うちこのヨガ日記

ヨガの練習や読書、旅、生活、心のなかのこと。

ヨーガ(NHKやさしい健康体操) 佐保田鶴治・かしいけいこ 著

ヨーガ(NHKやさしい健康体操)
この本は1985年のもので、かなり写真に時代感があります。男性のモデルが、シブがき隊みたいな格好をしてバンダナ巻いてます! 女性はエアロビブームでもあったのか、オリビアニュートンジョン的な着こなし。ふぃじか〜♪ふぃじか〜♪
薄い本なのですが、ものすごい凝縮っぷり。受験生におすすめのポーズから、しっかりしたバンダの解説、脳にもたらす効果まで網羅。NHKで放送されていた番組と連動しているようなので、ちょっとはポーズを見たことあるよ、という予備知識がある前提かもしれません。昨今の「インナーマッスル」だの、「コア」だのといった単語が出てこず、「健康体操」とされた構成が、硬派でいいです。最近、こういう古いヨガ本に癒やされる。
1985年。まさにこのブームの頃に、母親がヨガをやっていたのだろうな。番場さんのこと「有名だ」って言ってたし。

いくつか、素敵だったところを紹介しますね。

<63ページ とぐろを巻いたヘビのエネルギー(ミニコラム) より>
チャクラがまだ開発されず、クンダリニーが下の部分に存在する間は、人間は最も動物に近い状態にあります。というのは、クンダリニーのエネルギーは、排泄や生殖に関する部分に多く関与するためです。
 この、エネルギーが上昇した人の心は、たとえば人類愛や平和などの気持が多く支配するようになり、精神的に高いレベルに位置するといわれます。

テレビ発の本なのに、けっこうなところまで説明されています。


<80ページ バンダ(締めつけ) より>
バンダには、3種類の方法があります。

(1)ジャーランダラ・バンダは、のどを引き締める方法。あごを、ややしゃくるようなかんじで、鎖骨のくぼみにあてます。頚椎骨とともに、胸椎骨を引き上げて伸ばすので、背骨をしなやかに保つことが前提です。
(2)ウッデイヤーナ・バンダは、横隔膜をつり上げて、内蔵を引き上げる方法です。この方法を一度でマスターするのは困難ですが、逆転の体位の完成ポーズの中で、息を吐いて胸を出すと、この感覚がつかめます。

(3)ムーラ・バンダは、こうもんを意識的に強く締め上げる方法です。

この説明、過去に見た説明文章の中でもピカイチ。わかりやすい。特に(2)の「逆転の体位の完成ポーズの中で、息を吐いて胸を出すと〜」が、イイ。

<96ページ 巻末コラム「心身医学の立場から ヨーガでなぜ健康が得られるのか」 池見酉次郎(九州大学名誉教授 日本心身医学界理事長) 『セルフ・コントロール法としてのヨーガ』より>
彼(ドイツ・ベルリン大学教授のシュルツ氏の高弟で、自律訓練法の国際的指導者・カナダのルーテ博士)は、自律訓練法を実修することによって、図に示した脳内各部の働きの調和が促され、知性の脳の過度な興奮(これがストレスとなることが多い)が鎮められ、知性脳によって抑え込まれていた情動(動物的な感情)の脳や内臓のコントロールを司る脳の働きが、活性化するようになることが、自律訓練法による効果の裏付けになると唱えていました。現代社会におけるハイテクノロジー、情報過多、きびしい人間関係の中では、知性の脳の過度な緊張によって、人間としての自然な本能や感情、さらに、肉体的な欲求への気づきが鈍って、人間がロボット化していくところに、今日のストレス病の根っこがあるといわれております。

1985年と、社会問題の原因が変わっていない。

<102ページ おわりに(1985年・夏 佐保田鶴治師) より>
 真正のヨーガを長い間、不断に修練していると、生きることの奥深い意味がしだいにわかってきます。一時の感情や欲望に支配された行動はできなくなります。

まだまだ未熟なうちこでも、本当にそうだよなぁ、と思います。


そのほか、雑記メモ

・血液が胃に集まっているときは、消化の邪魔になってしまう。(よい説明)
・うさぎのポーズでは、首から背骨にかけて、引っ張られている部分に集中する。(そうだ、最近そこがおごそかになっていた)
・インドでは、顔が牛に似ている人を「ゴームカ」と呼びます。(日本じゃありえない)
・めい想中、口の中では、舌の表面を上あごにつけておくようにします。舌が動くと心も動くので、舌が無意識に動かないようにするためです。(よい説明)


ポーズの説明から、サンスクリット語対応メモ

・ジャーヌ=ひざ
・シールシャ(シルシ)=頭
・ウッターナ=強く引き伸ばすこと
・ヴィパリータ=逆転した
・カラニ=しぐさ
・ヴァクラ=折れ曲がった、ねじった
・アルダ=半分
・ジャラタ=胴、内臓
・パブリッタ=回転する、向きを変える
・パールシュバ=側面
・パッダ=とらえられた
・コーナ=角度
・パバナ=風
・ムクタ=放つ
・パバナ・ムクタ・アーサナ=ガス抜きの体位
・チャンドラ=月
・ナーヴァ=船
・ナタ=踊り手
・ラージャ=王
・ムカ=顔
・ゴー=牛
・ウシュトラ=らくだ
・ブジャンガ=へび
・マッチャ(マツヤ)=魚
・シャシャンカ=うさぎ
ガルダ=鷲

特に勉強はしていないのですが、ヨガの本を読んでいると覚えてしまうもの。ガス抜きのポーズって、空気(風)抜いてるだけじゃん! なんかこう、オナラを抜いているようなイメージだったのだけど。
この本は、気楽に読めるのに、基本的な教えがコラムに載っていたり、なかなかよいですよ。

ヨーガ (NHKやさしい健康体操)
佐保田 鶴治 かしい けいこ
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5 ヨーガの分かりやすさ、写真版ではピカイチ。