夫婦が心中に出かける話で、背景を知るとあまり後味のよい話ではない。
夫婦の噛み合わなさが、とにかく悲しい。男が悲しい。心中旅行なのに途中で楽しいことを考えてしまう過程の描写には「そんなものだろうなぁ」と思うことが多い。
恋多すぎる人でないと書けない話だと思った。噛み合わなさが気になり、そこにひっぱられる。
この奥さんの、事務的なときとエモーショナルなときのギャップや、罪の意識がある人の投げやりさがせつない。ラストに描かれる人間模様は、「こういうことって、あるな。」と思った。
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