガンディー―世界を変えた自己変革