うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ルンルンを買っておうちに帰ろう 林真理子 著


ヨガ教室の更衣室で「野心のすすめを読んだ。ルンルンがなんとかって本が気になる」といったら、おねえさんたちがこぞって、「あれが出たとき、読んだ〜」とおっしゃる。すごい打率で読んでる。そんなに話題作だったのか! 気になる〜。ということで、Kindle版を読んでみました。
1982年の話なので当時小学生のわたしが知る由もないノリではあるのだが、なんかわかる。なんかわかるぞ、この感じ。出版・メディア・広告業界周辺では今でも名残があるような。こういう昔のananっぽいノリとか、そういうのはわかる。
その渦中にあった林真理子氏が、こんな視点を持っていたのかというのを知るのがとてもおもしろかった。以下、特選で引用します。

個性つうもんが集まると、ただのアホにしか見えないって知らないのかしらん。

冷静。編集者の友人関係→カタカナ職業の人々について語る場面で。



 ネール首相が、娘のインディラに送った有名な手紙の中で、
「おぼえておきなさい。愛は闘争である」
 といったそうであるが、愛という言葉をもっとひろげてセックスもその中に入れると「ナットク!」という感じ。

軽薄。ネールの言葉の引用で、こうくる。やめてー! インドを下げるのやめてー!



 ブスは突然暗くなる。
 自分たちがこれほどサービスしているのに、世の中には全くなにもしなくても、人から好意をもたれる女たちがうようよいるのを知ってしまからである。

「突然」という言葉の差し込み方が秀逸。



「個性的に生きる」などという言葉はまずお捨てなさい。ブスは普通に生きるのがいちばんよいのです。リキまず、うらまず、主張せず。

もっと早くこの本を読んでおけばよかったと何度も思った。



 何度もいうように私はドラマチックが大好きな人間であるから、しばらくは瀬戸内晴美的気分にすっかり酔ってしまうから困ってしまうのだ。

でたっ! やっぱりか。「あなたにだけ」とか、読んでたんだろうなぁ。




ちなみに、この本には「五木寛之」という文字列が4回登場するのですが(こういうとき、Kindleは超便利!)、リストアップすると

  • ついに五木寛之さんとの、一流ホテルでのつかのまの情事にまで話はすすむ。本屋で彼の名前を見るたびに、頬を赤らめたりしていたのだから困ったものである。(憧れの人との情事まで妄想する、その相手が五木寛之さん。共感☆)
  • いくら夢みがちのわたしでも、自分の実力というか、限界というものがよくわかってくる頃がやってきた。ショルダーバッグや五木寛之さんとの情事は、あきらめなくてはいけないと心にいいきかせた。(あきらめてる! 共感☆)
  • 五木寛之との情事を夢みていた私が、ステンレスの流しの横で行なわれるこれら一連の作業に、果して喜びを見つけられるタイプであろうか。(現実との対比で登場。しつこい・笑)
  • ショルダーバッグに黒いハイヒール。有名作家の先生方に可愛がられて、ゴールデン街とか、銀座八丁目のバーにも連れていってもらう。中でも五木寛之先生のおんおぼえめでたく、昼の一流ホテルでの情事……。それがお玉かきまわしてみそ汁だもんねー。みじめさでボーっとしてて、みそなんかぜんぶほうり込んでしまった。(ヤケクソになる反動の理由に五木寛之先生。登場しすぎ!)

強烈な話題を振りまいたエッセイに4回も登場しています。気持ちはわかる。わたしもその時代にベストセラーになるエッセイを書く人であったら、何度も文中でラブコールする。するする! しないわけにはいかない。共感〜☆




ちなみに、この本にはわたしの好きなまっさんも登場していたのですが

私がつきあっている人たち ── マスコミ、広告関連の連中たちの中には、三つのタブーがあって、
 さだまさし
 松山千春
 五木ひろし
この三人の名前を肯定的に口にしようものなら、「信じられない」とか「こんな人と、私お友だちだったの!」とかいうごうごうたる非難につつまれるのだ。

まっさんが小説書く前の時代だしなー。まっさんの文章、いいのに〜。
と思っていたら、この話の流れで……

ちょっと異質な方を支援して、自分たちの好みというのがいかに個性的かを誇示する遊びなのだが、つい最近までは平山美紀サンだった。
 そして現在、圧倒的な人気を得ているのはなんといっても矢野顕子であろう。

先日、平山みきさんのライブに行ってきたばかりなので、グサっときた(笑)。わしは面倒な個性派女か。でもまっさんも好きだぞ!




ルンルン=花の子ではなく、ルンルン=林真理子の世代の人たちがちょっと羨ましくなるエッセイでした。


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