ふつうに
ふつうに美しい小説ですよこれは。どなたにもおすすめできます。
このタイトルの刺青は「いれずみ」ではなく「しせい」。わたしははじめから「いれずみ」と読むものと思っていましたが、もとは「しせい」なんですね。
その、刺青師の視点で物語は進みます。人肌がキャンバス。
鋭い彼の眼には、人間の足はその顔と同じように複雑な表情を持って映った。その女の足は、彼に取っては貴き肉の宝玉であった。
わたしがきもちわるいと思いながら谷崎潤一郎作品をついつい読んでしまうのは、身体に表情を見るかのような描写がツボなんですよね…。
わたしもついつい、背骨の動きに表情のようなものを見てしまうところがあるものですから。
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