うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ジャック・ウェルチのGE革命 ― 世界最強企業への選択

個人の読書とは別に、イベントの実施や市場把握のために、仕事をきっかけに読む本や雑誌があります。
さすがに雑誌まではここで感想を書く気にならないのですが、この本はちょっとおもしろいところがあったので紹介します。なにか二つのものでバランスするときは競争が生まれ、偏りは即勝ち負けになる。それが三つになると均衡になったりリスクヘッジになったり、うまくスパイラルすればうねりのような昇華ベクトルになったりする。
この本には「ウェルチの唱える三つのグナ」みたいなのが出てくるのがおもしろかった。その内容が登場する「アイデアの力」の章から、いくつか引用紹介します。

<93ページ より>
ウェルチは大学院時代から、複雑な事象を単純化するには自信が必要であると信じてきた。また、シンプルな手順は迅速な行動に不可欠であり、このスピードがGEの市場における勝利を可能にするのである。

ほんとそうだなぁ、と思って引用しました。

<96ページ より>
 働くことが感情を伴う経験であることは、避けようもない事実である。普通、人々は仕事に出かけるときに、ゴルフクラブのセットを家においてくるように、自らの感情を家においてくることはできない。長い間、マネジメント理論はこの領域を無視してきた。我々は、労働者の感情的エネルギーの巨大な力をいかに活用するか、その方法を探しはじめたばかりなのである。

このあとに管理職者だけでなく隅々にまでメッセージを届けようとしたエピソードがあり、それ以前のウェルチに対する多くの従業員の態度の描写には「ウェルチを無視するか、逆らおうとした」とあった。読んでいるほうがしんどくなるような章でした。

<99ページ より>
いわば世界の企業オリンピックの勝者になるような企業は、柔軟性に富み常に新たな学習を続ける企業であろう。従業員は激しいプレッシャーのもとで働くことになるだろうが、自己確信をもつ従業員はそのプレッシャーに優雅さをもって対処していくことだろう。
 このような考え方は、マネジメントに関する本を読んでいる人々にとっては、何も驚くことはない。ピーター・ドラッカー、ロザベス・モス・カンター、トム・ピータースほか多くの人々が将来の組織について語っている。しかし、彼らがまだ説明していないのは、こういう組織をいかにしてつくりあげていくか、ということである。GEの企業変革のあり方は、その道筋を示す助けになるであろう。

このあと、「ウェルチの唱える三つのグナ」の話になります。

<100ページ より>
 ウェルチのアイデアと、その実践のために彼がとった行動を分析するには、私の呼び方で「TPC」とよぶ概念を使うのが有効である。このイニシャルは、組織行動の三つの主要な側面を表している。Tはテクニカル(技術的)、Pはポリティカル(政治的)、Cはカルチュラル(文化的)を意味している。このTPCによって、GEのような複雑な組織の性質を規定している主な要素を分離することにより、企業全体がいかに機能しているのか明確に把握することができる。また、マネージャーが会社のどの側面に関与しているのかを定義することにより、マネージャーのとる行動の効果も明らかにしてくれる。
 私はこのTPCを、三本の糸えよったロープと考えている。三本の糸は、技術的、政治的、そして文化的なアイデアによって作られているのである。三本の糸が互いにしっかりと絡み合うほど、ロープ自体は強くなる。しかし、企業変革の過程でこのロープが緩んで解けてくることは避けられない。後に、新たに編みなおさなければならないのである。これを企業組織変革の課題に当てはめてみると、企業全体を強化するためには、それぞれの糸に対して個別に対処する必要のあることが明らかになる。

政治的なところではトップマネジメントの入れ替えなんかもしていて、けっこうえぐい。
ここを読んで、ビジネスの組織の3つのグナは、技術・政治・文化かもしれないなぁ、と思った。技術はサドヴィック(純)な存在でなけれないけないよね。そのために、鈍性や激性とどうバランスするか。バランスし続けることからは逃げられなくて、ここでは「文化的」の取り組みがまだ完全に着手しきれていない途上のものだと書かれてる。
これ、鈍性。タマスね。下に引っ張られる、重いものなのだと思う。


うちこは身近な仕事仲間のなかで、とりわけ「仕事を深刻に扱わない人(ヴァータな人)」をすごく大切にしている。仕事を軽やかに進めていくためには、タマシックな引力にひっぱられない人が重要人物だと思うから。保身のために「深刻バイアス」をかける人は、探さなくてもたくさんいるしね。
なにを読んでも結局「これはヨガ本だ!」ってことになっちゃうなぁ。

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