うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ひとりガールズトーク気分。女性同士のあれこれがリアルな「すべて真夜中の恋人たち」


ここしばらく「すべて真夜中の恋人たち」を何度もちびちび読んでいます。
現代に書かれた小説で、こんなに繰り返し開く本は過去になかった。そのくらい、なにかの瞬間に「あ、これはあの小説のなかで、こういう設定で書かれていた感情だ」と思い出すことが多いです。
わたしは女性ばかりの環境にいた頃、この小説の冬子みたいな感じになることがありました。あった、あった。いっぱいあった。なのでこの小説に出てくる女性たちの人間関係に「冬子さんや。あなたはわたしと同じようなことを他人から言われているのに、どうしてそんなに頭のなかで毒づかずにいられるかね」と思うことばかりでした。
特選3つ。


■別の人から同じものをプレゼントされる。その人たちは仲が悪い。という現象
同じ香水を別の女性からひとつずつもらうエピソードが出てきます。わたしも同じようなことが過去にありました。嫌いあっている女性たちは、愛用しているものやペットの品種まで一緒で、趣味は明らかに合いそう。なのに、火花が壮絶。華やかな世界を好む彼女たちは、自分とはキャラクターが重複せず地味なわたしに、ちょっと親切にしてくれる。そして双方の悪口をわたしに聞かせる。その感じが、この小説の設定とすごく似ていてフラッシュバックしました。



■重要人物じゃないために、愚痴のはけ口にされるという現象
「ちょっと他の人には言えない話をしたい」と言われるときは、「他の人と同様の人間と位置づけていない」とも受け取れる。わたしをなにかのはけ口にしようとする人に、これまで何度も遭遇してきました。賢人のような扱いで棚上げし、「だからいいだろ、話させろ。聞け」という理論展開。こういう使い捨てカイロのような求められかたが、この小説ではもっと自然な形で、とてもエグいセリフでストーリーに組み込まれていました。



■ざざざーっと、雑なオバちゃんの勢いに背中を押されるという現象
美容室に入って、ついでにメイクをしてもらう場面。「美人さんねぇ」と言われて「いや、そんなことはないだろ…」と思いながらも、相手がざざざーっとした人だと、とりあえず素材がいいということにして背中を押されたりする。たぶんもうわたしの役割はオバちゃん側なので、積極的な雑さもあったほうがいいかな、などと思っている。



ほかにも、石川聖・恭子さんという二人の女性が喋る場面に引き込まれる言説が多数。
この小説は「同性からマンツーマンで演説されてしまう人」が主人公。恋愛小説ということになっているらしいけど、わたしはどうにも女性ワールドのことが印象に残るのでした。ちょっとSATCっぽい要素がある。奇妙なデトックス効果があるので、春の組織イベントとか人間関係のあれこれで疲れてしまった女性に、すごくおすすめです。こういう感じを共有できる女性たちと、わたしは心の手を取り合って頑張っていきたいと思うのです。なので、おすすめしています。
がんばろ。地味に。

(今日の写真は、散歩中に近所の花壇で見つけたチューリップふうの花。かわいいのに不思議なほどビリビリ・ギザギザの花びら)


▼紙の本


Kindle