うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

映画『わたしは最悪。』(2021年/ノルウェー/ヨアキム・トリアー監督)

時代が変わってこういう映画が創られて、それを観られるくらいまで生きてきてよかった。

なんて言ったら大げさかもしれないけれど、そのくらい、これまでのどの映画にもない感想を抱く映画を観ました。

 

 


この映画です。

登場人物たちが抑制できなかったちょっとした発言、そのズルさ、正直さ、生理現象の細かいところがいちいち沁みます。

とってもリアル。とにかくリアル。

ここでは物語の本筋に触れないおもしろポイントのメモを残します。

 

 

ヨギーの存在が絶妙

意思を持ち善的な庶民の象徴として「ヨガをする人」が使われているように見えました。

 

  • めっちゃ濃いヨーギニー(女性)がひとり登場する
  • 主人公が町を走る場面の公園で三角のポーズをしている人々がいる
  • 主人公がラストの方で眺める窓の外に、ヨガマットを持った通行人がいる

北欧の人ってこんな感じで「シンプルで丁寧な暮らしをしているよ」というオシャレ感のある映画でした。

 

 

構成が面白い

こういう凝り方の映画を観たのは久しぶり。

わたしが何度も読んでいる本谷有希子さんの『自分を好きになる方法』という小説を思い出しました。

この映画では30歳になる主人公の断片がエッセイのように組み立てられています。

 

 

やりたいことや目標を問われるつらさ

世代別の価値観がリアル。社会福祉が進んだ景色の美しいノルウェーで展開されるから観ていられるけど、これを日本人同士の会話で見るとなかなかつらそう。

展開されるコミュニケーションの全てが教材。人生の振り返り反省会(いや。なんで反省しなきゃいけないの?)が止まりませんでした。

何がすごいって、このつらさが40代半ばの人にとっては「過去にやってきたことを問われるつらさ」にもなるということ。

 

 

弛緩した表情がリアル

誰かが見ていたら笑ってはいけないところで漏れてしまう、表情筋が生み出す笑顔が自然でした。

スポーツクラブのランニングマシーンで走って身体が弛緩しているときに入ってくる衝撃的なやりとりへの反応が、弛緩した表情筋のまま。だからなんだか知人の不遇を喜んでいるように見えたりする。

この映画を観ると、日本の俳優の演技ってめっちゃ芝居がかってる・・・と思うようになるし、一般人である自分ですら、子役の延長のような態度で生きてると感じます。

どうにもすごい映画でした。アマゾンほかいろんな配信で観れます。

 

わたしは最悪。(字幕版)

わたしは最悪。(字幕版)

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