うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

放浪記(映画・成瀬巳喜男監督 1962年)

晦日の夜に映画版の「放浪記」を観ました。レジリエンスをアップさせる特効薬の注入です。
お金がないのに本を買っては売り、職場の新入りでありながら隙を見つけては文章を書き、夫にビンタされても蹴られても立ち上がる。
原作の松田さん(前半に登場)と友谷さん(後半に登場)は映画版では役の名前も変わり、いくつかのエピソードをまとめた人物になっていました。職場の同僚女性との関係構築エピソードは「時ちゃん」が中心。キューピー人形の色塗りをする仕事のシーンにはお千代さんもいて、あとで原作と名前を照合するのも楽しい時間でした。

 

まーそれにしても、主演女優・高峰秀子さんの喋り方ったら! よくここまで寄せたもんだ。眉毛とアイメイクも絶妙。

放浪記 【東宝DVD名作セレクション】

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この映画は1962年なので、登場人物のほとんどの役者さんが、わたしが知った時点で社長やボス役をやっていた人ばかりです。仲谷昇さんの美青年ぷり(← 一番目の男)、宝田明さんの色気(← 二番目の男)、あのおじさんは昔こんなにすごかったのか! という驚きの連続。
原作で「この人と結婚すれば楽に暮らせるとわかっているけど絶対無理、一緒にいると陰気になる」という書かれ方をしている安岡(原作では松田)を演じている加東大介という俳優さんが、脳内イメージとは全く違うのにすごくハマってる!!!
映画では林芙美子が成功した後もよき理解者であったという設定になっているけど、よくあのセコい感じとつまらない人格を両立させたもんだと思うほど、絶妙にいやな感じが出てる。
原作で友谷静栄の夫・岡本潤にあたる役(白坂五郎)を演じている伊藤雄之助さんという俳優さんが実物と妙に似ていたり、いろいろ細かく追いかけてもツボにはまる。

そして関係性をうまく要約するHUB的人物の役は草笛光子さん(この役割設定も原作に対してトリッキーでおもしろい)。もうとりあえずこの人に任せておけば纏まる!オッケー! 2時間で纏まった! という尺にこの長い長い物語を収めることができたのは、まぎれもなく草笛効果!


林芙美子記念館へ行ったあとにこの映画を観ると、最後の家の間取りも含めてフーミン・ワールドにどっぷり浸かることができます。「放浪記」のほかに以下のテキストをあわせてよむと、映画版でのまとまりがつかめます。

時間のある時に観たい観たいと思っていた映画をじっくりたっぷり楽しんで、充実の年末でした。

文学的自叙伝

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