なんなんだこの小説は! どうリアクションしたらいいんだ!
28歳で自分がもうババアだと思っている女性の妄想炸裂ストーリー。途中で何度か「あなたは木嶋佳苗ですか」というツッコミを入れたくなるほどの内容。これほんとうに男性が書いたの?! という気がする箇所が多いけど、
水が低きについて流れるように、からだのだるくなるような素直さを感じます。女って、こんなものです。言えない秘密を持って居ります。だって、それは女の「生れつき」ですもの。泥沼を、きっと一つずつ持って居ります。それは、はっきり言えるのです。だって、女には、一日一日が全部ですもの。男とちがう。死後も考えない。思索も、無い。一刻一刻の、美しさの完成だけを願って居ります。
そんなこたぁないよ(笑)。でも、わかるんだよなぁ。なんだこのオッサン。中に阿木燿子先生が入っているのか。
あとね、一箇所、漱石グルジの「それから」で代助の妄想が平岡の前で炸裂する瞬間(16-10「あつ。解かつた。」のところ)とものすごくよく似た爆発描写が出てきます。これはもう、探したい人だけ答えあわせしてください。
あと、ここもすごい。
結婚のまえの夜、または、なつかしくてならぬ人と五年ぶりに逢う直前などに、思わぬ醜怪の吹出物に見舞われたら、私ならば死ぬる。家出して、堕落してやる。自殺する。
「夢で逢えたら」の「ミドリ(=清水ミチコ)」みたい! こーわーいー。
途中から文体にひっぱられて脳内再生アフレコが「ピンクの電話のよっちゃん」になっていたのだけど、さらに太宰先生がフルスロットルでくるもんだから、「おしゃべりワイフシリーズ未亡人朱美ちゃん3号」の声になってしまったでわないか。
なんて小説なんだ!(お、おもろいよ…。す、すごく……)
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太宰治 皮膚と心 - 青空文庫