長距離移動前にダウンロードして、軽い気持ちで読み始めたらシリーズ2冊をいっきに読んでしまいました。少し前にココ・シャネルの本を読んでいたこともあり、この物語の登場人物の一人が引用する言葉がいちいち刺さる。この物語はタイトルの通りどんどんえぐってきます。が、読んでいてイヤじゃない。このイヤじゃない感じはなぜだろう。
婚活・恋愛市場に自分をリリースするということはどういうことかを、1では30歳になると焦っている女性が、2では35歳で妊娠出産のタイムリミットを思って焦っている女性が主軸となり、キツい現実をどんどん示していきます。いっぽうで無職や非正規雇用の男性の現状もチラと差し込まれていて、中間あるいは上層の人も、主要人物はみんなどこかで傷ついている。傷つきながら、自分の中の優先順位を見極めている。
その見極め・検討時に事例に出されるのが「ブランド」の物語。もちろんシャネルも出てきます。この引用の要素とタイミングが毎回絶妙。以下はこの物語に登場する、ひとりのスワミ的な登場人物(この人が主役?)のセリフです。
ポジティブになれるもので身の回りを満たしておけ。ココ・シャネルもな、インテリアは心の表れって言ってんだ
トリー・バーチはな、ラルフローレンのコピーライターだったんだ。そのキャリアを経て、自分のブランドを立ち上げて成功したからな。文章で自分の思いを伝えるっていうのは仕事の基本だ
ディオールはな、田舎でグリーンピース育てて、それにはまってな、パリからデザイナーとして誘われたのに、グリーンピースが気がかりでそれを断って、スタートが遅れたんだ。いまの生活が悪くないからって、本来やるべきことを先延ばしにすると、本当に大切なものを失うぞ
ファッションブランドの事例が95%なのだけど、残りの5%にすごいのを差し込んでくる。
お前はバカか。紫式部だってな、漢文の読み書きができたのに、そんな女はかわいくないからって、『一の字も書けないふりをした』って千年前に言ってんだよ。平安時代の女ができて、どうしてできないんだ。お前は弥生時代の女か。卑弥呼か
これ!これや! わしがこのまえ「これからこの人を知っていくのかな…と思ったときに、いきなり太鼓とバチを渡される」で書いたのもこれやーーー!となる。(こういうときだけ関西弁になります)
こんなコメディ作品がいま許されているなんて、アリだなんて、いいじゃないの日本。いいねいいねこうやって吹き飛ばしていこう!という気持ちになりました。
ちなみにわたしは1の女性が勤務する出版社の雑誌局の体質も、2の女性が勤務するIT企業のeコマースの事業も身近でがっぷり触れてきているのですが、この物語はちょっとしたところにリアリティを盛り込むのがほんとうにおじょうず。
(いずれもAmazon Prime Readingにあります)
サバイバル・ウェディング2 わたし、ひとりで生きていけますが結婚しないとダメですか!?
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